クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

POPPY RALLYを走り終えて

2013-03-26 15:35:11 | イベントレポート
以前、箱根の芦ノ湖近辺で行われた新車試乗会でのこと。
あいにくの天気で雨と霧。
回りの景色は路肩の先までしか見えない状況。
借り出した車両は3LターボのFRスポーティーカー。
試乗コースはかって知ったる道なので、見えづらくても不安はない。
しかし、走り始めてすぐにペースが上がらないことに気がついた。
視界が良くないのが影響しているとはいえ、スピードを出す気が全く起きないのだ。
ターボレスポンスがアクセルの扱いづらさを感じさせ、
マスターバックのついたブレーキタッチはフニャフニャでいて、
強めに掛けると喰いつきそうな心配もあり、思い通りにスピードコントロールできそうにない。
更に、濡れた路面の様子が全くわからないTVゲームのそれのようなフカフカのハンドルと、
触るもの全てから“飛ばすなよ”の総攻撃を受けた気分で、確か50km/hも出さずトロトロと
しかもサッサと試乗を切り上げた記憶がある。

今回のベルギーのPOPPY RALLY全コースを通して、一車線の狭い道で砂が乗っていたり
泥が乗っていたり、雨の中、夜間も走ったが、一瞬たりとも不安を感じたり
スピードコントロールに迷うことはなかった。
バイオレットのエンジンパワーがあまりにも低いというのもあるが
一番大きいのはノンアシストの“生ハンドル”のおかげである。
2年前にTE27トレノでラリーモンテカルロの雪道を走った時にも同じ様なコメントを書いたと思う。
アシスト無しのハンドル機構が、どれだけたくさんの情報を伝えてきて、
自分の操作に自信を与えてくれることか。
これは走らせる楽しみ、喜び、ひいては安全走行にもつながる。
と、POPPY RALLYを走り終えてあらためて感じている。
現代の車は一見、楽に運転できるようになってはいるが、その扱いづらさと緊張感がセットになっているから
どう走らせても楽しさが少ない。自信も持てない。
いつも不安の中で走らせているから、心底おもしろいと感じられない。