保証金/敷金トラブル/原状回復/法定更新/立退料/修繕費/適正地代/借地権/譲渡承諾料/建替承諾料/更新料/保証人
自主的に組織された借地借家人のための組合です。
居住と営業する権利を守ろう。



受付は月曜日~金曜日(午前10時~午後4時)
(土曜日・日曜日・祝日は休止 )

豊島区のJR池袋駅から歩いて10数分。通り沿いにラーメン店を営む中村さんは組合に入会して10数年が経っている。
毎回の更新時に家主とその代理人である不動産屋から嫌がらせを受けている。その他にも、店の前に置いてある自転車の度重なるパンク、店の前に、上からたまごが落とされるなど。
今回の更新では「家賃は現行通りとする。しかし消費税5%を上乗せして支払うこと」という通知を受けた。そこで、組合に相談し、相手の不動産屋に応じられないので現行通りの家賃で支払う旨返答したところ、不動産屋は「それなら裁判だ」と脅かしてきた。
心配になった中村さんは、組合に相談し、家主に対して次のような文書を作成してもらった。それは、「現在、消費税は内税ですでに納めている。今回の新たな請求は賃料の値上げ請求であるので、一方的な値上げには応じられない。本来ならば値下げ請求をしたいくらいであるが、現状維持ならば、合意更新するが駄目ならば法定更新にする」という内容で、その日のうちに文書を家主に郵送した。
東京借地借家人新聞より
東京・台東借地借家人組合
無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
(土曜日・日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
判例紹介
建物賃借人が賃料減額請求をした場合借地借家法32条3項が定める「賃貸人が相当と認める額」の賃料支払請求権は、賃料減額の意思表示が到達した時点で当然に発生し、その額は特段の事情がない限り従前の賃料額と同額であるとされた事例 (東京地裁平成10年5月29日判決。判例タイムズ997号221頁)
(事案の概要)
賃貸人Xは、賃借人Yから賃料減額請求を受けたが、右減額請求後Yが減額後の賃料の支払いを継続したため、Yに対し従前の賃料額との差額賃料の支払いを求め本件訴えを提起した。これに対しYは、Xの請求は借地借家法32条3項に定める賃貸人からの相当賃料の支払請求であるが、Xは本件訴訟に至るまで相当賃料の支払を求める意思表示をしていないから支払義務はないとして争った。
(判決)
本判決は「賃料の減額に係る借地借家法32条の趣旨は、賃料の減額請求がされた場合においては、減額の意思表示の到達時において賃料は適正額に当然に減額されたことになるが、右適正額への減額を正当とする裁判が確定するまでの間は賃貸人も右適正額を正確に知ることは困難であるから、裁判確定までの間は賃借人には『賃貸人が相当と認める額』の賃料支払義務があることとし、裁判確定後は既払額と適正額の差額のみならず年一割の割合による受領の時からの利息をも賃貸人が賃借人に返還しなければならないこととして、当事者間の均衡を図ったもの」とした上で「減額を正当とする裁判が確定するまでの『賃貸人が相当と認める額』の賃料支払請求権は、賃料増額請求がされた場合においては賃借人は格別の意思表示を要することなくその相当と認める額を支払えば足りるとされていることとの均衡を考慮すれば賃貸人の請求等の意思表示により発生する形成権ではなく、賃料減額の意思表示の到達時に当然に発生する権利であるとするのが相当である。また、右の『賃貸人が相当と認める額』は賃貸人が支払を求める具体的な額を賃借人に通知するとか、賃貸人が減額請求後において従前賃料に満たない額を格別の異議を述べないまま長期間受領し続けるなどの特段の事情のない限り、従前の賃料額と同額であると推定することが相当である」旨判示し、本件ではXがYの減額請求後直ちにこれを拒絶する回答をしているので右特段の事情はないとして、Xの請求を認容した。
(寸評)
賃料減額請求をした場合、従前の賃料額を支払うか減額後の賃料額を支払うかが常に問題となるが、家主に前者の請求権があることを認めたものである。本判決によれば、借家人が後者を選択した場合には賃料不払いで契約が解除される事態も発生する。減額請求後も賃料減額の判決があるまでは従前の賃料額を支払うのが無難である。
(1999.08.)
(東借連常任弁護団)
東京借地借家人新聞より
東京・台東借地借家人組合
無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
(土曜日・日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
6軒の借家人に1月から 3千円の家賃値上げ通告
1月初旬、組合に相談の電話が入った。家主から6軒の借家人に対して、1月の家賃から1か月3000円の値上げを通告され困っているという内容である。 過去、2年毎の値上げが繰返され、その都度、値上げを呑まされ続けている。借家人の意見は、これ以上値上げは呑めないということで全員一致している。 だが、値上げ通告にどのように対処するか、借地借家人組合への加入に対しても、各人の意見は纏らない。
そこで組合の説明会を開いてほしいということで、1月13日に会合を開き、借地借家人組合とはいかなることをするのかを説明した。借地借家法の条文のコピーを配り、それを基にして、家賃値上げの対処方法、供託、調停等を解説した。
組合に加入したいので、1月26日に再度会合を開きたいとの要請があった。 会合で今後の行動の意見交換をし、1月31日に代表者3名と組合役員とで6軒分の家賃を纏めて家主の元へ持参すること、家主への対応は総て組合役員が代表して行なうことを決めた。
当日、家主に対して、6名が組合に加入したこと、交渉は組合を中心に行なうことを通告。今回の値上げは認められない。今まで通りの家賃額で支払うので受領の有無を返答してもらいたいと告げた。家主は共同所有者(不動産業者)に電話で相談するので待ってもらいたいと奥へ引込んだ。
数分後、今回の値上げは撤回すると言い、今まで通りの金額で受領した。
東京・台東借地借家人組合
無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
(土曜日・日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
判例紹介
賃料増額請求権が5年の消滅時効により消滅したとされた事例 (名古屋地裁昭和59年5月15日判決、判例タイムス535号274頁以下。)
(事案)
本件土地の賃料は昭和45年4月1日当時1ヶ月当たり1万2000円であった。
賃貸人Xは右の賃料が不相当になったとして、昭和48年12月13日到達の内容証明郵便をもって、翌年1月1日以降の地代を3.3平方メートル当り500円に増額するとの増額請求をしたが、賃借人Yがこれに応じなかった。
そこで、Xは昭和52年5月に賃料増額の調停を申立てた。その後、調停は不調となり、本訴を提起し、昭和56年8月1日以降の賃料を3.3平方メートル当り1200円に増額する意思表示をした。この訴訟で、Xは昭和49年1月1日以降の賃料が3.3平方メートル当り月額500円であることの確認をも求めていた。
これに対しYは、昭和49年1月1日以降の増額請求のうち、訴状送達の日である昭和56年7月31日までに5年を経過した分については民法169条により時効で消滅したと主張して争った事案。Xの請求を一部却下。
(判旨)
Xが最初に本件土地の賃料増額の意思表示をしたのは昭和48年12月13日である。月単位の賃料債権は5年間行使しないことによって時効消滅するから、Yの右時効援用によって本訴提起(昭和56年7月14日)に5年以上隔たる賃料債権差額分は消滅したことになる。したがって、Xはこれをもはや請求し得ないのであるから、その金額を確定する利益がなく、則ちこの部分は訴えの利益を欠いて却下を免れないこととなる。
Xが主張する、賃料額が判決によって確定されるまで消滅時効は進行しないとの立論は、一旦賃貸人が増額請求をすればその後どれ程放置しても訴提起に至るまで時効期間は進行しないという結果を招くに等しく、採用できない。
Xは、X申立の賃料増額調停中にYが多少の増額には応じる旨の債務の承認をしたから時効は中断したとも主張するが、右調停はXの主張によれば不調に終わったというのであるから、民事調停法第19条の趣旨に則り、その後に訴の提起がなかった本件にあってはこれに時効中断の効果を認めることはできない。
(寸評)
判旨は当然のことである。この判決の後に、平成10年8月31日東京地裁の判決で、本判決と全く逆のものがあったことは、本紙で既に紹介した。
長期間にわたり供託している組合員が結構多いことを見ると、本件と同様に、相当以前の地代の増額請求を受けることがあると思われるので、参考のために紹介した。
(1999.11)
(東借連常任弁護団)
東京借地借家人新聞より
参考判例
地代の増額請求に対して5年の短期消滅時効を認めた事例(東京地裁1985年10月15日判決)
東京・台東借地借家人組合
無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
(土曜日・日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
調停で現行賃料を月額1万円減額
豊島区巣鴨で商売をしている若林さんは、2年前には、家主から家賃値上げの調停を申立てられた。その際は、不調になり値上げをさせることは出来なかった。
その後の2年間は、景気はますます悪くなる中で近隣の店鋪、事務所の賃料は安くなる一方だった。家主からの嫌がらせも後を経たず、この際、家賃値下げを裁判も辞さずの覚悟で調停を簡易裁判所におこすことを決意した。
組合の全面的な援助をもらい、調停手続きを行った。近隣の店鋪を賃貸している人や不動産屋からも資料をもらい調停の場に提出した。家主側も近隣の相場を資料として提出したが、家賃が高くて入居者がいないところの資料を出してきた。
若林さんは、もし値下げに応じないならば本裁判も辞さない決意を表明した。その後、1万円値下げするならば和解に応じてよいと言う提案をしたところ、家主はしぶしぶ和解に応じた。
若林さんは「組合のお陰で値下げすることが出来ました。この景気の悪いときに大変有り難い結果をえる事ができました」と語った。
東京借地借家人新聞より
東京・台東借地借家人組合
無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
(土曜日・日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
交渉で減額に成功する
店舗補償金補充の減額交渉も3回
江東区深川*丁目のAさんは、地下鉄東西線の門前仲町駅近くで店舗を借り、コーヒー店を営んでいる。
当初借りたのが25年前。2年契約で家賃は11万円だった。
その後、契約更新毎に更新料、保証金の償却・補填をはじめ、家賃の値上げは、Aさんが温厚なのにつけ込んで13万円、次は15万円、17万円、20万円、24万円と値上げが続き、保証金の補充は72万円に達した。
平成2年になって、家賃を28万円に値上げ請求を受けて、Aさんは遂に組合に加入した。組合を通じて家賃額の交渉をした結果、264,000円に抑えることができた。
次の更新からは、弁護士を頼んで保証金補充の減額交渉を3回やってもらい、それなりの成果を上げた。
Aさんは、現状では、まだまだ負担が重すぎるため、組合のアドバイスで家賃の減額交渉を始めた。1回目の交渉で24,000円の値下げを勝取ったが、その後も粘って、さらに1万円値下げに成功した。Aさんは「組合に入っていて本当に良かった」と話している。
東京借地借家人新聞より
東京・台東借地借家人組合
無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
(土曜日・日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
賃料増減請求権に期間制限を
借地借家人組合の組合員の中には、土地・家屋の明渡し又は家賃・地代の値上げ等の問題が進捗しないままに供託を20年以上に亘って続けている場合が少なからず存在する。
例えば貸主から賃料の値上げ請求を受け、借主が値上げに不服で賃料の合意が得られない。そこで借主は従前の賃料を貸主に提供する。貸主は当然その賃料には不満であるから受領を拒否する。借主はそれを法務局へ弁済供託する結果になる。
前期の法定手続きをして従前の賃料で弁済供託していれば借主は債務不履行の責を免れる。調停・裁判で新賃料が確定され、不足額があるとときは、その不足額に年10%の利息を付して支払う。以上が借地借家法11条及び32条の趣旨である。
ここで問題になるのは、借主が賃料を供託しているにも拘らず、貸主が長期間、調停・裁判を提起してこないで借主を生殺し状態のまま放置する場合である。家賃・地代は不確定のままの状態で継続することになる。
この様な弊害を可能な限り除去するためには、立法論的には賃料増減請求権の行使に時間的な制限を加える。例えば「賃料増減請求権の行使期間は5年とする」というように期間の制限を設ける。
これよって権利を有しながら長期間、その権利を無為に行使しない権利の上に眠る貸主に請求権の行使に期間制限枠を嵌める。それによって当事者間で協議をするか或は裁判制度を使って問題を解決するかを決断させる。
「賃料の増減請求権は5年の消滅時効にかかる」(大阪地裁2000年9月20日、東京地裁1985年10月15日、名古屋地裁1984年5月15日の各判決がある)
東京・台東借地借家人組合
無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
(土曜日・日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
家賃2万円値下げ更新料0円
台東借組組合員の小泉さんは、今年4月借家契約満了に際して、家主から家賃1ヶ月分の更新料を請求され、相場より高い家賃10万円の件と併せて対処法を組合に相談した。
組合では、家賃を8万円に減額するように家主と交渉することを提案。組合立合いの上で、家主と交渉した。
更新料に関しては、既に法定更新を完了していて問題は無かった。
賃貸情報誌の谷中の物件を例に挙げて、風呂無しの10万円は高いことを説明した。建物の築年数から考えても精々8万円がいいところだ。
押し問答が続いたが、こちら側の主張を全面的に呑む事を渋々承知した。家主は、家賃受領通帳の契約条件欄に「家賃1ヶ月8万円」と書き自署押印し日付を入れた。
しかし、家主の不満は相当に嵩じていたのであろう。2ヵ月後家賃支払の際に、受領印をもらうため通帳を差出すと、突然、家主は実力行使に出た。合意内容を覆い隠すべく事前準備した紙を契約条件欄に両面テープで貼り付けたのである。そして家主は家賃10万円でなければ受取らないが、8万円は内金として受領すると宣言した。
しかし、この証拠隠滅行為は失敗だった。後日両面テープは問題なく剥がれた。
翌月、家賃受領通帳の契約条件欄に「家賃1ヶ月8万円」と書かれた所を指差して家賃は8万円ということを確認して下さいと念を押して支払った。家主は今回、「内金として受領する」と受領通帳に書き込まなかった。
その後は何事も無かった如く家賃8万円をすんなり 受領している。
東京・台東借地借家人組合
無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
(土曜日・日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
家賃の減額請求をしても勝手に
主張する金額で支払うのは危険である
(問)家賃15万円の賃貸マンションを借りている。最近、隣の入居者が月13万円の家賃で借りていることを知った。同じ間取りあるにも拘らず、2万円も安い家賃というのは納得が出来ない。月末に13万円の家賃を持参し、家主に家賃の値下げを交渉したが、家賃は受領して貰えなかった。家主に家賃の受領を拒否された時は供託をしないと家賃の不払で契約を解除されると聞いたが、どうしたらいいのか。
(答)民法494条「供託」は「債権者が弁済の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、弁済することができる者は、債権者のために弁済の目的物を供託してその債務を免れることができる」と規定している。借家人は賃料額を法務局に供託して措けば債務を履行した(家賃を支払った)ことになる。
家賃の値下げに関して、借地借家法32条3項は「建物の借賃の減額については当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる」と規定している。
即ち、借家人から家賃の値下げを請求された場合、裁判で適正な家賃が確定するまでの係争期間中の家賃は、家主(その請求を受けた者)が相当と認める額を借家人に請求することが出来る。
それでは家主が「相当と認める額」に関しては、東京地裁1998年5月29日判決で「裁判が確定までの間は賃借人には『賃貸人が相当と認める額』の賃料支払義務がある」として、その賃料は「特段の事情のない限り、従前の賃料と同額であると推定することが相当である」としている。
借家人が家賃の値下げ請求をしても、借家人は家主が「相当と認める額」(家賃15万円)を暫定的にせよ係争期間中は支払わなければならない。家主の請求する額を下回り、自己の主張する家賃額(13万円)の供託を継続した場合、家賃不払い(債務不履行)を理由に契約を解除され、建物明渡を要求される恐れがある。
従って相談者は納得し難いであろうが従前の家賃額を支払い、借地借家法32条3項に基づいて、家主に配達証明付き内容証明郵便で家賃の減額請求を行う。その後、簡易裁判所に民事調停を申し立てて正当な家賃を決定して貰う方法を考慮すべきである。
(借賃増減請求権)
第32条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
2 建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
3 建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年1割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。
東京・台東借地借家人組合
無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
(土曜日・日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
水道代を水増し請求
台東借組に加入したばかりの組合員の島村さんから、家主との話合いに立ち会って欲しいとの要請があった。2年契約の期間満了が近づいている。家主は、更新料の支払いを約束していないにも拘らず10万円の更新料を請求してきたのだ。家主との間にはトラブルが他にもある。
島村さんは、2年前家賃10万円で風呂付一戸建て住宅に入居した。入居時からガス給湯器とガス釜が故障していて、使用出来ない状態であった。修理を依頼すると、「修理出来る程の家賃を貰っていない」と逃げの一手。結局、風呂は2年間使えない状態で、銭湯に行かざるをえなっかた。ガス給湯器は仕方なく新品に付替えた。
もう一つ、島村さんには腑に落ちない事があった。水道メーターは家主と共用で、風呂を使っていなに拘らず料金が高過ぎるのだ。そこで水道局に過去3年間に遡り料金の開示請求をした。すると島村さんが入居する前の家主の水道料金は基本料だけ支払う状態であったことが解った。家主は、島村さんに水道料金の殆ど(今年に入ってからは、全額)を払わせていたことが判明した。
こんな悪徳家主の所には居たくはないが、何もせずにこのまま引越してしまうのでは口惜しすぎる。そこで組合に相談ししてみた。組合役員が話合いに立合うことにした。
組合が立会い家主と話合をしたその結果、1か月大人2人分の銭湯代2万円を考慮して家賃は今後8万円とする。更新料10万円は無し。水道代は、島村さんが入居する前の金額を勘案して、不当と思われる差額分を2年間遡って返金する。給湯器の交換代金4万円は家主が負担する。以上の如く決着した。
東京・台東借地借家人組合
無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
(土曜日・日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
大幅値上げ請求の
e内容証明郵便を受け取った
今年4月、台東区浅草の井田さんは、家主の代理人の弁護士によるe内容証明郵便を受け取った。
「賃料は、1月当り金7万円を毎月末限り翌月分を支払うとのお約束となっております。…その間土地建物に対する租税その他の公課は増額され、土地建物の価格は上昇し、又近傍類似の賃料に比較すると、上記賃料は不相当であります。よって、上記賃料を本書面到達の日の翌日より1月当り金12万円に増額させていただきます。」という驚くべき内容であった。
こんな大幅で理不尽な家賃の値上げは認められないので、5月分の家賃は、現行の7万円で支払った。勿論家賃の受け取りは拒否され、法務局へ供託した。
その後、弁護士から家賃値上げの調停手続がとられた。6月に第1回の調停があり、値上げの根拠を具体的に示すよう弁護士に要請した。それには何も応えない。弱点を衝かれたのか、逆上した弁護士は「こんな調停、やってられるか、止めだ、止めだ。」と叫んで退席してしまった。
結局、調停は1回で不調に終わってしまった。
東京・台東借地借家人組合
無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
(土曜日・日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
店舗の更新料と手数料がゼロに
東上野で居酒屋を営業している望月さんが組合へ電話をかけてきたのは、11月末のことであった。
契約の更新を不動産屋が言ってきた。家賃を5000円値上げするという内容。この不況下に値上げは呑めない。不動産屋は、契約更新の条件として家賃は15万5000円に、更新料は家賃の2ヶ月分、更新手数料は家賃の1ヶ月分、それぞれに消費税、契約期間は3年を提示している。
組合としては不動産屋を除外して、家主に直接交渉して家賃減額を実現するのが近道とアドバイスした。
家主との交渉時、望月さんは、法定更新制度の説明をし、既に契約は更新されているので更新料の支払いの意思がないことを言い切った。更に、固定資産税・都市計画税も上昇していない。寧ろ、毎年下がっているのが現状だ。坪1万円の家賃は高すぎる。組合で調べてもらったら、近隣店舗の相場は坪8000円ということだ。
それに今回から家賃に消費税をかけているが、家主は非課税業者の筈だ。もし課税業者なら『消費税課税事業者届出書』を提示してもらいたい。それでなければ、家賃の便乗値上げなので消費税分は支払わないと付け加えた。
交渉の結果、更新料・更新手数料『0』、家賃は3万円減額、消費税も無しでOKになった。
契約書がないと金融機関や区の公的融資を受ける場合不利になる。店舗改装資金の借入が困難なので、契約書は必要だった。そこで、家主には、「法定更新しているのだから契約書は不要だが、そちらも契約書がないと不安でしょう」と言って契約書を作らせた。
東京・台東借地借家人組合
無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
(土曜日・日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
隣室の家賃は我家より2万円安いので、
家賃の値下げを要求したいが
(問) 15万円でマンションを賃貸し、2度更新しました。最近隣に入居した人の家賃は、広さ間取りも、内装のグレードも同じなのに13万円だと知り納得できません。今度の契約更新の際に家賃の減額を要求しようと思っています。
(答) 現行家賃に納得がいかない場合、家主に対して家賃の減額を請求する手段はある。
借地借家法32条に次のように規定している。
「借主は、建物の税金・価格の減少、その他、経済事情の変動により、近隣家賃相場と比較して不相当になった時は、契約の条件に拘らず、家賃の減額を請求することが出来る」(32条1項の主旨)
賃貸契約は家主と借主の一定の賃料で合意することで成立する。期間が経過し経済状況が変化すれば、継続家賃が近隣の家賃と比較して「不相当」になっているということは在り得る。その場合の、家賃の改定は、先ず当事者間の協議で決定するのが基本になる。
しかし、家主が借主の減額要求に応じないで協議が調わなかった場合、借主は借地借家法32条に基づいて内容証明郵便で家賃減額の意思表示を明確にした上で、調停を申し立てる必要がある。調停で当事者間の合意が出来ない場合は裁判が必要になる。
裁判になった場合は、適正家賃額を定めるための鑑定が必要となり、その費用として30~35万円(双方で分担)程度の経済的負担を覚悟しなければならない。
係争となった場合、賃借人は減額請求をし、減額を正当とする裁判が確定するまで、従前の家賃を支払う必要がある。一方的に減額した家賃しか支払わないのは危険である。不足額の支払いを請求され、家賃の一部不履行による契約解除、建物明渡しを要求される恐れがある(東京地裁1998年5月28日判決)。
後日、裁判で減額が確定した場合、払い過ぎがあれば、減額請求した日まで遡って、その差額に1割の利息をつけて返還を求める事が出来る。(借地借家法32条3項)
賃料減額請求は、請求者の意思表示が相手方に到達した日の分から、その効果が生ずる(最高裁1970年5月6日判決)。
減額請求の起算日を確定するためにも減額請求は、内容証明郵便で配達証明付にする必要がある。
結論、家賃改定は当事者間の話合いで合意するのが基本である。
東京・台東借地借家人組合
無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
(土曜日・日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。