東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

【Q&A】 半地下の車庫を作りたいが

2011年12月21日 | 借地の諸問題

 【問】 借地上の建物を改築する際土地を半地下状に掘下げて車庫を作りたいと思うのですが、問題ないでしょうか。


 【答】 駐車スペースを設けるため建物の1階の高さを少し上げてその下に半地下になった車庫を作ることがあります。土地が狭い場合はこうでもしないと車庫を確保できないというわけです。

 しかし、この土地が借地であるときは、半地下にすることは、問題がないわけではありません。建物を所有するために借りる土地が借地ですが、借地人が土地を利用できる権限の範囲は、建物所有目的に限定されています。それ以上に、勝手に土地を利用することは、権限外のことになってしまいます。

 土地上に建物を建築するということは、ある程度は土地を掘下げることは当然です。そうでなければ、建物の基礎工事ができないわけですから、どの程度の規模と構造で地下工事をするのかは、地上に建つ建物が木造か、鉄骨か、その構造と規模でおおよそわかることなので、借地契約で定められた建物を建築するために必要な地下工事であれば、その工事は賃貸借契約の範囲内とみなされことになります。

 しかし、昔、木造建物の契約で借地をして、最近建物改築にともなって、地下工事をして車庫にするという場合は、車庫のために地下工作物を設置することが、借地契約の目的の範囲内かどうかは、明確ではありません。

 自動車の保有が一般的となり、自動車所有者は車庫を設けることが義務付けられていることから見て、半地下にして車庫を造ることも土地利用の方法として不当とはいえません。また車庫自体は、建物の基礎部分でこそありませんが、基礎と一体となった建物に一部分であることには違いないので、借地契約の目的に反するとはいえません。

 しかし、他方で、借地人は、借りた土地を正当に保管していなければならない義務があります。半地下とはいえ、地下に工作物を設けることは、当初の借地契約では予想していなかったことでもありますから、この保管義務違反になるおそれもあります。みだりに土地の現状を変更してもらいたくないと思う地主にとっては、契約違反を主張したくなることでもあります。ですから、工事の前に、一度地主と話合ってみることが必要でしょう。話合いの結果、どうしても地主の了解が得られないときは、増改築許可の裁判手続きをとったらよいと思います。

 ところで、ご質問の場合、建物の改築をするわけですから、借地契約に、増改築禁止の特約があるのかどうかも問題になります。土地賃貸借契約書に「建物を改築、増築するときには、地主の承諾を要する」という条項があれば、地主の承諾を得ないと改築工事ができません。無断で工事をすると、賃貸借契約を解除されるおそれがあります。

 このような増改築禁止特約があるときには、いずれ増改築について地主と協議しなければいけないので、そのときに、半地下の車庫のことも了解を取ったらよいでしょう。了解が取れなければ、増改築の許可の裁判手続きをとることができます。

 

東借連常任弁護団解説

Q&A あなたの借地借家法

(東京借地借家人組合連合会編)より

 

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