大阪市から生活保護費を詐取したとする容疑で逮捕されたNPO法人「国民生活支援ネットワーク いきよう会」(解散)元代表で暴力団関係者の由井覚容疑者(51)が、NPO法人の活動とは無関係の家族や生活保護受給者を社員にして法人認証を得ていたことが、大阪府警などへの取材でわかった。府警は、由井容疑者が受給者の保護申請に立ち会う際などにNPO法人の「看板」を見せつけて、区役所の担当者の信用を得ようとしたとみている。
特定非営利活動促進法で、NPO法人の認証には「理事3人以上、社員10人以上が必要」と定められている。捜査関係者や同市によると、いきよう会には、活動に関与していない由井容疑者の家族、同容疑者が実質経営する葬儀社の従業員らが同会の社員に登録され、2006年8月に内閣府から認証を受けていた。書類上、理事になっていた大阪市内の男性(68)は2年半の間、由井容疑者に生活保護費の大半を巻き上げられたといい、「理事にされているなんて、まったく知らされていなかった。勝手に登録するなんてとんでもない」と憤る。
登録社員の住所も居住実態がなかったり、住所地そのものがなかったりするなどの虚偽もあった。08年度の登録社員が住む同市平野区のマンションの住民は別人で「05年6月から住んでいるが、そんな人物(社員)は聞いたことがない」と話した。
市によると、由井容疑者は区役所職員らに「NPO法人」の名刺を配り、着ていた作業服もNPO法人の刺繍入りだった。市関係者は「困っている人を助けるためのNPO法人だと言われれば、信用度が上がる側面もある」と打ち明ける。
内閣府の認証NPO法人は約3200団体、都道府県の認証は約3万7千団体ある。内閣府によると、書類審査のみで、暴力団との関係や、実態は営利団体などの告発がなければほぼ認証される。虚偽が確認されれば改善命令を出し、従わなければ認証取り消しの対象になるという。
2010年6月04日 asahi.com(朝日新聞社)
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