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サンロクトオ時刻表で見るウミセンヤマセン?

2020-05-15 | Weblog
仙台から東北本線の下り列車に乗ると2駅先の岩切で、盛岡方面へのメインルート
と利府止まりの支線(通称:利府線)に分岐しています。支線のほうにはかつて
利府からさらに先の区間(山線)が存在し、こちらがメインルートだったことは、
とくに廃線マニアでなくとも鉄道ファンの間では比較的知られている話だったり
します。

ここで関連する歴史をおさらいします。(ウィキより抜粋引用加筆)

日本鉄道時代
1887年12月 郡山-塩竃(のちの塩釜線塩釜港)間開業(塩釜線は1997年廃止)
1890年4月 岩切-一関間開業(岩切-(旧)松島間は、いわゆる「山線」)
国有化以降
1944年11月 陸前山王ー品井沼間(いわゆる「海線」)開業。当初貨物営業のみ。
      塩竃線・岩切-陸前山王間を東北線に編入
1956年7月 陸前山王 - 品井沼間(海線)を旅客列車の主要ルートに変更。
      塩釜駅開業。新松島信号場を駅に変更して新松島駅(現・松島駅)開業。
1962年4月 (旧)松島 - 品井沼間(山線)廃止。
1962年7月 利府 - (旧)松島間廃止。新松島駅を松島駅に改称。
      ((旧)松島駅の代わりとして、海線と山線の交差部付近に)愛宕駅開業。
(仙台以北の電化は1965年であり、山線は非電化・単線のまま廃止)



1944年に海線が増設された理由は、山線には16/1000の急勾配があり、戦時中の
輸送力増強の障害になったためとされています。
小学生の頃に、そのようなヒストリーを(たぶん宮脇俊三氏の)本で知り、地元と
いうことでとても興味深いものがありました。旧線廃止前の地形図のコピーを取り
寄せたり、小5の時には初めて廃線跡を自転車で散策しました。地元とはいっても、
当時の自宅からは往復で60kmほどになり、ママチャリでの激走で最後はヘロヘロに
なりました(笑)

現在、利府線では日中毎時1~2本程度の列車が運転されていますが、山線存在当時
に山線と海線との棲み分けがどうなっていたのか長年関心を持っていました。今回、
山線廃止直前の1961年、昭和36年10月(サンロクトオ)全国ダイヤ改正の時刻表を
入手し確認できたので、以下にまとめます。

まずはサマリー
1. 仙台-小牛田間 下り
(1)優等列車
 海線経由:16本(荷物列車2本もここに含めた)
 山線経由:1本(団体専用列車。山線内の停車はなし)
(2)普通列車
  岩切着:2本
 海線経由:9本
  塩釜着:3本(「海線」の途中だが、上記とは別に)
 山線経由:7本
  利府着:3本(「山線」の途中だが、上記とは別に)
計41本

2. 小牛田-仙台間 上り
(1)優等列車
 海線経由:17本(荷物列車2本もここに含めた)
 山線経由:0本
(2)普通列車
  岩切発:2本
 海線経由:10本
  塩釜発:3本(「海線」の途中だが、上記とは別に)
 山線経由:6本
  利府発:3本(「山線」の途中だが、上記とは別に)
計41本

ウィキの記載には、1956年に「旅客列車の主要ルートに変更」とあり、たしかに
優等列車はほぼ海線に移行したようですが、廃止の半年前でも山線にそれなりの
本数の普通列車が残っていました。意外だったのは、利府発着、塩釜発着といった
区間列車がいくつも設定されていたこと。また、仙台から上野方面に1駅先の長町
発着の列車もありますが、これは長町機関区があった関係でしょうか。

詳細は添付の通りとなります。(時刻表のまんまコピーではなく、当該区間を抜粋
し、あらためてExcelで作成しました。ので、たぶん?大丈夫)



岩切-品井沼間の距離は、海線経由で21.6km、山線経由で21.2kmでほぼ同じ、前後
の主要駅である仙台-小牛田間(43.1/42.8km)の所要時間を比較すると以下の通り
になります。

仙台-小牛田間 下り
 海線経由 優等列車(*):40~62分
 海線経由 普通列車:60~94分
 山線経由 普通列車:64~76分

小牛田-仙台間 上り
 海線経由 優等列車(*):43~58分
 海線経由 普通列車:59~98分
 山線経由 普通列車:66~78分

*小牛田通過列車は除く

単線のせいか、経路に関わらず所要時間のばらつきが非常に多く、海線・山線の
有意差はないともいえそうですし、最速の普通列車どうしの比較では海線のほう
が若干速いといえるかもしれません。

ところで、当時の列車番号はアルファベットのサフィックスで車両の種類を区別
するということはしてなかったようですが、時刻表は四角囲みで"気"と気動車の
表記があるため、当表では気動車の列車番号にDのサフィックスを便宜上つけて
います。(現在の列車番号は一般的に、サフィックスがMの場合は電車、Dの場合
は気動車、無の場合は機関車牽引を示しています。但し大都市圏で高頻度運転する
電車等には異なるアルファベットが充てられることがあります)

今回参考にした山線廃止前の時刻表、最初は某オークションで探したところ、50
年以上も昔ということもあってか、状態が良いものは皆無にも関わらず結構な値段
でした。何気なくポータルサイトで検索したところ、古い時刻表でもオフィシャル
でKindle版があることが分かりました。Kindleは専用端末でなくても無料アプリに
よりPCや携帯で見ることもでき、紙の古書に対する値段と状態への懸念も一挙に
解決した次第です。
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