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判例紹介
建物賃料の減額請求をした賃借人が賃貸人の要求に反し従前の賃料を支払い続けた場合において賃貸人による賃貸借契約の解除の効力が否定された事例 (東京地裁平成9年10月29日判決、判例タイムズ981号)。
(事案)
賃借人はビルの1階を賃料月額46万円で賃借していた。家主は平成2年7月からの賃料を月額52万円に値上げ請求した。これに対して、賃借人は月額37万8080円に値下げ請求をして対抗した。そして、賃借人は、当面の措置として従前合意賃料を下回る月額40万1710円(別途共益費・消費税)を賃料として支払った。家主は、賃料不払を理由にして賃貸借契約の解除をして建物明渡の裁判を起した。
裁判でなされた賃料鑑定は月41万2000円であった。賃借人の値下げ請求は認められることになるが、賃借人が支払っていた賃料は、鑑定賃料額よりも1万0290円下回ったことになる。そこで賃料不払で解除されるのかどうかが問題になった。
(判決要旨)
「賃借人は、平成8年7月分以降、賃料として月額40万1710円を払っているが、賃料相場の下落傾向を踏まえて月額37万8080円(坪当り1万6000円)が相当賃料であると考えて賃貸人に通知し、賃貸人が争っているので、若干付加する意図で月額40万1710円(坪当り1万7000円)とし、従来の供益費と消費税を加えた41万9761円を賃料改定合意が成立するまでの一応の賃料として支払っていることが認められる。減額された相当賃料よりも支払っている賃料額は月額1万0290円少ないけれども、その相当賃料に対する割合は約2.5%であり現在においても不足額の合計額は相当額の3分の1に満たない額である。借地借家法32条3項によれば、減額請求をした賃借人は、「相当と認める額」を提供しなければならないけれども、その額が著しく不合理でなければ、相当賃料を下回るときには差額に年1割の利息を付して支払えば解除されることはない趣旨である解されている。したがって、本件では、右法案の許容する範囲内の賃料不払であるから賃貸人の解除はその効力を発生させない。」
(説明)
借地借家法32条3項は「減額の請求を受けた家主は、減額の裁判が確定するまでは、相当と認める額の賃料を請求できる」と定めている。本件では、右のいう「相当と認める額」として支払った賃料が、その後の裁判で決まった額よりも少なっかたとしても、なお許容する範囲にあると判断された。正当な判断であるが、「許容範囲」にあるかどうかは、後の裁判で決まる賃料額に左右されることなので、現実の対処としては、従前の賃料をとりあえず支払っておくというのが、危険を犯さないやり方であろう。
(1998.12.)
(東借連常任弁護団)
東京借地借家人新聞より
参照家賃減額を請求した場合に裁判確定前の家賃額は従前と同額とした判決
東京・台東借地借家人組合
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