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趣味の話など

エド山口氏が語る、映画「青春デンデケデケデケ」エピソード(2)

2020-04-18 | 青春デンデケデケデケ
それで映画が出来たんですよ。出来たんですけど、大林さんから電話がかかってきて。
えっとね、やっぱり残るものだからって話。
オレは観ていいと思ったんですよ。
例えばあの、神社の階段でやる「ウォーク・ドント・ラン'64」(♪前奏から弾き始める)
(編注:神社のシーンは「ダイヤモンド・ヘッド」。「ウォーク・ドント・ラン'64」は空き地で煙に燻されるシーン)
オレはアマチュアっぽくていいなと思ったけど、大林監督は「いや、やっぱり映画なんで残るものだから」。
どうするのかと思ったら、ビクターのスタジオに呼ばれて、ヴィレッジシンガーズ(♪「バラ色の雲と~、思い出を抱いて~」と歌いだす)の小松久さん。
あの人ヴァン・ヘイレン(ハンク・マービンと勘違い)というシャドウズのギターに憧れてたの、ベンチャーズ系でないんですけど。
小松久さんとオレと、それとこの間まで「エド山口&東京ベンチャーズ」に在籍したドラムの太田さんという人と、もう1人ベースを雇って4人で、ナント、ビクターのスタジオで映画とその演奏シーンを流しながら、そこでボクらが弾くという。
で、久石譲さんが来てくださって。カツカツカツカツと(指揮とメトロノームのジェスチャーをして)カウント取るじゃないですか、そうするとやっぱり揺れてるんですよね。
アマチュアだから当然素人だから。それを直さないといけないって言うんで、全曲録り直しました。
で、小松さんはこれ(♪グリッサンド)苦手なんでシャドウズ系だから、ボクが全部これやりました(♪グリッサンド)。
ボクが弾いたのはメロディはジングルベルと橋幸夫さんの「チェッチェッチェッ」とか、三田明さんの「美しい十代」ぐらいかな。
あとはオレが全部リズムに回って、小松さんがリードを弾いてくれました。
それで一番困ったのは、大林監督に「下手にやって」。
えっ!? 下手にやるって、どうやってやったらいいんだろう。
例えばグリスも…(♪デンデケデケデケ…)こりゃ上手過ぎちゃうと言われて、しょうがないから(♪ところどころ途切れたグリッサンド)それじゃダメだ、下手過ぎるって言われて。
ドラムのほうもね、普通に叩くとね、手首を使うから、こうなるじゃないですか(♪慣れた感じでエイトビートを叩く)
これを下手に叩けっていうんで、どうやったら下手になるのかねぇっていったら、ここから叩けばいいじゃない?(♪手首を曲げずに、ぎこちなくリズムを叩く)ってやって。
文化祭があるわけですね、クリスマスが終わって、次の高校3年生、の文化祭。
そこで、「ジョニー・B・グッド」をやるんですけど、このときに監督が「もう上手くなってていいから」。
(笑)ムチャクチャ上手くなって、急に。(♪ロックンロールのバッキングを弾く)
急に上手くなっちゃって。そうそう、よく覚えてますよ。

オレは出たかったけど結局出れなかった。
だから映画を観てですね、みんな終わったらそのまま帰っちゃう人が多いんですけど、ビデオでもいいんですよ、もっとずーっとロールずっと見ててください。
最後の辺りに「音楽監修:エド山口」(編注:実際のクレジットは「演奏指導」)って名前が出てくるんですよ。
それを知っている人が多分、この「青春デンデケデケデケ」の話をしてくれって言ってきたんではないのかなと思うんですけど。

それで原作者の芦原すなおさんからもちろん本をいただいたんですけど、これが92年に上映されたじゃないですか。
本は91年ですよね。で、そのね、8年後。ボクは「エド山口&東京ベンチャーズ」で、2000年のことですわ。
1枚目のアルバム、全部で今12枚出てるんですけど。
これが最初のウチのバンドのアルバムです(と言いながら「激突!エレキ天国」のCDを見せる)。
ここに3曲目に入れてる曲があります。実はロッキングフォースメンのテーマ曲を作ったんですボクが。この映画をきっかけにして。
今でも現役でみんなアマチュアバンドやってる原さんのロッキングフォースメンに「ロッキングフォースメンのテーマ曲で、演ってください」って渡した曲を。
じゃあウチの2000年に出した最初のアルバムに入れようと思って、タイトルを変えました。
SUBWAYという、ま、地下鉄ですわ。サンドイッチ屋さんのタイトルで思いついたんですよね。
それ聴いてみます? ロッキングフォースメンのテーマ、ちょっと聴いてみて下さい。
(♪曲再生)
カッコよくないすか? カッコいいっしょ。
これウチのバンドの最初のアルバムに3曲目に入れたのが「ロッキングフォースメンのテーマ」。

これを2000年の7月に出したんですけど、その3年後に今度はオレが自叙伝を出すんです。
14才から24才まで、オレがギターを始めてベンチャーズから入っていって、冬樹と雄三とリズム&ブルースバンド組んで解散するまでの10年間を書いた自叙伝を出したんです。
帯に加山雄三さんの帯をいただいて、嬉しかったです。
加山さんのところのケネディハウスに行って「加山さんチョットお願いがあります、本書いたんですけど」
「帯か?」
「ハイ、帯です。あの、ギャラは?」
「バカヤローこの野郎、だったら500万よこせ」って言われたんですけど、何も取らない、タダで書いて下さったんです。この帯が嬉しくてね。
それを芦原すなおさんに渡したんです。
ちょうど同じ、芦原さんも(昭和)24年生まれですから。ほとんど変わんないんで。ワタシたちと同じ時代を生きてきたんで。
芦原さんは観音寺で香川で生きてベンチャーズに触れた、オレは東京で生まれてベンチャーズに触れた。
で、それを渡したら、芦原さんから「エドさん、東京の事情がよーく分かりました」。
やっぱり観音寺の事情で書いているから「東京ってそうだったんですね」って。
今でもテケテケつながりで(♪グリッサンド)、仲良くさせてもらっています。

青春デンデケデケデケ、ボクにとっても思い出の作品で、浅野忠信くんがこれで、主演じゃないんですけどね。
そうそう電話かかってきたな、週刊誌から。
「何ですか?」といったら、
「浅野さんに何かいいましたか?」
「いや、オレ記憶にないんですけど」
「浅野さんはこう言ってます。『役者やってく上で音楽はやめないほうがいいって、エドさんに言われた』」
なんかそうすると歩き方とか喋りのリズムとか全部にリズムに関わるから、絶対ギターやめない方がいいよって、言ったようなおぼろげな記憶があるんですけど、ボクは忘れていたんですけど、浅野くんは覚えてくれてたみたいですね。
ということで、浅野忠信くんがこの作品に出てたって知らない方も多いと思うので、今日は「青春デンデケデケデケ」のお話でございました。

(以上youtube動画からの文字起こし)
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エド山口氏が語る、映画「青春デンデケデケデケ」エピソード(1)

2020-04-18 | 青春デンデケデケデケ
(以下youtube動画からの文字起こし)

エド山口のOh!エド日記でございます。
いろいろコメントいただいてありがたいです。
どうなるものかと思って始めましたが、70過ぎてyoutubeを。
マニアックな話が多いので、釣り好きな方と音楽好きな方が見てくださっているのかなあと思います。
特にやっぱり音楽好きの方がね。釣りってのは、ほら、限られた人しかやらないから。
たくさん見てくれているのは嬉しいです。

その中で一つコメントで、青春デンデケデケデケの話をして下さい…知ってる人は知ってるんだ。
タイトルはね、青春デンデケデケデケなんですよ。
あれね、関東ではテケテケっていうんですよ。(♪アコギでトレモログリッサンドする)
これを関東ではテケテケサウンド。これを四国のほうでは香川県では雷の音に例えて、デンデケデケデケと。
原作者の芦原すなおさんは、まるで雷が落ちてくるように聞こえたんで、あのタイトルにしたんだと。
今でもたまにボクのライブを見に来てくださいます。年賀状もやりとりしています。
芦原すなおさん原作、1991年河出書房から発売になったんですよね。
翌92年に東映から映画化が決定しまして、監督が大林宣彦監督です。
総合音楽監督が久石譲さん、ボクはこの中に出てくる4人のベンチャーズバンドの高校生の、このサウンド担当だった。
ロッキングフォースメン(編注:ロッキングホースメン)っていうんですよね。
九州(発言ママ)香川県の観音寺、観音寺の町の高校生のお話しなんですわ。

チョット来てくれっていうんで、東宝の、若大将シリーズとか撮ってる世田谷の砧の撮影所に行きました。
ここで初めて出演者と顔合わせしました。大林監督もいらっしゃいました。
で、リズムギターが林泰文くん。今でも年賀状交換しています。
天皇の料理番ってあったじゃないですか、佐藤健くんがやった。
あれの何か仲間で出てました、林泰文さん。けっこう子供の頃から、子役の頃からやっている役者さんです。
で、彼がリズムギターをやると。ああ、そうですか、よろしく。
リードギターはこの人ね、浅野忠信くん。浅野くんね、18~19だったと思う、その時。
少しギターが弾けると。学生時代バンドやってたみたいなんで、ちょっとギターが弾けるのでリードギターだと。
ベースギターが大森嘉之くんっていって。
ドラムの子はね、一般公募したんですよ。役者でもなんでもないド素人を使うことになった。
(編注:「北の国から」にもレギュラー出演してた役者さんです。公募は確かしーさんかその妹?)
なんだか知らないけど大林さんが選んだんじゃないですか。劇中では彼の名前は「明石のタコ」ってなんですね。

1日3時間、9日間ボクは通ったと思います。
映画の公開が92年10月31日で、92年の頭からやったと思います、確か。
(編注:クランクアップが91年年末なので、もう少し早い時期のようです)
1日3時間大変でしたよ。林くんは弾けないんですから、ギター。
だけどここがベンチャーズの凄いところなんですね。
こうやって押さえて、林くんココ押さえてさ、これをこうやるだけだからね。(♪パイプラインのEmのリフを弾く) で、次。(♪Amのリフ) で(Bメロ~グリッサンド)
これを林くんに教えて。
リードの浅野忠信くんには、メロディ(♪Aメロ)と、これ(♪Cメロ)を教えて。
で、ベースの大森くんには、(♪ベースライン)これだけ教えて。
結構ね、すぐできるようになりました。
明石のタコにも、余計なことしなくていいからね、ズンタタズンタカ、ズンタタズズタッでいいからって。

実はボクもこの映画の中で役が決まってたんです。衣装合わせもしました。
どこかっていうと、観た人はわかるんですが、このロッキングフォースメンがアマチュアで結成して少し上手くなった時に、町のスナックのクリスマスパーティに呼ばれるってシーンがあるんですよ。
そこのマスターがボクだったんです、ホントは。
それがね、ちょうど当時日本テレビのね、「ポールポジション」というレースドラマ、加勢大周くんが主役でね。
で、高岡早紀ちゃんと、オレはレースの監督の役で出てたんで、演技事務のミスで、ホントはボクはそこのスナックのマスターの役をやる予定だったのが、バッティングしちゃってできなくなっちゃったの。
それで代わりにやってくださった方が、クレイジーキャッツの安田伸さんだった。
その時ボク観たんですけどビデオで、笑ったのはオレ用のサイズで採寸して、伊勢丹チェック…チェックのジャケットを作ってくれてたんで、安田伸さんが着たからチョットデカかったというね。
あれホントはボクがやる予定の役だったんですわ。

それで現地にも随分行きまして。ロッキングフォースメンというホントのメンバーにも会いました。
リードギター、原さんっていうんですよ。今も観音寺に住んでいます。年賀状でやりとりもしてます。
原さんちにはスタジオがあるんですよ。要するにロッキングフォースメンが練習してたスタジオが今でもあって。

むこうの観音寺にヤマハの楽器屋さん(編注:原作の神戸屋ことオオサカヤですね)があって、その2階がスタジオになっているんで、そこで最終練習しようよって言って、で、4人でやっているの聴いてたら、今だからですけど、浅野くんがね逆立ちしたんですよ。
「何でこんなことしなきゃいけないんですか」って。
えっ! え、どういうこと?って言って。
なんかイヤだったんでしょうね、毎日毎日特訓特訓で。
チョット話そうよって話してね、とにかくね、キミの位置に来ようという人は、世間にね死ぬほどいると思うんだ日本中にね。
ここはやっぱり責任を持ってやらなきゃ、みたいなことを何か言ったんだろう、確かな。
ま、上手く纏まって収まって、撮影が進行していきます。
2月に夏のシーン撮影したんですよ。林泰文くんが彼女(編注:同級生の女の子がいきなり訪ねてきた)と海水浴に行くシーンを、2月か3月だったと思う。
クソ寒いのに海パン一丁でしたからね。あれは強烈でしたね。
(編注:当該シーンの撮影は91年12月でしたが、クソ寒い時期には違いなくプロ魂に感服。
演者への気遣いからか、ロケ直前に大林監督が泳いでいるのがメイキング映像に残っています)
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エド山口氏が語る、映画「青春デンデケデケデケ」エピソード(序)

2020-04-18 | 青春デンデケデケデケ
私が現在も音楽活動を続けているきっかけであり、かつ一番好きな映画でもある
「青春デンデケデケデケ」を監督された大林宣彦監督が、先日亡くなられました。
ご冥福をお祈りいたします。

さて、この映画で「演奏指導」としてクレジットされているエド山口氏が自身の
youtubeチャンネルでこの映画の裏話をたくさん語っておられましたので、ご紹介
したいと思います。映画をよくご存じの方でしたら、実に興味深い話ばかりです。

youtubeで以下検索
エド山口チャンネル
エド山口のOh!エド日記 No.20(2020年3月30日付)

15分ほどの動画です。
エド山口氏のしゃべりぶりも含めて、youtubeを直接見に行かれることをおすすめ
しますが、せっかくの貴重な証言、記録として文字起こししてみました(とは言って
も、ほとんど字幕がついてましたが笑) エド氏が思い違いしている箇所もいくつ
かありましたが、注釈も交えつつそのままにしています。
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