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東京・台東借地借家人組合1

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競売で店舗を買受けた新家主が家賃を3万円値上げ要求 (東京・豊島区)

2007年05月16日 | 家賃の減額(増額)

 豊島区東池袋の服部さん等5人グループは、20年前から現在の店舗を借りて商売を続けてきた。住宅地に囲まれた小さな商店街の一角にある共同店舗で、以前の家主はすぐ隣りに住んでいた。

 人柄の良い家主で無茶な家賃の値上げなどを請求することもなく、良い関係が続いてきたのだが、2年前から急に歯車が狂ってきた。

 2年前のある日、何の前触れもなく家主が引っ越していった。誰一人、行き先を聞いている者もいなかった。 相場に手を出し、大きな借金があったらしいとの噂がその後近所に広がった。

 程なく裁判所から今後の家賃は、家主に支払ってはならないとの通知が届き、服部さん等は1年余の期間、某信用金庫に家賃を支払うことになった。その間にも、競売開始の通知がくるなど、服部さん等にとっては驚きの連続だった。

 昨年の9月、競落人から家主になった旨の通知がきた。そんな経過で、服部さん等は5名は昨年10月に全員で組合に加入した。

 12月には、新家主が代理人の不動産屋を伴ってやってきた。家賃を3万円値上げし、期間を2年とし、その後は更新しないとの契約書を取交したいとの申入れだった。服部さん等は、その場での返事を保留し、組合とも相談の上、2年後は更新しないとの条件付の契約には応じない旨をきっぱり通知した。

 その後も家主からの申入れの都度、組合を交えて協議し、みんなで頑張っている。

 

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 *建物の使用収益開始前に借地借家法32条1項により賃料増減額請求をすることの可否 

2007年03月26日 | 家賃の減額(増額)

  判例紹介 

  建物賃貸借契約に基づく使用収益の開始前に借地借家法32条1項により賃料増減額請求をすることの可否 最高裁判所第3小法廷平成15年10月21日判決。判例時報1844号50頁)

 (事案の概要)
 X(借主)とY(貸主)は、平成3年7月9日、Yが建築する予定の建物の一部につき、賃貸借期間20年、敷金234億円、平成7年3月1日予定の引渡し時点における賃料年額18億円、以後2年を経過するごとに賃料を8%値上げする旨の賃料自動増額特約などを定めたサブリース契約を締結した。Yは、平成7年2月28日、完成した本件建物をXに引き渡したが、Xはその引渡し前である同月6日に賃料減額請求をした.その後、Xは、Yに対し、借地借家法32条1項に基づく賃料減額の訴えを提起したが、Yは、本件サブリース契約は事業契約であり賃貸借契約ではないから同法32条1項の適用はない旨主張してXの賃料減額請求を争った。

 1審判決(判例時報1660号65頁)は、本件サブリース契約の趣旨・目的等に照らし、本件サブリース契約には同法32条1項は適用されないとしてXの請求を棄却した。

 原審(判例時報1697号59頁)は、本件建物の使用関係の法的性質は賃貸借契約であり、本件サブリース契約には同法32条1項は適用され、Xは賃料減額請求ができるとしたうえで、「借地借家法32条1項は事情変更の原則に基づき賃料を増減額できることにしたものであるから、契約の成立から賃料支払までの間に相当の期間が経過したことで事情の変更があれば、第1回賃料支払前に賃料減額請求がされても同項にもとづく増減額請求として有効である」旨判示して、賃料は年16億0769万6000円に減額されたと判断した。

 判決)
 本判決は、本件サブリース契約は、YがXに対して本件建物を使用収益させXがYに対してその対価として賃料を支払うというものだから賃貸借契約であり、借地借家法が適用され、賃料自動改定特約によっても同法32条の適用は排除されないとしたうえで、「借地借家法32条1項の規定に基づく賃料減額請求権は、賃貸借契約に基づく建物の使用収益が開始された後において、賃料の額が同項所定の経済事情の変動等より、又は近傍同種の建物の賃料の額に比較して不相当となったときに、将来に向かって賃料額の増減をもとめるものと解されるから、賃貸借契約の当事者は、契約に基づく使用収益の開始前に、上記規定に基づいて当初賃料の額の増減を求めることはできない」としてXの請求を退けた。

 寸評)
 本判決は、サブリース契約が建物賃貸借契約で借地借家法の適用があり、賃料自動改定特約があっても同法32条1項の賃料減額請求ができること、賃貸借契約に基づく建物の使用収益の開始前には当初賃料の増減額請求はできないことを認めた最高裁判決であり、賃料減額請求に関し参考になる判決である。

 

(2004.05.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 一方的に減額賃料を支払った借家人が賃料不払で契約解除された事例

2007年02月06日 | 家賃の減額(増額)

  判例紹介

 建物賃料の減額を請求した後に一方的に自己の主張する減額した賃料の支払を継続した賃借人に対し、賃貸人のなした賃料不払を理由とする賃貸借契約の解除が有効とされた事例東京地裁平成10年5月28日判決、判例時報1663号)

 (事案)
 賃借人は平成5年4月からビルの一室を賃料月額45万円、期間2年等ノ約定で賃借した。賃借人は約2年後の平成7年5日から月額35万円に減額するよう申し入れ、実際その額で支払い始めた。

 賃貸人は、これに対し、減額の協議には応じるが協議が成立しないときは賃貸人と減額を正当とする裁判が確定するまでは賃貸人が相当と認める賃料の支払を請求することができる旨を定めた借地借家法32条3項の規定を引用した上、協議が成立するまでは賃貸人が相当賃料と認める月額45万円を支払うべき旨請求した。

 しかし、賃借人がこれを無視して依然として35万円の支払を継続したため賃貸人は平成8年6月にそれまでの請求賃料との差額合計140万円の支払を求め、これを支払わないときは契約を解除する旨の意思表示をし、建物明渡の訴えを起した。

 賃借人は借地借家法32条3項にいう相当と認める賃料とは、単に主観的に相当と認めるだけでは足りず客観的にも相当と認められる範囲内でなければならず、賃貸人の請求する45万円はこの範囲内の金額であるということはできないから解除は無効であると争った。

 (判決)
 借地借家法32条3項の規定は、賃料減額請求権の行使によって定まるべき客観的な相当賃料額と当事者の認識する主観的な賃料相当額とのギャップによって生じる賃料不払を巡る紛争を防止するため、そのような場合においては賃貸人は減額を正当とする裁判が確定すらまでは、賃借人に対し、自己が相当と認める額の賃料の支払を請求することができるものとして賃貸人の認識に暫定的優位性を認めて、賃借人に右請求額を支払うべき義務があるものとしたものであって従って賃借人が右請求賃料の支払をしないときは賃料不払の危険を免れない。そして右規定にいう「相当と認める賃料」とは、右規定の趣旨に鑑みると、社会通念上著しく合理性を欠くことのない限り賃貸人においても主観的に相当と判断した額で足りるものと解するのが相当である。本件における賃貸人の請求額は社会通念上著しく合理性を欠くものと評価することはできなず、後日なされた鑑定の結果(36万6600円)をもって賃借人のこの判断を不当とすることは当を得ない。解除は有効である。

 (寸評)
 この判決は1998年12月号に紹介された事例との逆の結論である。しかし、そこでの東借連常任弁護団の説明にあるように、組合活動の実務においてはこの判決の趣旨に則って対処するのが無難である。

(1999.05.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


    借地借家法
  (借賃増減請求権)
第32条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

2 建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。

3 建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年1割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。

 

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【判例紹介】 賃料減額で従前を下回る賃料を支払い続けが、契約解除が認められなかった事例

2007年02月05日 | 家賃の減額(増額)

  判例紹介

 建物賃料の減額請求をした賃借人が賃貸人の要求に反し従前の賃料を支払い続けた場合において賃貸人による賃貸借契約の解除の効力が否定された事例 東京地裁平成9年10月29日判決、判例タイムズ981号)。

  (事案)
 賃借人はビルの1階を賃料月額46万円で賃借していた。家主は平成2年7月からの賃料を月額52万円に値上げ請求した。これに対して、賃借人は月額37万8080円に値下げ請求をして対抗した。そして、賃借人は、当面の措置として従前合意賃料を下回る月額40万1710円(別途共益費・消費税)を賃料として支払った。家主は、賃料不払を理由にして賃貸借契約の解除をして建物明渡の裁判を起した。

 裁判でなされた賃料鑑定は月41万2000円であった。賃借人の値下げ請求は認められることになるが、賃借人が支払っていた賃料は、鑑定賃料額よりも1万0290円下回ったことになる。そこで賃料不払で解除されるのかどうかが問題になった。

 (判決要旨)
 「賃借人は、平成8年7月分以降、賃料として月額40万1710円を払っているが、賃料相場の下落傾向を踏まえて月額37万8080円(坪当り1万6000円)が相当賃料であると考えて賃貸人に通知し、賃貸人が争っているので、若干付加する意図で月額40万1710円(坪当り1万7000円)とし、従来の供益費と消費税を加えた41万9761円を賃料改定合意が成立するまでの一応の賃料として支払っていることが認められる。減額された相当賃料よりも支払っている賃料額は月額1万0290円少ないけれども、その相当賃料に対する割合は約2.5%であり現在においても不足額の合計額は相当額の3分の1に満たない額である。借地借家法32条3項によれば、減額請求をした賃借人は、「相当と認める額」を提供しなければならないけれども、その額が著しく不合理でなければ、相当賃料を下回るときには差額に年1割の利息を付して支払えば解除されることはない趣旨である解されている。したがって、本件では、右法案の許容する範囲内の賃料不払であるから賃貸人の解除はその効力を発生させない。」

  (説明)
 借地借家法32条3項は「減額の請求を受けた家主は、減額の裁判が確定するまでは、相当と認める額の賃料を請求できる」と定めている。本件では、右のいう「相当と認める額」として支払った賃料が、その後の裁判で決まった額よりも少なっかたとしても、なお許容する範囲にあると判断された。正当な判断であるが、「許容範囲」にあるかどうかは、後の裁判で決まる賃料額に左右されることなので、現実の対処としては、従前の賃料をとりあえず支払っておくというのが、危険を犯さないやり方であろう。

(1998.12.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 


    参照家賃減額を請求した場合に裁判確定前の家賃額は従前と同額とした判決 

 

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家賃調停で1万円減額 (大阪・摂津市)

2007年01月18日 | 家賃の減額(増額)

      家賃月額1万円減額で和解
        徴収根拠のない共益費ゼロ

 大阪市に隣接する摂津市別府3丁目で店舗付き借家を借りているAさん等3名は、12年前に月額13万円の家賃で入居しました。ところが、昨年9月に隣接の店舗付き借家へ新規契約者が7万1600円で入居してきました。

 Aさん等は、古くから借りている借家人よりも最近契約した借家人の家賃が格安であることに驚き、昨年10月から数度にわたって家賃減額交渉を続けてきました。だが、家主側は2000円の減額しか応じようとしませんでした。

 Aさん等は、昨年12月、民主商工会から全大阪借地借家人組合連合会を紹介され学習会を開き、東淀川借地借家人組合に入会。組合の支援を受けて家主側へ内容証明郵便で家賃の減額請求を通知したが、家主側は話合いを拒否してきました。

 そこで、Aさん等は、吹田簡易裁判所へ賃料減額調停を申立て「不況による売上の減少」「近隣で同種の店舗の賃料と比べ大きな差額がある」などを主張し、さらに、「共益費を支払う具体的な理由は皆無であるから負担する必要がない」と訴え、粘り強く頑張りました。

 その結果、家賃は1万円を減額すること、共益費は徴収しないこと、を条件に和解が成立しました。

 この減額請求を支援した東淀川借地借家人組合の麻畠朝男事務局長は、「和解が成立すれば裁判の判決と同じ効力になります。3店舗の皆さんの努力をねぎらい、共に喜びたいと思います」と語っています。

 

全国借地借家人新聞より

 

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新規の空家募集は既存居住者よりも1万6000円も安い家賃だ(兵庫・尼崎)

2007年01月16日 | 家賃の減額(増額)

 佐藤さんが住んでいる共同住宅は、新規の空家募集ではリフォームを行い家賃月額5万円で貸し出しています。

 ところが佐藤さんたち古くからの借主には35年前に入居以来、風呂釜、水洗トイレ、浴槽取替え費用など、家主は修理を怠り佐藤さんたちは55万円の負担を強いられてきました。しかも、家賃は月額6万6000円で1万6000円も高くなっていることがわかりました。

 家主に家賃値下げを申し出ても応じてもらえず尼崎借組に相談してきました。佐藤さんは内容証明郵便で値下げしてもらいたいとの意思を伝えましたが、家主は値下げの意思はないと拒否回答をしてきました。

 話し合いがダメなら調停しかなく、今年の7月から家賃月額4万5000円に減額するよう調停を申し立てました。2回の調停で10月分から月額8300円の値下げで和解しました。申立ての通りにはなりませんでしたが、家賃が5万円台になり了解しました。やはり声を上げなければと語っています。

 

全国借地借家人新聞より

 

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8000円の減額で合意成立 (東京・豊島区)

2006年12月16日 | 家賃の減額(増額)

 豊島区南池袋の小笠原さんは4年前に現在のの家に引っ越してきた。鉄骨2階建で3DKの小さな1戸建。池袋駅南口から5分程度で便利は良いのだが、家賃は16万円、楽に支払える額ではない。

 今年5月、2度目の更新を迎えた小笠原さんは、思い切って家賃の減額をしたのである。それというのも、日頃から読んでいた組合の新聞に、家賃の減額事例が、しばしば取り上げられているのを見ていたのが、思い切りのきっかけになったようだ。

 1割程度は値下げしてもらいたい、との小笠原さんの申し入れに対し、数日後、家主から5000円の減額なら応じても良いとの回答があった。小笠原さんは直ぐには同意しないで、組合と相談のうえ、改めて1万円の減額を提案し、話合いを続けた。

 その結果、家主も8000円の減額を認め、合意の成立を見ることが出来た。小笠原さんにとって、家主と堂々と話し合った今回の減額交渉は、大きな自身になったようだ。

 小笠原さんが組合に加入したのは、今から13年前に住んでいた家の立退請求がきっかけだった。立退きの条件も一切示されず、一方的に明渡しを求められた。家賃の受領も拒否されたが、供託を続けて頑張り、遂に解決。その時の経験が、今回の減額にもつながったようだ。

 

東京借地借家人新聞より

 

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賃料減額で和解 (埼玉・春日部市)

2006年11月13日 | 家賃の減額(増額)

 春日部で和菓子の製造販売を行っている宮地さんは、2年前に司法書士を代理人として減額請求をしたが、成果はなかった。近隣並みの賃料にしたいという希望で組合に入会した。

 賃料減額については双方の合意が必要なこと。出来ない場合は調停を行い、合意が出来ない場合は、裁判で決着することなどを説明した。

 相手は弁護士を代理人にして、「近隣の相場と比較しても高くない」と主張した。宮地さんは知合いの不動産業者の資料などもとに高額であると主張したが合意できず、不調に終わった。

 裁判で決着をつけることにし、組合の援助で裁判所に賃料減額の裁判をおこした。同時に「話合いで合意したいと言うならば応じる用意があるが、だめならば鑑定の申し出を行い、判決をもとめる」と通知した。

 弁護士はここにきて賃料減額に応じ、4万円の減額を申し出た。不服はあるものの宮地さんは合意に応じ和解。
 「弁護士も使わずに一人で調停、裁判までできたのも組合のおかげです。ありがとうございます」と宮地さんは話した。

 

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 賃料減額で和解した4ヵ月後に再度の減額請求は許されないとした事例

2006年09月18日 | 家賃の減額(増額)

 判例紹介

  建物賃貸借契約の賃料減額請求訴訟で賃料額につき訴訟上の和解が成立した4ヵ月後に再び賃料減額請求をすることが信義則に反し権利濫用に当たり許されないとされた事例東京地裁平成13年2月26日判決判例タイムズ1072149頁)

(事案の概要)
 XとYは、平成9年1月24日、賃料1ヵ月100万円で建物賃貸借契約(以下本件契約という)を締結したが、Xは同年8月分の賃料からXが適正と考えた1ヵ月47万5000円の賃料を支払うとともに、同年10月、賃料減額の調停を申し立て、これが不調に終わったため平成10年2月に賃料減額訴訟を提起した(前訴①)。

 この事件については、平成11年8月30日、「賃料は平成9年9月1日から月61万9100円である」旨確認する判決が下され、Yは控訴した。

 他方、Yは、賃料は月100万円の約束なのにXが月47万5000円の賃料しか支払わないので、賃料不払いを理由に本件契約を解除し、建物明渡請求訴訟を提起した(前訴②)。

 この事件については、平成10年11月18日、明渡を認める判決が下され、Xは控訴した。
 平成11年12月7日、前訴①の控訴審で、「平成9年9月から賃料は月80万円、Yは前訴②を取下げる」との和解(以下本件和解という)が成立した。

 平成12年2月14日、Xは賃料減額の調停を申し立てたが不調となったので、賃料が平成12年4月1日から月49万5200円であることの確認を求める訴訟を提起した。

(判決)
 本判決は、「本件和解は、Xにとっては建物明渡という決定的に不利な事態を回避するため、Yにとっては次のテナントが入居するための時間的空白を回避するために、当初約定の月100万円と前訴①の1審判決の月61万9100円の中間の月80万円で合意したもので、私的自治が妥当する民事訴訟の解決として一定の合理性ある決着であった」とした上で、Xが本件和解からわずか4ヵ月もたたぬ段階で賃料減額請求をすることは、「建物の明渡しという決定的に不利な事態を封じておいて、なお、賃料額の決定について、いわれのないリターンマッチを試みようとするもので、本件和解の内容に抵触する方向での法的行動にほかならず、本件減額請求は当事者間の信義則に反し権利濫用に当たる」としてXの請求を棄却した。

(寸評)
 和解から提訴までの期間の短さ、和解の経緯などの事実関係に照らせば妥当な判決であるといえよう。

(2002.02.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 家主が消費税分の増額を借主に請求出来ないとされた事例

2006年09月01日 | 家賃の減額(増額)

 判例紹介

 家主が家賃増額の方法によることなしに消費税3%分の増額を借家人に当然には請求出来ないとされた事例大阪地裁平成2年8月3日第20部判決、判例タイムズ741号165頁以下)

 (事案)
 XはYに対し昭和60年2月20日、本件建物を賃料月額5万円で賃貸していた。Xは右賃料を不相当として昭和63年2月1日より月額15万円を相当として増額請求し、更に平成元年4月1日から消費税法が施行されることになったので、平成元年3月末頃Yに対し3%を付加して支払うよう求めたがYはこれを拒否した。判決は昭和63年2月1日以降平成元年3月31日まで1カ月7万5108円、平成元年4月1日以降は1カ月7万6235円を相当として、その余のXの請求を棄却した。

 (判旨)
 「消費税は事業者に負担を求めるものではなく、事業者の各段階の売上に課税され、最終的には消費者に課税する税金であり、いわば事業者を通じて消費者に課税するものであるから、消費税法が事業者から消費者にその税金の適正な転嫁がなされることを予定にしているということはできるが、同法が消費者に事業者に対する消費税の支払義務を課したものとか、若しくは、事業者に消費者に対する私法上の請求権として転嫁請求権を認めたものとまでは解することが出来ない」。

 「原告が免税者であり、本件建物に消費税を負担した補修費用の出損をした等の事情もないことは弁論の全趣旨から明らかであり、また原告が免税者であるが、その納税義務の免除を受けることなく、消費税を納税するものであること等の特別の事情も認めることはできないので、賃料増額事由としては、消費税法が施行されることにより生じることが当然予想される物価の上昇の点のみを考慮することになるところ、消費税法が施行により物価が消費税相当分だけ上昇するとは政府の見解にもないことで、本件において、諸般の事情を考慮して、消費税の施行による物価上昇を1.5%とみて、前記認定の月額7万5108円の1.5%の1127円(円未満4捨5入)の増額を認めることとする」。

 (寸評)
 判旨には異論がないと思われる。免税業者である家主が消費税の上乗せを請求するのは実質上は家賃の値上げであり、借家法の増額請求権の行使によってなすべきであるという点は、当然のことである。

 問題は、納税義務者である家主の場合においても転嫁請求権を当然に家主に認めないとするこの判決は、消費税の解釈として異論がなく、実質上のトラブルの解決の参考となるので紹介した。

(1992.07.)

 (東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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家賃25%値下げ (東京・豊島区)

2006年06月29日 | 家賃の減額(増額)

 豊島区池袋駅から15分、住宅地の中にある中華料理店を経営している伊藤さんは、バブルの頃に大幅な値上げをされ、その後10年間も賃料の値下げをせずに商売をしていた。しかし、この不況のあおりと年齢的にも現状の賃料では商売していけないと判断し、店を閉店する事にした。

  組合員でもある伊藤さんは、家主に店を閉店することを通知した上で、家主がどのような対応をするかで最終的な判断をすることにした。

 通知して2週間後、家主からは店舗付住宅を買取ってくれと言う話が最初持ち込まれた。しかし、建て直しをした際には大幅な面積の縮小になるので断ったところ、家賃の大幅な値下げ(現行の25%減額)を提案してきた。

 家主も伊藤さんが出て行った場合、今後店を貸す当てがないために賃料の大幅な減額して引き続き借りてもらったほうが得策と判断したと思われる。伊藤さん「瓢箪から駒。出来る所まで頑張ります」と語った。

 

東京借地借家人新聞より

 

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家賃値下げ合意 (東京・豊島区)

2006年06月28日 | 家賃の減額(増額)

   3年間では124万円の減額
          近隣より高額な現行店舗家賃

 豊島区上池袋でスナックを営業している豊田さんは賃借している店舗の賃料が、近隣と比較しても高いために賃料値下げをさせたいと考え組合に入会した。
 3年毎の更新では、新賃料の2ヶ月分を更新料として支払っていた。

 今回、組合から家主に対して「経済事情の動向、公租公課の増減、近隣の相場どれ一つとっても値下げの要因ばかりです。しかも、今年、5月の2階からの水漏れについても、修理修繕も全くなされていない。今回の更新に際して、賃借人は、賃料を現行の13万円を10万円に値下げと更新料支払の特約削除を要求する。賃貸人が話し合いに応じなければ法定更新にする。今後の話合いの窓口は組合にする」という通知をした。

 組合からの通知に話合いを拒否していた家主は「家賃を11万5000円にし、更新料を1ヶ月とする」という逆提案をし、家主が直接話し合いたいと連絡が入った。

 家主は知り合いの郵便局長とともに来た。その局長は、家主の立場をしきりと擁護したが、組合と豊田さんが、賃料減額の正論を堂々と述べた所、最後は、賃料を10万円を支払うという合意が出来た。

 この合意について豊田さんは「3年間で、124万円の減額になり、どうにか商売を続けていく事が出来ます」と喜んだ。

 

東京借地借家人新聞より

 

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家賃一万円値下げ (東京・豊島区)

2006年06月27日 | 家賃の減額(増額)

  豊島区南大塚でスナックを営業しているAさんは、この8月に店舗の契約更新を迎えていた。7月に家主から突然契約更新するならば、更新料を2ヵ月分(契約書では1ヵ月分)支払って更新をする。しかも事務手数料半月分請求された。

 驚いて前回更新時の不動産屋に相談した所、組合を紹介され入会した。その後Aさんは、組合と相談しながら家主の代理人である不動産会社と交渉した。

 その際、賃料の値下げとケーブルテレビ設置の工事も要求する事にした。まず、賃料の値下げを先行して交渉し、現行賃料の9万円を1万円値下げさせた。その上で、更新料については、前回の契約通り1ヵ月分、事務手数料については支払わないことにし、受け入れなければ法定更新にすることも含め交渉した。

 家主の嫌がらせが続いていた中で、ケーブルテレビの工事についても最終的に契約書の中に書き込ませる事ができ決着した。Aさんは「組合と相談しながらの交渉でやる事が出来ました」と述べていた。

 

東京借地借家人新聞より

 

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家賃の値下げで頑張る (東京・豊島区)

2006年06月26日 | 家賃の減額(増額)

  家賃15万円を7万円に値下げ要求
                 家主は9万円を回答

 池袋の駅から歩いて15分位の所にある美容室Aは、この地で商売をして約30年近くたっている。

 林さんが、ここで商売をはじめた頃は順調に進み、家主からの家賃の値上げについても、ほぼ言われるとおりに値上げに応じてきた。バブルの頃は、毎年のように値上げされ、それでもそれを上回る売上もあり応じてきた。バブル崩壊後も近隣の相場が軒並み値下げしてきても家主の言われるままに支払ってきた。

 ここにきて、自分も後何年仕事や商売が出来るか、そんな事を考えていると現在の家賃のことが気になるようになった。又、2年間近く空家になっていた隣の店舗がこの春入居して、賃料がいくら位のものか問い合わせた所、自分が支払っていた賃料の半分だったというのがショックで、なんとしても賃料の値下げをしたいと思うようになった。

 お店に来る知り合いから、借地借家人組合に相談したらよいと教わり、組合事務所を訪問した。
 組合で相談したところ、がんばって値下げ交渉をすることを勧められた。組合事務所から賃料値下げの話し合いをしたい旨、通知書をだした。「経済事情の動向、公租公課の増減、近隣の相場どれをとっても賃料値下げの要因である。しかも、お隣の賃料は当方の賃料の半分ということで現行15万円を7万円にするよう提案する」という通知に対して、家主側は、第1回目の回答で9万円を示してきた。

 家主から、この回答を引き出した林さんは自信をつけ「7万円にするようがんばってみたい」と決意し、第2回目の交渉に臨んでいる。

 

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 賃料額確認の訴えが抽象的な合意だけでは争訟に当たらないとされた事例

2006年06月23日 | 家賃の減額(増額)

 判例紹介

 不動産賃貸借における賃料額の確認を求める訴えが、当事者間に「公正な額で決定する」といった抽象的な合意があるだけでは「法律上の争訟」に当たらないとして却下された事例 東京高裁平成13年10月29日判決。判例時報1765号49頁)

(事案の概要)
 一、池袋駅西口に大型ビルを建設する事業に参加したX(常盤興業)は、ビルの3階部分(本件建物)の所有者となった。事業推進中、XとY(東武鉄道)は、Xを賃貸人、Yを賃借人とする賃貸借契約を締結しようとしたが、賃料額について合意に至らず、この点については「今後、XとYとは、それぞれ調査研究することとし、各々信用ある第三者の専門家に他の類似の百貨店の賃貸条件の調査を依頼し、それを持ち寄り、これらを尊重し、誠意をもって協議し、公正な額で決定する」との合意書を取り交わした。

 二、平成4年ビル竣工、Yは東武百貨店に本件ビルを転貸した。月額賃料としてYは2063万円を、Xは約4650万円を、それぞれ主張して折り合いがつかず、Xが提訴。東京地裁は2593万円が相当との判決をした。
 YもXも控訴。東京高裁は内容に入らず門前払い。

 (判決要旨)
 賃料額について右の合意書の程度の抽象的な合意しか成立していない本件においては、裁判所が合意に基く賃料額を証拠によって認定することは不可能。また裁判所に裁量によって賃料額を定める権限を付与した法律は存在しない。
 本件は具体的な権利義務に関する争いではあるが、右の合意書の程度の抽象的な合意があるだけでは、現行法のいずれを適用しても具体的な賃料額を確認するという結論は得られないのであるから、本件訴えは「法律上の争訟」に当たらず、裁判所の権限に属しないことについて裁判を求めるものであるから不適法であり、却下は免れない。

(解説)
 この判決は、XY間の当初賃料額(いったん決った賃料額の増減ではないことに注意)について「誠実に協議し公正妥当な賃料額を定めるものとする」とした抽象的な合意しかない場合には、裁判をすることができないとして一審判決を取消してXの訴えを却下(門前払い)した。

 賃貸借契約をはじめて締結する場合に賃料額が決らないままスタートするという例はほとんど見かけないが、なぜこの判例を紹介したかというと、借地の更新料について契約書の中に「更新時には更新料を支払う」との文言がある場合、これが「抽象的な合意」であり、裁判にはなじまないということを知ってほしいと思ったからだ。

(2002.04.)
 
(東借連常任弁護団)
 
東京借地借家人新聞より

 

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