(有)花沢不動産

趣味の話など

「サザエさん」(アニメOP曲)の謎

2017-11-29 | 音楽
久々の記事は、放映当初からのスポンサーの降坂が衝撃をもって伝えられた
「サザエさん」がネタです。あと少しで放映開始50周年ですが、達成は難しい
かもしれません。

さて、「バンド歴」でご存じの方もおられると思いますが、わたくし、十数年
前に「サザエさん」OP曲を知人と演奏したことがあり、当ブログ名の「(有)
花沢不動産」は、実はそのときのユニット名に因んだものだったりします。
当時、演奏に際し、レコード(CDシングル)を入手して聴いたところ、放送
で用いられているものとは以下のような顕著な違いがあり、驚きました。

・実はイントロが存在する。(これには驚き)
・歌詞は1番から4番まで存在する。(放送版では1・3番が歌われている)
・アウトロが短い(後述)
・アウトロ最後の音が、一拍目表で終わっている(後述)

ここまではよくあるフルサイズとTVサイズとのバージョン違いの類の話かと
思いますが、以前、某動画投稿サイトで1969年放送開始当時の「サザエさん
第一話」を見る機会があって、現在の「サザエさん」とは全く異なる絵や話の
ドタバタさ加減に驚くとともに、それまで40数年間不変だと思っていたOP曲
も以下のような違いがあって、さらなる別テイクが存在していたと分かり、
驚きました。

・イントロが存在する(レコード版と同様)
・歌詞は1番だけ(ゆえに間奏は存在しない)
・アウトロは現行放送版とほぼ同様だが、アウトロが始まるタイミングが若干
 異なるうえに転調しない(後述)


1. 各バージョン全体の構成

曲の全体構成および、各バージョンの違いを整理すると、以下の通りになります。

(1)現行放送版
「ササエでございま~す」 
 ダガダッ♪(イントロの最後の1拍のスネア)→
 1番→間奏(St&Tp)→伴奏1小節→
 3番→アウトロ

(2)レコード版
 イントロ(Gt)4小節→イントロ(Tp)4小節→
 1番→間奏(St&Tp)4小節→
 2番→間奏(St&Tp)4小節→
 3番→間奏(イントロ(Tp)と同じ)4小節→
 4番→アウトロ

(3)1969年放送版
「わたくし、サザエでございます」(現行よりざます調、エにアクセント)
 イントロ(Gt)4小節→イントロ(Tp)4小節→
 1番→アウトロ

2. 各バージョンのアウトロの差異

さらに、各バージョンのアウトロには、下記のような微妙な違いがあります。



(1)現行放送版
・ボーカルの「♪今日もいい天気」の「気~」の4拍後、アウトロ導入部が続く
・アウトロ導入部は2小節あり、ストリングスで「ジャーン(4拍)、ジャガ
 ジャッ(×4拍)」と入る
・アウトロ導入部以降は半音下がる(当バージョンのみ)

(2)レコード版
・ボーカルの「♪明日もいい天気」の「気~」の4拍後にアウトロが続く
・但し、アウトロは導入部(2小節)がなく、いきなり「タタタター」という
 ストリングスの旋律で始まる(当バージョンのみ)。従って、当バージョン
 のアウトロが最も短い。
・アウトロの末尾が1拍目で終わっている(当バージョンのみ)。
 他のバージョンは「タータッ(2拍)」

(3)1969年放送版
・ボーカルの「♪今日もいい天気」の「気~」と同時にアウトロ導入部が始まる。
 (当バージョンのみ)。「気~」とアウトロ導入部が重なっていることにより、
 現行放送版とほぼ同様のアウトロながら、1小節短くなっている。
・アウトロの導入部は2小節あり、ストリングスで「ジャガジャッ(×8拍)」
 と入る。

なお、上の譜面では省略しているが、「♪いい天気」の「気~」の部分で、ギター
およびリズム隊が「ジャガジャッ(×4拍)」ときざむのは各バージョンで共通。
またアウトロ導入部(2小節)でも同じリズムを継続し、クレッシェンドしている。


3. トリビアおよび謎、個人的考察

(1)現行放送版で大幅な編集が加えられた理由は、流布している説によれば、70
 年代初めにOP映像の変更が行われた際に、映像と尺を合わせるために行われた
 とされています。

(2)某web辞典によれば、レコード版の「♪明るい笑顔で…」の歌詞で始まる4番は、
 1990年に東芝蛍光灯「メロウ5」発売を契機に追加されたことになっていますが、
 4番の部分のサウンド(ボーカル、インスト、響き、音質など)を他と聴き比べて
 も、20年も経過して新規録音されたようにはとても聞こえず、私は4番は当初から
 存在していたと考えます。

(3)私が聴き比べた限り、現行放送版とレコード版は、基本的には同一テイクであり、
 レコード版から以下の編集が加えられて現行放送版が制作されたものと考えます。

 イントロ(Gt)4小節+イントロ(Tp)4小節:最後の1拍を残しカット
 ②1番
 ③間奏(St&Tp)4小節
 2番:カット
 間奏(St&Tp)4小節:カット
 ⑥インスト1小節挿入
 ⑦3番
 イントロ(Tp)4小節と同様の間奏:カット
 4番:カット
 ⑩アウトロ:別テイクと差し替え、加えて半音下げ

 なお、1969年放送版は、リズム隊やボーカルのダブルトラックの微妙な違いなど
 から、録音時期を同じくした別テイクだと思います。1969年放送版とレコード版
 との違いが最も顕著なのは前奏のギターアルペジオ部分のベースで、前者では音
 を伸ばしていますが、後者では音を区切っています。

(4)尺を合わせるためと言ってしまえばそれまですが、とくに上記⑥の小節水増し編集
 は音楽的な必然性がなく唐突感があります。
 この追加された1小節は、ドラムがハシっていて前後のテンポと食い違っており、
 前後で編集されているのがまる分かりになっています。
 この部分はどこから持ってきたのだろう?と思っていたのですが、当記事を含めた
 以下Twitterのモーメントの他リンク先で、波形ソフトも駆使し検証された方がおられ
 ましたのでご参照下さい。
 
 「サザエさんのオープニング曲トリビア

 それによると、挿入された1小節の元の部分は、ナント2番の2小節目、「(♪
 子供を集めて)広場で」という、実に中途半端な箇所のカラオケと分かった次第
 です。
 その直前の1小節目「♪子供を集めて」の部分であれば、間奏からそのまま自然に
 つながりますが、なぜわざわざ飛び地を選んだのか謎です。1小節目および2小節
 目いずれもリフがない淡々としたコード弾きで、2小節目でなければならなかった
 理由は不明です。

(5)オリジナルキーはDのようですがが、初期放送版はほぼちょうど、レコード版は
 若干ピッチが低く、現行放送版ではさらに低いです。

(6)
(末尾に後日追記あり)
①現行放送版のアウトロが半音下がる(D♭)ことに違和感を感じる声も多いようで、
 その部分のピッチを補正したものが某動画サイトで聴くことができます。
 私は「半音下がり」が長年耳に染み付いているせいかもしれませんが、補正した場合
 「ジャガジャッ(×4拍)」というリズムが、同じDのコードで3小節連続すること
 になり、少々冗長さを感じないでもありません。
②半音下がりの理由として、(1971年頃に新規録音したレコード音源に1969年放送版
 のアウトロを無理矢理つないだとする)編集によるものとの説がいわれていますが、
 (5)で記した初期放送版のピッチが最も高くほぼDであることと矛盾します。
③従って、私は下記のように結論付けました。
・3つのバージョンの音源は、全て同時期(1969年?)に録音されたテイクが用いられて
 おり、諸説にある1971年のレコード用や1990年の4番追加といった新規音源の存在
 および流用はないと考えます。(4)の事例では、あくまで既存の音源をこねくり回す
 編集がされていることも、それを裏付けます。
・現行放送版で差し替えられているアウトロの音源は、1969年放送版とは別テイクの
 ようです。(同一テイクという説もありますが、アウトロ導入部1小節目のストリン
 グスが、全音で伸ばしている(あるいはカットしている?)か刻んでいるかの差異が
 あります)

・結局、半音下がりの理由は、同じリズムおよびコードの連続による冗長さ(①参照)
 を避けるために、転調によりコーダ感を出すことを狙った意図的なものではないかと
 推測します。アウトロのテンポが若干遅くなっていることも、テープの回転を落として
 ピッチを下げたことを裏付けます。

2019/8/14追記
⓸参考まで、元東芝音工のレコーディングエンジニアの著書から引用抜粋。
・放送用は、マスターから38cmのテープにコピーしてテレビ局に差し上げた。それを
 映像に合わせた曲の長さでハサミを入れて編集
・無理やり短くつながれてしまったおかげで、編集されたエンディング部分からピッチ
 がズレてしまった。1/4音ほどピッチが低くなった
・おそらく正確な音感を持たないスタッフが担当した
・マスターテープには、もちろんオリジナルの状態で収められている
以上「音職人・行方洋一の仕事(DU BOOKS刊)」による。
アウトロのピッチは本来は同じということを裏付けていますが、それが低くなったのは
いつなのか、という点については、当事者に近い立場でも認識が混乱しているようです。
(あたかも当初からのように読めますが、実際には後年の編集時)
なお同書によれば、当曲が筒美京平作曲なのは、氏の推薦とのことです。


(7)最後に余談ですが、イントロ(Gt)で、ドラムとピチカートが4拍目裏にアクセントを
 付けていますが、一方で、3小節目の2拍目表にスネアがイレギュラーに入っていて、
 演奏者なり編曲者が意図したものかミスなのかちょっと不思議に感じます。但し、別
 テイクと思われる1969年放送版でも同様なため、どうも意図的なもののようです。

 また、後年のカバー演奏やカラオケも殆どがそれに倣っています。


当記事の続編はコチラ
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2&3号線レイアウト妄想!?

2017-11-29 | 鉄道模型
あまり大きな声では言えませんが、長期の出張のお供に「TOMIX
鉄道模型レイアウター」と「Singer Song Writer」は最適だと思います。
当時の出張先が南国故、下手に外出すると体力ばかり消耗するので、
これらのおかげで休日のホテル引き籠りがなんぼでもできました(笑)

1. 国鉄型20m級×4両レイアウト

ということで、妄想全開でレイアウターをいじってみたのが、以下の
プラン。



新性能国鉄型電車の最小編成単位といえる20m級×4両編成が走行
でき、複線かつ留置線付でありながら、畳1畳よりひとまわり小さな
サイズ(1400×750)に収めてます。なお20m級×4両編成というのは、
仙石線風レイアウト妄想(構想)の一条件でもあります。

下記のように、本格的な一連の運転が可能と自負しています。
①留置線から出区
②内回線を周回
③駅で折り返し、左側の渡り線で外回線へ
④外回線を周回
⑤駅終着後、右側の渡り線で留置線に帰区

他にも下記のような特徴があります。
①複線故、当然ながら2列車同時運転が可能(ですが、狭いスペース
 ゆえ頻繁にすれ違うことになるため、避けた方が実感的かも)
②留置線を多く確保したことにより、車両(例えば特急、急行、普通)
 をとっかえひっかえ運用する楽しさがある。KATO飯田線シリーズも
 良さそう。
③外回りの駅部分に機回し線を設けたことにより、機関車牽引列車に
 も対応。(内回りから外回りへ折り返し時の機回しは渡り線で対応)
 外回りの機回し線が右に延びているのは、SLへの対応のためターン
 テーブルへの接続を意図(これはやり過ぎかも)

とまあ、このような感じで妄想バリバリ全開です(笑)


2. 小型車両用レイアウト

TOMIXレイアウターは同社ファイントラック専用ですが、他社のレール
規格に対応したものがないかと探してみたところ、SCARMなる優れた
フリーウェアを見つけました。
海外製ソフトながら日本語にも対応し、主要各社の様々なゲージの
レールが、おなじみKATOユニトラックも含めて収録されています。

ということで作ってみたのが、フライシュマンの道床付レールを用いた、
上記1と類似プランの小型車用レイアウトです。
欧州メーカらしく、フライシュマンの標準カーブ半径が192 or 225.6mm
(ポイント分岐側は430mm)と小さいため、複線・留置線付ながら、
ファイントラックのような極端な小径曲線を用いずとも、小型レイアウト
の標準的な900×600mmのサイズに余裕で収まってしまいました。



SCARMは3D表示もできる優れもので、現物がよりイメージしやすいです。
レールの勾配や地面の起伏も3Dに反映可能です。

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