ポーランド出身のジャズメンとしては比較的名の知れた存在であるズビグニエフ・ナミスロウスキ。50年代半ばからディキシー・バンドで活動を開始し、その後は時代の流れに合わせモダン~フリー~フュージョンとスタイルを変えていく彼ですが、本作はそんな彼のモダン期の代表作とも言うべき一枚です。ちょうど欧州ツアーに出ていた64年に吹き込まれたアルバムで、リリースは自国ポーランドからではなく英Deccaから。ワイシャツの上にセーターを着た4人が凛々しいジャケットもどことなく紳士の国イギリス的で良い感じですね。さて、そんな本作における最大の聴きどころは、冒頭M-1に収録されたPiękna Lola, Kwiat Północy (Beautiful Lola, Flower Of The North)。エキゾチックな導入部に続く、どこまでも繊細で美しいテーマが印象的なアップテンポのボサ・ジャズです。ナミスロウスキのアルトも良いですが、ここではそれ以上にウラジミール・グルゴウスキのピアノが見事。東欧独特の哀愁を内に秘め疾走するソロが抜群に気持ちいいですね。音の鳴り・メロディー・ライン共に凄く綺麗なので、欧州ジャズの知的な部分に惹かれる人にはぴったりな曲ではないかと思います。続くM-2のLeszek I Ludwigは一転してモーダルなバラード。グルゴウスキによるオリジナルですが、同時期の西欧諸国で作られた作品に比べても決して見劣りしない名曲で、真夜中のBGMに良く似合う珠玉のモーダル・ジャズに仕上がっています。ナミスロウスキのプレイはコルトレーン的ですが、吹いているのがテナーではなくアルトということで、どちらかというと同じような出自にあるアルト奏者ヴィクトール・アシス・ブラジル辺りに近め。個人的にはこの辺りもポイント高いです。ちなみにオリジナルのアナログ盤は高額盤で、この後のMuza盤などに比べ入手は難しいと思いますが、何年か前にユニバーサルから紙ジャケでリイシュー出ています。出来ればステファン・アベリーン辺りと一緒に、またアナログ復刻もして欲しいのですが…。
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