At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Reasons For Thousand Lovers / 角松 敏生

2013-09-08 | Japanese AOR
数ある彼の作品の中でも取り上げられることが比較的少ない1989年のアルバム。1981年のデビュー以来、ベスト盤や企画盤を含め80年代を通してやたらとリリースが多い彼ですが、本作は通算8枚目のオリジナル作品に当たるそうです。角松敏生と言えば、昨今のシティポップス・リバイバル・ブーム的には山下達郎ラインを踏襲したライトメロウな初期のリゾート路線がやはり人気で、個人的にも初期3作と「初恋」は捨てがたいのですが、実は最も良く聴いているのは本作。スピーディーな曲もなく全体的に地味な作品ではあるものの、80年代末期特有のバブル感が最も顕著に現れた一枚で、少しノスタルジックな気分に浸りたいときに重宝しています。この時期らしい打ち込みビートと生音が融合したA-1の「飴色の街」、イントロのシンセの音色がたまらなくライトメロウなA-5のPolar、それから変拍子のバラード・ナンバーであるB-4のMoonlight Tokyo Bayあたりを筆頭に、初期のリゾート路線と共に彼のもう一つの顔である「真夜中の大都会」路線の名曲がずらり。いずれも決して派手なナンバーではなく、当然のごとくフロアで使えるような類のものでもありませんが、深夜のラジオからふと流れてきたら何となく少し嬉しくなりそうなオトナ系のポップスで、個人的には非常にお気に入りです。そして何より本作最大の魅力はこのジャケット。数多あるシティポップス系の作品の中でも、ジャケの構図と色合いだけでここまで都会の洗練された空気感を出せるアルバムを他に知りません。ちょうどLPからCDへの移行がほぼ完了した時期の作品でLPのプレス数がCDと比べ極端に少なかったらしく、街のレコード屋でもなかなか遭遇する機会はないですが、これはアナログの大判ジャケットで持っていてこそ価値がある作品かと。当時オリコンでも最大4位になった作品とのことで、CDならば労せず手に入れることが出来ますが、だからこそ逆にマニアならばやはりここはアナログを探してみてほしいものです。
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Nightwatch / Kenny Loggins

2013-09-08 | AOR~BES
もう何年も前から毎年この時期になると聴きたくなるのが、本作B-2に収録されているWait A Little Whileという曲。以前はオルガンバーの初期ミックステープに収録されていたパティ・オースティンによるカバーを好んでいましたが、ここ2~3年はAOR志向が高いこちらの本家ヴァージョンの方を聴いています。エレピとフルートの爽やかな演奏に乗せながら♪Here's a sweet September morning~と歌われる開始数秒で部屋の空気が一変する魔法のナンバー。ロギンスの頼りない優男風なヴォーカル含め、90年代の第二次AORリヴァイヴァル・ブーム以降に持て囃された曲の構成要素がたくさん詰まっている一曲なので、リアルタイム派のリスナーでもなくても好きな人が多いのではないでしょうか。特にエリック・タッグの2ndあたりを愛聴している方にとってはまず間違いなくマストなはず。リリース当時ヒットした、メリッサ・マンチェスターとの共作であるB-1のWhenever I Call You "Friend"(二人の誓い)もなかなかに良い感じですが、フリーソウルを通過した今の気分で考えるとやはり本命はこの曲でしょう。ちなみにアルバム自体の紹介も簡単にしておくと、ロギンズ&メッシーナのデュオを解散したケニー・ロギンスが1978年にリリースした2枚目にあたる作品です。AOR界隈では比較的よく知られたアルバムで、1000円以下で買える中古盤屋の安売り常連アイテムなので、その気になって探すまでもなく、何軒か街のレコード屋を回ればおそらくすぐに見つけることが出来るでしょう。今の観点で聴くと正直アルバム全編通してお勧めできるという類の作品ではないですが、このWait A Little While一曲のためだけに買ってもお釣りが来る作品なので、そもそも聴いたことがないという方、それから存在は知っているけれどしっかりと聴き込んではいないという方は是非。いつも高いレコードばっかり買って、この手のどこにでもある盤を聴き逃している方、実は以外と多いような気がします。
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