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趣味の話など

デンデケトラックス・その2

2020-08-22 | 青春デンデケデケデケ
(その1からの続き)

(31)悲しき願い(ジ・アニマルズ):サントラTR12
 公開リハへの誘いに対し、石川恵美子から色よい返事がもらえず、岡下が悶々とする
 シーン。
 ナレーションでの「だーれのせいでもありゃしない」とは、白井の父親役の尾藤イサオ
 による日本語カバーの詞ですね。
(32)チェッ・チェッ・チェッ(劇中演奏・ロッキングホースメン)
 結果的に岡下を励ます曲になり、竹良が「やってて妙に楽しかった」と述懐する。
 エイトビートだけどロックとは程遠い、当時の歌謡曲らしい歌謡曲(笑) 原曲は橋幸夫
 の歌唱、作曲は「潮来笠」「美しい十代」も手掛けたヒットメーカー吉田正。
(33)あなたでなければ(ジョニー・ソマーズ)
 石川恵美子の近況のシーンで流れる、女性ヴォーカルのジャジーな曲。
(34)ジャンバラヤ(劇中演奏・杉基)
 帰省した兄・杉基が、竹良のギターを借り調子外れで歌う曲。
(35)ラウンチー(ビリー・ヴォーン楽団)
 喫茶店ウエストビレッジの開店祝でのデビューライブ。師走の商店街の中のウエスト
 ビレッジ外観が映るシーンで流れる。
 曲自体は、ベンチャーズも含めて色々なユニットがカバーしている(若き日のジョージ・
 ハリスンもジョンに披露して加入を認められた)有名曲で、このビリーヴォーンのバー
 ジョンも知られてます。
(36)ジングル・ベル(劇中演奏・ロッキングホースメン):サントラTR13
 デビューライブの1曲目を飾る曲。
 ベンチャーズバージョンのコピーで、イントロのリフはレイ・チャールズのホワッド・
 アイ・セイのオマージュ。
(37)ヒッピー・ヒッピー・シェイク(劇中演奏・ロッキングホースメン)
 同じくデビューライブでの演奏。ロックンロールでシャウトする「やかましい」曲だが、
 演奏がぐだぐだになり、客からは「ジャズばっかりやん」と不興を買う。
 スウィンギング・ブルー・ジーンズ版のコピー。かのビートルズのBBCでの演奏を参考
 にしたということは後年知りました。
(38)おお、プリティ・ウーマン(劇中演奏・ロッキングホースメン):サントラTR14
 同じくデビューライブでの演奏。音源も疲れたようなボーカルに聞こえるのは映像の
 印象のせい?
 ロイ・オービソンの最大のヒット曲で、CMや他の映画にもよく使われてます。
(39)センチになって(ビリー・ヴォーン楽団)
 デビューライブが終わり疲労困憊するシーンおよび、その後で竹良が父親と釣りに行く
 シーンで流れる曲。
 いかにもビリー・ヴォーンらしい、タイトル通り感傷的な曲ですが、ビリー・ヴォーン
 としては有名曲ではない(ベスト盤にない)ことおよび、エンドロールでは邦題だけの
 ため、最難関の音源探しでした。原題はI'm getting sentimental over you。
(40)シャボン玉ホリデー(ザ・ピーナッツ)
 母親の近況のナレーションで、居間のテレビから流れている。
 エンドロールのクレジットなし。
(41)軍艦マーチ
 竹良の父母がまだ若かった頃、戦時中の運動会で二人三脚するシーンで使用。
(42)シーサイド・バウンド(劇中演奏・軽音楽部の後輩バンド)
 軽音楽部で、GSを神と仰ぐ後輩のバンドが演奏するシーン。
 原曲はザ・タイガースで、寺内先生役の岸部一徳がそのベーシストだったのは偶然?
(43)渚のデイト(コニー・フランシス):サントラTR15
 夏休み最後の日、唐本幸代が突然竹良の家を訪ねて海に誘う、文字通り「渚のデート」
 のシーン。
(44)歌を忘れたカナリヤ(劇中歌唱)
 うろたえた竹良が、唐本幸代を家にあげて着替えてもらおうかと一瞬考え、「いえいえ、
 それはなりません♪」と口ずさむ。わずか2小節ほどの引用。
(45)ボーイ・ハント(日本語)(コニー・フランシス):サントラTR16
 二人で波打ち際で水遊びをするシーン。
 日本語版というのが、さらにこのシーンの微笑ましさを強調しているようです。
(46)恋のハレルヤ(黛ジュン)
 砂浜で休憩する宣伝カーから流れる曲。二人は、近くで遊んでいる小学生ぐらいの子供
 たちから「アベックじゃー」と冷やかされる。
 12弦ギターをフィーチャーしたGS風アレンジの、いかにも60年代らしい曲で、個人的
 には最初に気に入った邦楽収録曲です。
(47)けんかでデイト(ポールとポーラ)
 竹良が海から自宅に帰るシーンで流れる曲。
 夏の黄昏時の風景とトランペットのイントロがとてもマッチしていて、(この曲に限った
 話ではありませんが)神選曲だと思います。
 日本語のカバーもあり比較的知られている曲だと思いますが、オムニバス盤でポールと
 ポーラの代表曲といえばたいてい「ヘイ・ポーラ」なので、けっこう入手困難でした。
(48)銀座九丁目は水の上(劇中歌唱・寺内先生)
 桃子先生の披露宴で、寺内先生が踊りながら歌った曲。竹良がギターでメロディをなぞる
 シーンもあり。
 原曲は神戸一郎の1958年のリリースで、曲調も富士男の発言通り「えらい流行遅れの」
 曲です。
(49)長崎の女(春日八郎)
 寺内先生の最期および回想のシーンで流れる
 (25)の前に、寺内先生が竹良に楽譜を譲った際、この曲をつい職員室で熱唱してしまい
 ふと我に返る、というシーンもあり。
(50)フォーティ・デイズ(クリフ・リチャード)
 文化祭前夜、最終リハと泊まりこみの楽器番のために再び登校するシーンで流れる。
 英国のクリフ・リチャード歌唱というのが意外に感じた軽快なロックンロールナンバー。
 関連曲の収集を始めて間もない頃でしたが、この曲もベスト盤になく、輸入盤に収録されて
 いるのを偶然見つけた時は嬉しかったです。今はなき、せいでんハーバーランド店でした。
 当時、家電量販店の過剰とも思えるCD在庫は大変重宝してました。
(51)ラ・マルセイエーズ
 言わずと知れたフランス国歌。文化祭当日、演劇で引地めぐみが断頭台にかけられるマリー・
 アントワネットを演じている。
 エンドロールでのタイトルは「ラ・マルセイユ」となっている。
(52)太陽の彼方に(劇中演奏・ロッキングホースメン):サントラTR18
 文化祭ライブで、おなじみパイプラインの次に演奏されるインスト曲。
 原曲はアストロノウツ、「乗ってけ乗ってけ」という日本語カバーも知られてます。内々で
 「つまらん曲」と不評ながらも(笑)、映画の影響で私もこの曲をコピー・演奏しました。
(53)アイ・フィール・ファイン(劇中演奏・ロッキングホースメン):サントラTR19
 文化祭ライブで、メンバー紹介に続いて演奏されるビートルズナンバー。祖谷渓での合宿でも
 ギターリフやコーラスを練習。
 最後が妙なコード(キーがGに対しE)で終わっているのはベンチャーズバージョン風ですが、
 劇中演奏が実はエド山口らによる吹き替えという話を聞いて納得。
(54)ジョニー・B・グッド(劇中演奏・ロッキングホースメン):サントラTR21
 文化祭ライブのラスト曲のMCで、竹良の「世界のロックの中で一曲だけ挙げてみい」という
 自問に対する答えが、パイプラインではなくこの曲というのは、ちょっと意表を突かれました(笑)
 ロックの歴史上、という意味では大変真っ当な答えなのですが、その予備知識がないと唐突な
 感じがするかもしれません。日本でこの曲が知られるようになったのは、キャロルだとする説
 もあります。
 浄泉寺での合宿でバンド演奏されたり、兄が帰ってきたのに気付かないほど熱心にバッキング
 の練習がされていたりします。原曲は説明するまでもなくチャック・ベリー。
(55)高校三年生(舟木一夫)
 受験のため東京に旅立つ日、駅前で宣伝カーが流す曲。
 竹良と白井の初めての出会いのシーンでもセリフで言及されますが、実際に曲が登場するのは
 ほぼ終盤になってからです。
 原作者と同年代の知人(バンド仲間)が、「我々のようなオジンオバンは、ビートルズのよう
 な当時の洋楽ではなくて、こういう青春歌謡に自分を重ねて涙する」と言ってました(笑) 
 それが実態なのかも。

(56)青春のモニュメント(劇伴)
 劇伴は全てメインテーマ1曲の変奏曲となっています。久石譲という(著名な)作曲家の名は
 この映画で知りました。
 
 使用個所は以下の通り。
 a)タイトルバックのショートバージョン。オケ演奏。:サントラTR1
 b)最初の竹良の登校シーンで、フルート+ピアノのバージョン
 c)藤原家紹介のシーンで、ピアノ単音バージョン
 d)アルバイトに初めて出勤するシーンで、ピアノバージョン:サントラTR4
 e)寺内先生を偲ぶシーンで、トロンボーンソロバージョン
 f)進路を決めた各メンバーの様子を竹良が寂しげに見て回るシーンで、ピアノ単音バージョン
 g)竹良がバンドゆかりの地を巡礼するシーンで、フルバージョン。オケ演奏。:サントラTR20
 e)エンディング(コーダ部分のみ)。オケ演奏。
 
 久石譲作品としてはあまり知られていないようですが、私はこの曲を大変気に入り、かなり
 早い時期に、サントラCDにも収録されているd)のバージョンを耳コピーしました。それから
 20年近く経って、譜面化も兼ねてmidi化するためにあらためて耳コピーしたところ、当時の
 解釈と異なる箇所だらけで、当時の未熟さに冷や汗が出る思いでした。
 もっとも、本格的に耳コピーという作業を量産体制で行ったのは、この映画がきっかけの
 ベンチャーズのコピーだったので、それからの経験の蓄積と最初とを比較すれば、ちょっと
 はスキルも向上したのかな、ということにしておこうと思います。

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デンデケトラックス・その1

2020-08-22 | 青春デンデケデケデケ
最近、私の中で「青春デンデケデケデケ」熱が再燃しており、暫しお付き合い頂ければと
思います。

映画版「青春デンデケデケデケ」は、音楽がテーマということもあってか、劇伴以外にも
当時の洋楽・歌謡曲がふんだんに挿入されていることが特徴で、日本版の「アメリカン・
グラフィティ」と言ってもいいと思います。(「日本版のアメリカン」とはいきなり矛盾
していますが(笑)) 映画公開当時、私は社会人一年目でしたが、街中に行ったり出張の
たびに、大きなCD屋さんで挿入曲を探してコツコツと収集することが、当時の楽しみの
一つとなりました。今では動画サイトで比較的容易に見つけることができると思います。
使用曲目はほぼ全てエンドロールで挙げられてますが、最初の家庭視聴用リリースはVHS
ビデオということもあり、解像度が低かったうえ、再生一時停止を長時間行うのもテープ
へのダメージが怖くて憚られました。せっかくディスクになり落ち着いて確認できるよう
になったので、曲目をおおむね劇中の登場順に並び替え、どのシーンの曲か補足してみま
した。音源収集の参考にでもなればと思います。(Blu-rayの小冊子に挿入曲リストがあり、
これいいねと思いつつ、誤記がちょっと気になって色々見比べたところ、既にDVDのリーフ
レットにも比較的しっかりとした曲目リストがあったことに今さらながら気付きました(笑))

なお、現在では入手困難だと思いますが、サウンドトラックCD(東芝EMI TOCP-7156)
収録トラックも参考まで示します。

(1)青春のモニュメント(劇伴)
 最後に説明します。
(2)パイプライン
 当映画の実質的なメインテーマと言っていいと思います。
 a)ベンチャーズ版:サントラTR2
  ・オープニングロールで、ベンチャーズ自身のライブ映像(「特別出演」のクレジット
   の通り、セカンドユニットが当時のライブを撮影。60年代の映像は映画「愛すべき
   侵略者」より。音源はスタジオ盤)
  ・冒頭の「夢の怪人」「電気的啓示」のシーンで使用。
 b)劇中演奏(ロッキングホースメン)
  ・初セッション、納屋でのリハ、祖谷渓谷での合宿、ウエストビレッジ開店、文化祭
   ライブ~エンドロール等、多数のシーン
(3)ホフマンの舟歌(劇中演奏・竹良)
 竹良が電気的啓示を受ける直前に、兄のお下がりのバイオリンで弾いていた「弾いている
 本人が眠くなるような」曲。
(4)アイル・ビー・ホーム(パット・ブーン)
 竹良がバイオリンを弾いた後、つい居眠りをしてしまう時にラジオから流れていた曲。
(5)ラジオ体操第一
 高校に自転車で登校するシーンで、財田川を渡っている時に遠くに聞こえる。
 (エンドロールでのクレジットなし)
(6)祖谷の粉ひき歌
 羽島加津子の家の楽器店(神戸屋)に飾られていたギターを、竹良が飽きずに眺めている
 時に、前を通過する宣伝カーから流れる
(7)ロック・アラウンド・ザ・クロック(ビル・ヘイリーと彼のコメッツ):サントラTR3
 竹良が自室で机に向かいながら、富士男が貸してくれた「すけべもん」も気になる。
 初のロックンロールとされている曲。
(8)(9)応援歌?(劇中演奏・吹奏楽部)
 竹良が初めて軽音楽部を訪ねた際、隣の吹奏楽部から流れてた曲。
 クレジットなしで曲名が分かりません(笑) 全パートユニゾンで応援歌とも童謡ともつかない
 曲で、練習曲としては珍妙です(笑)
(10)ドライヴィングギター(劇中演奏・白井)
(11)朝日のあたる家(劇中演奏・白井)
 軽音楽部部室で竹良と白井が初めて出会った時に、白井がアコギで披露した曲。
 (10)はベンチャーズのオリジナル曲、(11)はアニマルズ版が有名ですが、ベンチャーズ版
 でしょうか。
(12)いとしのパオラ(アダモ):サントラTR10
 白井宅で「兄ちゃん」(白井の姉)と初めて会った時および、祖谷渓の合宿に三輪車で荷物を
 運んでくれた兄ちゃんと水産加工がイイ雰囲気になる時に流れる。
(13)福知山音頭
 白井宅で「誰のコレクションな?」となるレコード。
(14)大昔のBGM?
 「シャンシャン手早く流」の母親が、教師だった頃の回想シーン。
 エンドロールのクレジットなし。
(15)しゃぼん玉(岩田佐智子)
 早世した姉なでしこと、父親の前衛的な命名センスを回想するシーン。
(16)カー・クレイジー・キューティ(ザ・ビーチボーイズ)
 竹良がバンド勧誘のため富士男の家に行く前に、部屋で準備する(富士男から借りたエロ
 チックマガジンを風呂敷に包む)シーン。
 わずか4小節のアカペラ部分だけ使用のため、ビーチボーイズの曲だとすぐに気付きません
 でした。
(17)ウーリー・ブリ―(サム・ザ・シャム・アンド・ザ・ファラオス)
 イナダ農機でのアルバイトのシーン。
 コミカルな曲で、私としてはデンデケトラックスの中でも3指に入るほどお気に入りです。
 某動画サイトで検索すると、60年代のこの曲をバックに、なぜか現代の米国人が大勢で
 ラインダンスをしている動画がよく引っかかりました。
(18)慕情(レターメン):サントラTR5
 引地めぐみの数々の恋愛遍歴を回想するシーン。
 「慕情」自体、超有名曲ですが、私にとってこのレターメンのバージョンは、引地めぐみ
 のイメージがこびりついてしまいました(笑)
(19)あなたまかせの夜だから(劇中歌唱・引地めぐみ、竹良)
 大人になった引地めぐみが、「観音寺夜の女王」としてカラオケ(音自体はアカペラ?)
 で、大人の竹良?とデュエットするシーン。原作者の芦原すなお氏がここでカメオ出演
 してます(笑)
 原曲は大木英夫・二宮善子のデュエットですが、70年代の曲というのが信じられないほど、
 洋楽の匂いが全くしない歌謡曲アレンジです(笑)
(20)バラ色の雲(ヴィレッジ・シンガーズ)
 神戸屋で楽器を購入した際、店の前を通る宣伝カーから流れる。
 個人的には、かつてGSを避けていたこともあり、この曲は完全にノーマークで、最近に
 なって自分で演奏する機会があり気付いた次第(笑)
 ヴィレッジ・シンガーズの小松久(Gt)氏と林ゆたか(Dr)氏は、エド山口氏とともに劇中
 演奏の影武者で、Special Thanks toとしてエンドロールにクレジットされていますね。
 林氏はケントスのプロデュースもされており、ケントスグループも同様にクレジット
 されています。ひょっとしたら影武者のベースはここの方?
(21)パサディナのおばあちゃん(ジャン&ディーン):サントラTR6
 初セッションに出かける時に流れる曲。
 原曲は人が変わったようにダッジ(アメ車)を運転する老婦人のことを歌っていますが、
 映画では自転車にスクータと実に日本的な光景ながら、よくマッチしていると思います。
 ビーチボーイズ風のコーラスながら、実は別のデュオグループなのは意外に感じました
 が、ビーチボーイズもこの曲をライブでカバーしており、親交があったようです。
 なお、さらに有名なジャン&ディーンの曲としてサーフ・シティが挙げられ、こちらは
 ブライアン・ウィルソンが共作者としてクレジットされてます。
(22)潮来笠(橋幸夫)
 「歴史始まって以来初めて、この観音寺の町に本物の電気ギターの音が響き渡る」直前
 に、浄泉寺(富士男の家)の前の通過する宣伝カーから流れる曲。この曲の長閑さと
 パイプラインとの対比が印象的です。
(23)ウォーク・ドント・ラン '64(劇中演奏・ロッキングホースメン):サントラTR7(別テイク)
 煉瓦工場裏の空き地でリハをして、焚火の煙に燻されるシーン。
 ベンチャーズの全米最大のヒット曲は"64"が付かないウォーク・ドント・ラン(2位)
 ですが、当サーフ(テケテケ)バージョンもそれに次ぐヒット(8位)となりました。
(24)ダイヤモンド・ヘッド(劇中演奏・ロッキングホースメン):サントラTR8
 神社の階段でリハをして雷雨に遭うシーン。しーさんと妹が偶然居合わせて、「何じゃ、
 あいつら」となる。祖谷渓での合宿時にもリバーブたっぷりで演奏。
 日本ではパイプラインと同等以上に知られるベンチャーズの代表曲。
(25)モナリザ(マントヴァーニ・オーケストラ)
 竹良がしーさんの家に誘われた時にステレオから流れた曲。
 祖谷渓での合宿のために屋外用の電源を用意してくれたり、合宿に「(妹の)えっちゃん
 も連れてくればよかった」という部分でも流れ、谷口兄妹のテーマになっています。
 原曲のナット・キング・コール版(サントラTR9に収録)ではなく、マントヴァーニの
 ストリングスなのはハイソ感を出すためでしょうか。
(26)のっぽのサリー(劇中演奏・ロッキングホースメン):サントラTR11
 しーさんに対し、屋外用電源のお礼にリクエスト曲を披露。
 電源はバッテリ駆動で恐らくインバータで昇圧もしているのでしょうか。充電が大変
 だったと思います(笑)
 原曲はリトル・リチャード。ビートルズのバージョンも有名で、ライブの定番のラスト
 ナンバーとしていました。
(27)ソフトリー・ソフトリー(ザ・ナック)(*1)
 祖谷渓合宿の晩のシーンで流れる曲。(25)の後のシーンで、しーさんが竹良の家を訪ねた
 帰り際に点けたラジオからも流れた。
 芦原すなお氏とその兄しか知らないだろうという超マイナー曲だそうで、恐らくご本人の
 推薦曲だと思います。
 (*1)映画とは別に、芦原すなお選曲アンソロジーである「青春デンデケデケデケ」(東芝
 EMI TOCP-7006)Track15に収録。
(28)さらばピアノよ(劇中演奏・桃子先生)
 2年に進級した桜のシーンとともに、桃子先生が音楽室でピアノで少したどたどしく弾いて
 いる曲。ベートーベン作曲
(29)夏の思い出(劇中歌唱・コーラス部)
 第二軽音楽部と共同で部室を使うコーラス部の合唱。
 上記(8)(9)のシーンでも、女生徒がこの曲を口ずさんでいました。
(30)美しい十代
 a)劇中演奏(ロッキングホースメン)
  三田明のファンだという石川恵美子の関心を引くためにバンドで演奏した歌謡曲。
  岡下がギターを持ち危なっかしいボーカルで歌い、竹良が嫌そうなな表情で代わりに
  ドラムを叩いている姿が傑作です。
  当時、洋楽原理主義者だった私が、「おっさんげ」「パチモン」だと毛嫌いしていた
  歌謡曲の演奏に対して抵抗がなくなったのは、この映画のおかげです。
 b)三田明版
  a)に続いて、石川恵美子に公開リハへの誘いの手紙を託すシーンで流れます。
  (19)の前に、仲の良い竹良と白井に対し、女生徒に同性愛疑惑をかけられるシーンでも
  使われています。

(その2に続く)
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藤原少年の上京の足取りを追う

2020-08-11 | 青春デンデケデケデケ
映画のラストでは、主人公は1968年2月15日に朝7時37分観音寺発の列車に乗り、大学
受験のため上京するシーンが描かれています。文化祭ライブの回想とともに、車窓には
予讃線沿線である海岸寺付近からの瀬戸内海と島々が映り、現地を知る人間にとっては
親近感を覚えるシーンになっています。
今回Blu-rayであらためて見て、ふと「この7時37分発の列車は実在したのだろうか?」と
思い、検証してみました。

検証に用いたのは、時期的に近いダイヤエース時刻表1968年9月号。これは以前触れた
JTB刊のKindle版ではなく、交通新聞社からヨンサントオ50周年を記念して、ダイヤ改正
前後の9月号および10月号がセットで紙媒体で復刻されたものです。広告や宿泊案内など
も当時のまま載っていて、今日では名前が変わったり廃業したホテルなどが掲載されている
のが面白いです。(それによると、ビートルズが泊まった東京ヒルトンの宿泊料金は、
上のほうで一泊540百円でした。540百円とは今でも高級の部類ですが、50年後の貨幣価値
が約10倍と仮定すると、やはり相当なお値段だったのでしょうか。ちなみに帝国ホテルも
上のほうは同額でした)

話を戻し、時刻表で予讃線上りを調べてみると…実在しました!  1110D 急行いよ2号です。
始発は松山で5時10分発、途中の観音寺は7時37分発、終着は高松で8時35分着となります。
原作では「7時37分発の急行列車」となっているので、それを裏付けます。
列車番号の末尾のDは気動車(ディーゼルカー)を示しますが、映画に登場するキハ58系は、
まさに当時の気動車急行の主力であり、考証的にもビンゴです。唯一惜しまれるのは、車両
の塗装が水色と白のJR四国色であることで、国鉄だった当時は朱色とクリーム色の急行色と
呼ばれる装いでした。
初の電化は1987年の民営化直前のことであり、四国は気動車王国といわれていました。

さらに足取りを追ってみます。

7:37 観音寺 - 8:35 高松 予讃線 急行いよ2号
 四国初の特急が登場するのは1972年のことなので、1968年当時は急行が高松への最速
 列車ということになります。
8:45 高松 - 9:50 宇野 宇高連絡船
 現在のように、観音寺から岡山まで列車で直通でも行けるようになったのは、1988年の
 瀬戸大橋線開通以降の話になります。それにしても、高松での鉄道と連絡船との乗継時間
 が、時刻表上の設定でわずか10分であることに驚きます。なお、所要時間が1時間を超え
 ているので、足の遅い讃岐丸(初代)による運航であることが分かります。
10:10 宇野 - 11:00 岡山 宇野線 普通
12:07 岡山- 14:48 新大阪 山陽線・東海道線 急行鷲羽4号
 観音寺から高松まで急行に乗っているので、宇野から先も同様に最速列車を用いたと解釈
 することにします。新幹線は東京ー新大阪間が1964年に開業していましたが、岡山までの
 延伸開業は1972年のことで、1968年当時は岡山ー新大阪間は在来線の特急・急行を用いる
 ことになります。岡山での接続が悪く、1時間以上待つことが分かりました。
15:00 新大阪 - 18:10 東京 新幹線 ひかり30号
 新幹線の最高速度が210km/h、新大阪-東京間は最速でも3時間10分要した時代(当時の
 ひかりは新横浜通過、新幹線の品川は未開業)で、四国からの上京は日中1日がかりの
 大仕事だったといえます。

ちっくんは私大、恐らくはW大志望なので、宿は中央総武線沿いの神田、秋葉原~飯田橋
辺りか、営団東西線沿いの神楽坂~高田馬場辺りでしょうか。都電沿線も考えられますが、
(勝手な想像で)初単独上京ではハードルが高そうです。当時はホテルなんてこじゃれた
ものではなく旅館だったんだろうなと、さらに勝手な想像をしています。
なお、原作をあらためて確認したところ、武蔵境(中央線沿線)にある兄・杉基さんの下宿
に泊めてもらってました。ごじゃですみません(笑)

ところで、岡山の接続が悪く1時間以上待つことは既に記した通りですが、実は観音寺から
の出発が1本後の急行(One after 737?)でも、東京着の時刻が同じであることが分かり
ました。

8:50 観音寺 - 9:48 高松 予讃線 急行いよ3号(多度津まで急行「予土」と併結)
10:00 高松 - 11:00 宇野  宇高連絡船
11:20 宇野 - 14:48 新大阪 宇野線・山陽線・東海道線 急行鷲羽4号
で、同じ急行鷲羽4号に始発の宇野から乗ることができ、乗り換えが1回減らせます。
当時は、本四連絡のための宇野発着・大阪方面への優等列車が何本も設定されていました。

だんだん西村京太郎のトラベルミステリーみたいになってきましたが(笑)、実は時刻表の
巻頭で、各方面への主要列車が乗継ぎも含めて抜粋されており、それで気付いた次第です。
主人公のちっくん(≒芦原氏)も、時刻表のその箇所は参照したとは思いますが、もしか
したら高松か岡山で親類に会うなり寄り道するといった、何らかの個人的事情があったの
かもしれません。(実はちっくんは、時刻表を読み違えるどころか筋金入りのテツであり、
意図的に空き時間を作って岡電にでもサクッと乗ったなどということも、全くあり得ぬ話
ではないと思います(笑) いや、受験前でそんな余裕はないか)

比較まで、現在、観音寺から東京まで陸路で行くと、下記のような感じになります。

8時50分ごろに観音寺発の場合
8:59 観音寺 - 10:00 岡山 予讃線・瀬戸大橋線 特急しおかぜ8号
10:16 岡山 - 13:33 東京 山陽・東海道新幹線 のぞみ138号

18時10分頃に東京着の場合
13:18 観音寺 -13:49 多度津 予讃線 普通
13:57 多度津 -14:41 岡山 予讃線・瀬戸大橋線 特急南風14号
14:58 岡山 - 18:15 東京 山陽・東海道新幹線 のぞみ32号

多度津での乗り換えを避けるため、特急しおかぜを利用する場合は、
13:07 観音寺 (中略) 17:36 東京 もしくは、
14:08 観音寺 (中略) 18:36 東京 となります。

リニアがまだ未開業であるにも関わらず、本四間が陸続きになったことと、新幹線の延伸・
高速化により、すでに大幅な時間短縮が実現しています。50年間の進歩ともいえますが、
当時想像されていた未来とは少しばかり異なる世界なのかもしれません。
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祝・Blu-ray版リリース!

2020-08-10 | 青春デンデケデケデケ
私が最も好きな映画、「青春デンデケデケデケ」のBlu-ray版がつい最近リリースされました。
DVD化されたのは2001年で、以降特にリニューアル再発されることもなく、それから20年近く
を経て、さらに劇場公開からは30年近くを経てBlu-ray版のリリースに至ったのは、時代を超越
した名作故と思います。

DVD版リリース時の映像特典は、大林監督と原作者芦原すなお氏との撮り下ろし対談映像(23分)
でしたが、今回Blu-ray版の目玉は、初の「メイキング映像」(45分)だと思います。たしか「メイ
キング映像」は、DVDリリース時もアナウンスされていたと記憶していますが、現物にはなぜか
それが見当たらなくて、狐につままれたような気分でした。注釈で「※収録内容は変更となる場合
がございます」とはよくいったものです(笑)
さて、撮影時のエピソードで、夏休みの海辺のデートのシーンが実は真冬に撮られたものである
とか、メンバー役の役者さんが現地に溶け込んでナンパすらしていたとか、書き物の情報では
知っていましたが、映像にもその辺りしっかり残っています。
映画のクライマックスの文化祭ライブの撮影時には、芦原すなお氏が応援に来たようで、ちっくん
のグヤトーンのギターを借りてアンプなしでサラッと弾いているシーンもありましたが、さすが
上手いです。なお、映画での演奏の音は、最終的にはエド山口氏らの演奏に差し替えられました
が、メイキングでは差し替え前の音が聞こえるのが興味深く、実は役者さんもガチで演奏していた
ことが分かります。
付録冊子のインタビューで、主演の林泰文氏曰く「学園祭の素人バンドのレベルぐらいには皆、
上達していた」とのことで、まさにそんな感じだと思います。私が何年もかけて到達したレベルに、
短期間の特訓で到達していて、恐るべしです。
メイキング映像はフィルムではなくVTRの映像のため、よくあるテレビ局とのタイアップかと思い
ましたが、制作は映画本編と同じ社によるものでした。意外です。テレビ放映用ではあるものの、
お蔵入りになっていたものらしいです。

この映画が好きな方は、色々なメディアで本編を何度も繰り返し見たかと思いますが、今回のメイ
キング映像だけでもBlu-ray版も入手する価値はあると思います。もちろん、一度も見たことがない
方にもおすすめです。
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