大規模災害で建物が滅失した借地人保護で特別措置
大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法案は、先の通常国会で全会一致で可決成立した。この結果、戦災によって住居を失った被災者の保護と罹災都市の復興促進を目的に昭和21年に制定された罹災都市借地借家臨時処理法は廃止された。
罹災都市法は、災害時にも適用され、これまで30回程度にわたって適用事例がある。平成7年に発生した阪神・淡路大震災にも適用されたが、戦後の臨時立法当時の法体系と現代の借地借家の実情に整合しないなど様々な問題点が指摘され、日本弁護士会からの反対もあって2年前の東日本大震災に適用されず、平成24年9月から法制審議会で罹災都市法の見直しが審議されてきた。
建物滅失後の借地権対抗力
今回の特別措置法は、大規模な災害の被災地において、災害により借地上の建物が滅失した場合における借地人の保護等を図るための特別措置を定めた法律で借地借家法に優先する。当該災害を「特定大規模災害」として政令で指定され、適用すべき措置及び地区が指定される。(第2条)
借地権の対抗力の特例では、借地借家法第10条第1項の場合において建物の滅失があっても、その滅失が特定大規模災害によるものであるときは、政令の日から6か月間は第3者に対抗することができる。
なお、6か月が経過した後は、借地権者がその建物を特定するために必要な事項等を土地の上の見やすい場所に掲示する時は、政令の日から起算して3年間は借地権を第3者に対抗することができることになった。(第4条)
従前借家人への通知制度
特定大規模災害で建物が滅失していても借地権を譲渡又は転貸することができるようになった。ただし政令施行から1年以内借地人は裁判所に申し立てを行なえば、地主の代諾許可を与えることになった。(第5条)
特定大規模災害で借家人が借りている建物が滅失した場合、従前の賃貸人がその敷地上に新たに建物を築造し、または築造しようとする場合、政令施行の日から3年以内にその建物の賃貸借契約の締結を勧誘しようとするときは、賃貸人は従前の賃借人のうち知れている者に対し、遅滞なくその旨を通知する義務が生まれる(第8条)。
東京借地借家人新聞より
東京・台東借地借家人組合
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