東京・台東借地借家人組合1

賃借人の居住と営業の権利を自ら守るために、自主的に組織された借地借家人の組合です。

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借家人の保証人は法定更新後の債務を負わなくてよいとされた事例

2006年06月01日 | 連帯保証人

 判例紹介

   建物賃借人の保証人が法定更新後の賃借人の債務を負わなくてよいとされた事例 東京地裁平成10年12月28日判決、判例時報1672号)

 (事案)
 (1)賃貸人Xは、Aに対し、約20年前に建物を賃貸し、YはAの連帯保証人になった。

 (2)XとAの間の賃貸借契約は逐次合意更新され、その都度Yは賃貸借契約に連帯保証人として署名捺印してきた。

 (3)平成6年2月、Aが賃料等を240万円滞納したので、Xは契約を解除し、AとYに建物明渡と未払賃料の支払を求める訴えを提起したが、訴訟外で和解が成立し、新たに期間を平成6年4月1日から2年間、賃料月額26万円、滞納が2ヵ月分に達したときは無催告で解除できる等の約定で賃貸借契約を結び、Yが連帯保証人になった。

 (4)平成8年3月の更新時には約200万円の延滞があったがYが全額精算したためXは契約を解除せず、契約は法定更新された。

 (5)Aはその後また延滞し、それが400万円を超えるまでになったので、Xは契約を解除し、Yにその支払を求める訴えを提起した。

 (判旨)
 (1)XはYに対し右法定更新の経緯やその後の賃料滞納について直ちに知らせず、また連帯保証人への就任も依頼しなかったが、その理由は、Yが連帯保証人辞任の意向を有していることをXは承知しており、従前の経緯からしてそれもやむを得ないと考えていたからであった。

 (2)Aは、前件訴訟の際にも約240万円もの賃料を延滞していたものであり、それゆえ、本件賃貸借契約には賃料の滞納が2ヵ月分に達したときは無催告解除しうる旨の特約が付されていた。しかるに、本件法定更新時には延滞額が200万円にも及んだが解除されず、X自身ですら更新に消極的であったがそのまま法定更新されたものであり、さらに、Aの賃料延滞は更新後もおさまらず、最終的には400万円を超えるまでになり本件訴訟が提起されたというのであって、右のような事態が、本件連帯保証契約の当時、契約当事者間において予想されていたものであったとはいい難い。

 (3)以上の諸点を総合すれば、Yにおいて本件更新後は保証責任を負わないと信じたのも無理からぬことであったということができ、Aが本件更新後に負担した賃料等の債務については保証責任を負わない特段の事情があったものと解するのが相当である。

 (寸評)
 結論は極めて妥当である。 ご承知のように、建物賃貸借契約の保証人は、特段の事情のない限り、更新後の賃貸借から生ずる債務についても責任を負うというのが判例の立場である。問題はこの「特段の事情」とは何かであるが、本件はその具体的事例として意味がある。
 保証人から相談を受けた場合は、よくその中味を吟味することが大切である。

(2000.04.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

  2006年7月25日の「判例紹介」は、合意更新の場合であるが、今回とは逆の判断をしている最高裁判決である。


東京・台東借地借家人組合
 
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