東京・台東借地借家人組合1

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【Q&A】 連帯保証人は承諾していない更新契約後の借主債務の支払義務があるか

2007年12月03日 | 連帯保証人

(問) 友人の息子Aのマンション入居時に保証人を頼まれ、連帯保証人になった。ところがAの家主から突然、1年分の滞納家賃と共益費の支払を求められたが、請求に応じなければならないのか。


(答) 入居時の契約でAの保証をしたが、その後家主から保証人に関する連絡などは何もなく、契約の更新にはノータッチであったという。このように保証人の自覚もない人間に対し、家主からの保証債務の履行請求は寝耳に水の事であり、その請求に不満を持つのは当然の気持ちである。

 だが判例の傾向は保証人には厳しいものである。最高裁は原則として契約更新後についても保証人の責任を認めている。

 その理由として賃貸契約は正当事由がない限り、更新拒絶が出来ないなど本来相当長期間の存続が予定されている。従って保証人も更新を前提とした賃貸借契約の存続を当然予測できる筈である。

 また保証人の債務は賃料債務を中心とするので賃料額は特定されており、更新後といえども保証人の予期せぬ責任が一挙に発生することがない。

 以上の理由から「特段の事情のない限り、保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責を負う趣旨で合意されたものと解するのが相当であり、保証人は賃貸人において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる場合を除き、更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを免れない」(最高裁平成9年11月13日判決)と判示した。

 最高裁判決の原則から言えば、相談者は家主からの滞納家賃請求に応じなければならないことになる。

 しかし最高裁は同判決で例外として
①更新後の債務について保証しないなどの期間満了後の保証責任について格別の定めがある場合、
②格別の定めがなくても、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情がある場合、
③保証債務の履行を請求することが信義則に反する場合、
①~③に関しては責任義務がないとしている。

 特段の事情」がある場合は保証債務を免れることが出来るというが、どのような場合か。
 「賃貸契約に2ヶ月の賃料の支払を怠った場合に無催告解除が出来るという特約があって、更新までにそれを上回る高額の延滞賃料が発生したにも関わらず、漫然と契約を解除しないで法定更新をして、このことによって延滞額が更に高額になった場合について、このような場合についてまで連帯保証人に責任を負わせることはできない」(東京地裁平成10年12月28日判決)。このような場合、「特段の事情」があり、保証債務の履行を請求することが信義則に反する例として挙げられる。

 Aの家主は借主が家賃の滞納を繰り返し、延滞額が高額になっているにも拘らず、保証人に滞納の事実を連絡するなど、或は契約解除をするなどして保証人の損害を回避する努力をすべきであったが、徒に契約を更新していたため保証人の予想を超える高額家賃滞納になった「特段の事情」がある。

 家主には保証人の損害を回避すべき義務があり、それを怠って損害を拡大した責任は重い。相談者の場合は家主が保証債務の履行を請求することが信義則に反する前記「例外」の③に該当するので、保証人の保証債務責任は認められないと思われる。

 

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