東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

大震災と借地借家問題

2011年08月27日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 東借連は、夏季研修会を全借連と共催で7月23日午後1時半から豊島区のラパスホール会議室で37名の参加で開催した。今年は東日本大震災を受けて、首都圏や全国各地で大規模な地震などによる建物の倒壊などの問題に備えて「大震災と借地借家問題」というテーマで行なった。研修会は、佐藤富美男会長(全借連副会長)が司会を行い、冒頭河岸清吉全借連会長が開会の挨拶を行なった。

 はじめに、尼崎借地借家人組合の田中祥晃組合長より「阪神・淡路大震災での借地借家相談活動について」とテーマで報告がされた。阪神・淡路大震災当時、尼崎市の市民の26%が老朽化した木造借家に住んでいて被災を受け、マンションへの建替え等を理由に明渡し相談が激増した。大震災直後に全借連の支援を受け、「震災被災借地借家人の会」を立上げ、被災した借地借家人の権利を守るためのリーフレット2万部を作成し宣伝し、活発な相談会活動を行った。無料会員が3ヶ月で2千人入会し、その後の尼崎借地借家人組合の母体となった。当時の地上げ屋との交渉や立退き問題の調停裁判の様子などがリアルに報告された。

 次に、東借連常任弁護団の西田穣弁護士より「罹災と借地借家問題」と題して、罹災都市借地借家臨時処理法(罹災法)について、罹災法の権利内容として(1)罹災借家人の敷地優先賃借権、(2)罹災借家人の借地優先譲受権、(3)罹災借家人の建物優先賃借権以上について解説され、罹災借家人に特別な私法上の権利を付与しているのが罹災法の特徴であると指摘された。これらの権利について、日本弁護士連合会は改正を求める意見書を出しているために、政府も東日本大震災の被災地に適用する政令による指定が見送られている。罹災法がなぜ適用すると問題になるのか等について同法の問題点が明らかにされ、西田弁護士は罹災法について実効性のある制度にするために「建物を震災で失った借地人が簡易に借地権譲渡を可能とする規定の創設、借家人に対し優先賃借権を中心とする救済制度の再構築、家賃補助制度の創設が必要である」と強調した。

最高裁判決を受け更新料の対応学習
 西田弁護士は余談として、更新料・敷引契約をめぐる最高裁判決について報告。更新料をめぐる訴訟としてA更新料支払請求事件、B建物退去もしくは建物収居土地明渡請求事件(更新料不払による債務不履行)による賃貸借契約の解除、C支払済み更新料の不当利得返還請求事件について3つの類型毎に今後の対応について報告した。借家契約で更新料条項が明確で、1ヶ月~1・5ヶ月の条項で無効を争うのは困難であり、今後「更新料条項のない家屋を賃借する」といった運動を作っていく必要があるのではと問題提起した。討論の最後に、更新料の学習会を秋に開催することを確認した。

 

東京借地借家人新聞より

 

東京・台東借地借家人組合

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