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【判例紹介】 抵当権設定後にされた長期賃貸借契約が法定更新された場合は短期賃貸借になる

2007年12月19日 | 契約・更新・特約

 判例紹介

 抵当権設定後にされた長期賃貸借契約が法定更新されて期間の定めがなくなったとき短期賃貸借契約となるとされた事例 (東京高裁平成13年6月22日判決、判例タイムズ1077号)


 (事案の概要)
 賃借人は、既に抵当権設定登記がされていた建物を期間5年の賃貸借契約で賃借した。期間5年が過ぎて合意更新もなく法定更新となり、賃借期間は期間の定めのないものになった。その後、抵当権者が競売申立をして、差押さえ登記がされた。競売手続は進み競落されて、建物の買受人が賃借人に対して引渡命令の申立をした。

 東京地裁は、建物賃借権は短期賃借権ではないから買受人に対抗できないとして、引渡命令を発令した。賃借人は、これを不服として、執行抗告をした。


 (判決要旨)
 「抗告人(賃借人)の賃借権は、最先順位の抵当権に遅れるものである。これは、抵当権設定登記時と賃借権設定対抗要件具備時との先後によって判断される。

 抗告人の賃借権が短期賃借権であるかどうかの判断基準時は差押登記時であり、この時点において、短期賃借権であったか、長期賃借権であったか、期間の定めのない賃借権であったかを確定し、この確定された賃借期間に基づいて民法395条該当性の有無を判断すべきである。

 この解釈によれば、設定当時長期賃借権であったものが競売手続き開始前の法定更新により既に期間の定めのない賃借権となっている場合には、競売手続においてはこれを期間の定めのない賃借権として取扱うことになる。

 抵当権者は抵当権設定登記後競売開始直前に期間の定めのない賃借権が初めて設定されたときも民法395条の短期賃借権を負担するのであるから、それだけの担保価値しか把握していないわけである。

 抗告人の賃借権は、設定当時は賃借期間を5年とする長期賃借権であったものの、平成8年9月30日に法定更新された後、期間の定めのない賃借権となり、平成12年*月4日付の差押登記により基本事件の競売手続が開始された時点においては、期間の定めのない賃借権であったのであるから、民法395条によって保護される賃借権であったと認められる。」


 (説明)
 抵当権設定登記後の長期賃借権が更新されて短期賃借権となった場合、短期賃貸借として保護されるかどうかについては、見解が分かれている。

 本件では、東京地裁の判断を覆して、東京高裁は保護されると判断した。短期賃借権として保護される場合、買受人は、執行手続きの中で明渡を求められず、別に、明渡しの本裁判を起さなければならない。

(2002.10.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 


 

 平成16年4月1日、民法395条「短期賃貸借保護制度」は廃止された。

 しかし、「短期賃貸借に関する経過措置」(附則第5条)により抵当権設定後の建物賃貸借であっても平成16年3月31日までに契約された対抗力のある期間3年以内の建物賃貸借契約の場合は「短期賃貸借の保護」が適用され、その後の更新も認められる。従って、平成16年3月31日までに締結された契約に関しては、現在も短期賃貸借の保護制度は適用されている

 即ち、「この法律の施行の際現に存する抵当不動産の賃貸借(この法律の施行後に更新されたものを含む。)のうち民法602条に定める期間を超えないものであって当該抵当不動産の抵当権の登記後に対抗要件を備えたものに対する抵当権の効力については、なお従前の例による。」(「短期賃貸借に関する経過措置」附則第5条)。

旧民法
395条
 602条に定めた期間(*)を超えない賃貸借は、抵当権の登記後に登記したものであっても、抵当権者に対抗することができる。但し、その賃貸借が抵当権者に損害を及ぼすときは、裁判所は、抵当権者の請求によって、その解除を命ずることができる。

(*) 土地の賃貸借は5年、建物の賃貸借は3年
 

 

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