新家主から建物の明渡しを通告された
5月26日、台東借組に電話が入った。組合員の平田さんからだ。平田さんは台東区下谷で平屋(6坪)を倉庫として家賃7,500円で借りている。倉庫として借りている建物の引き戸に南京錠を掛けられ、閉め出されたという内容だ。
平田さんの家主は、地主から借地の返還を執拗に要求され続けていた。遂に根負けし、本年4月に東京地裁で土地明渡しに合意し、借地権と建物を地主に譲渡した。その旨を家主から連絡を受け、家主が地主に代わったことを識った。地主は新たに家主になっているにも拘らず、態度表明せず、音無しの構えなのだ。
平田さんが倉庫として借りている借家の隣りが地主の住まいである。平田さんは、この地主と地代の値上げ問題、更新料で揉めている。地代は現在、供託中である。こんな嫌がらせをするのは地主以外には考えられない。
組合のアドバイスは
①家主の不当行為に対しては、緊急の自力救済措置として錠を破壊してでも居住を確保する。
②家賃を誰に払うのかを判断するため、建物の所有権が家主から地主へ移転登記されているかを調べる。
「新所有者の移転登記が無い場合には賃料請求をすることができない」というのが判例である。登記簿謄本で建物の所有者を調べてみると,既に5月11日に所有権の移転登記は完了していた。
そこで5月30日、新家主の地主に家賃を支払うが、受領を拒否された。已む無く法務局に家賃を弁済供託した。
6月28日新家主の代理人である弁護士から『建物明渡督促』が内容証明郵便で送られて来た。「貴殿と旧家主との間の法律関係は賃貸借ではなく,単なる使用貸借関係であったものと思料されます」とさ平田んと旧家主の建物賃貸借契約を事実に基づかない独断で借家法の保護を受けない使用貸借と決め付け「貴殿と旧家主の間の使用貸借関係を継承する理由はありませんので本年7月15日頃までに、建物の明渡しを…」という独善的論旨のものであった 。
東京・台東借地借家人組合
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