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麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

ポンコツ車と五人の紳士

2008年10月13日 | 鑑賞・まなび
 新しく誕生した集団「Pカンパニー」の旗揚げ公演をみた。
 『ポンコツ車と五人の紳士』
 作/別役実、演出/富士川正美。西池袋スタジオPにて10月8日(水)~19日(日)

 遡ること20年近く昔、大学の劇研……確か「昏々睡々※」の『ポンコツ~』を観て、というより全身で衝撃を受け止めたのが昨日のことのようだ。

 無茶だけが売り物の大学生は舞台に本当に砂を敷き車を埋めて、別役の不条理の世界に体当たりしていた。
 芝居を見始めたばかりの僕は、ベケットも「ゴドー待ち」も知らずに客席に座り、前述した通りその衝撃を五感に受けたのだ。

 時を経て、手練れの役者達(一川靖司/磯貝 誠/森 源次郎/菊池章友/吉岡健二)に本当の砂など必要なく、我々に少しく埋まったポンコツ車を想像させてくれた。
 その要因の一番目は、別役の世界にエレガントなミザンセーヌを施した富士川演出で、戯曲の持つ閉塞感に、ある豊かさを与えていた。
 また役者たちがその狙いに的確に応えて、難解な世界をいとも簡単に掌に乗せ、客席に差し出してくれた。

 差し出されたそれには砂が混じっていないから、スッと喉を通って口の中の後味も爽やかだ。

 腕のいい板前が小骨を丁寧に抜いて臭みをとって(劇中、靴の臭さが大いに話題にはなるが…)、美味しく料理してくれたみたいに。

 さて。Pカンパニーは、この“扱い注意”の戯曲に挑むだけでは足りずに、日替わり公演で『しあわせな男』(作・演出/阿藤智恵)も上演中だ。

 さらにひと月後には、『部屋』(作/別役実、演出/木島恭)と『百歩蛇と馬頭琴』(作/竹本穣、演出/小笠原響)をこれまた日替わり上演する。

 なんとも無謀な連続公演で、この群雄割拠の演劇界に派手な現れ方をした! しかも坦々と……。
 ただただ驚愕だ

 そして必見だけれど、やはり面白い作品はチケットが飛ぶように売れる。HPを見たら15日のみ無印、17日が残少で、あとは完売だった。

 ※東洋大学の学内演劇サークルのひとつ。
  後に『演劇弁当猫ニャー』など輩出。
  その看板女優に池谷のぶえなど。

コメント
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