竹取翁と万葉集のお勉強

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拾遺和歌集 巻7 歌番号369から373まで

2024年10月17日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻7

歌番号 369

詞書 松むし

詠人 忠岑

原文 堂幾川世乃 奈可尓太万川武 志良奈美八 奈可留々美川遠 々尓曽奴幾个留

和歌 たきつせの なかにたまつむ しらなみは なかるるみつを をにそぬきける

読下 たきつせのなかにたまつむしらなみは流るる水ををにそぬきける

解釈 激流の中に珠を積む白浪は、流れる水を珠の緒に貫いています。

注意 二句と三句目で、まつむし(松虫)の言葉の文字が取られています。

 

歌番号 370

詞書 ひくらし

詠人 忠岑

原文 以満己武止 以比天和可礼之 安之多与利 於毛飛久良之乃 祢遠乃美曽奈久

和歌 いまこむと いひてわかれし あしたより おもひくらしの ねをのみそなく

読下 今こむといひて別れしあしたよりおもひくらしのねをのみそなく

解釈 今、貴女の許に行こうと言って別れた、あの朝から、貴方を恋焦がれて暮らし、声を挙げて泣くばかりです。

注意 四句目で、ひくらし(ヒグラシ)の言葉の文字が取られています。

 

歌番号 371 拾遺抄記載

詞書 ひくらし

詠人 つらゆき

原文 曽満比止者 美也木飛久良之 安之比木乃 也万乃也万比己 々恵止与武奈利

和歌 そまひとは みやきひくらし あしひきの やまのやまひこ こゑとよむなり

読下 そま人は宮木ひくらしあしひきの山の山ひこ声とよむなり

解釈 山の樵たちは宮で使う木を挽くらしい、足を引きずるような険しい山の山彦、樵たちの声が響き渡ります。

注意 二句目で、ひくらし(ヒグラシ)の言葉の文字が取られています。

 

歌番号 372 拾遺抄記載

詞書 ひくらし

詠人 つらゆき

原文 万川乃祢者 安幾乃之良部尓 幾己由奈利 堂可久世女安个天 可世曽飛久良之

和歌 まつのねは あきのしらへに きこゆなり たかくせめあけて かせそひくらし

読下 松のねは秋のしらへにきこゆなりたかくせめあけて鳥そひくらし

解釈 松を吹き抜ける風の音は、秋の調べとして聞こえます、音調を高く攻め上げて、風が弾いているようです。

注意 末句で、ひくらし(ヒグラシ)の言葉の文字が取られています。

 

歌番号 373

詞書 ひともときく

詠人 すけみ

原文 安多奈利止 飛止毛止幾久留 乃部之毛曽 者奈乃安多利遠 寸幾可天尓者留

和歌 あたなりと ひともときくる ものしもそ はなのあたりを すきかてにする

読下 あたなりとひともときくるのへしもそ花のあたりをすきかてにする

解釈 この花の姿は移り気だと、人の噂を聞くものではあるが、花咲く周りを行き過ぎることが出来ません。

注意 二句目で、ひともときく(一本菊)の言葉の文字が取られています。ただ、直接にも一本菊で解釈が出来ますが、隠し言葉として解釈しています。

 

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