ブルーノートの4232番はウェイン・ショーターのワン・ホーン作品。最近3管メッセンジャーズにハマっていることもあって、その中心人物であるショーターは個人的に気になる存在だったりします。他のリーダー作をあまり真剣に聴いたことがないので良く分かりませんが、本作はどうやら彼の数少ないワン・ホーン作の模様。マイルス・クインテットでも共演していたハービー・ハンコックをサイドに従え、いわゆる新主流派なモード・ジャズをやっている一枚です。一応ワン・ホーンではあるものの、野暮ったさはあまり感じられず、全体的に知的な仕上がりになっているので、個人的にはわりとお気に入りの作品。特にブラジルのリズムを取り入れたA-3のEl Gauchoは軽快な一曲で、この季節の夜に軽く聴くには打ってつけです。そしてなんと言っても素晴らしいのはB-1のFootprints。抑制の効いたモーダルなナンバーで、たとえば年代的にちょうど同時期に当たる初期レンデル=カー作品などにも通じる甘美なテナーの音色が印象的な一曲です。彼らのBlue Mosqueが好きな人ならば、おそらくこの演奏も気に入るはず。これまでああいう独特で知的な雰囲気はヨーロッパでなければ出せないと思っていましたが、アメリカにもちゃんと出せる人がいたんですね。これまでアメジャズを敬遠していた自分にちょっと反省。ハンコックの流麗なピアノ・ソロがまた素晴らしく、聴いているうちにグイグイと引き込まれてしまいそうです。途中のテンポ・チェンジも決まっていますね。B-3のChief Crazy Horseも同系統でなかなか良い感じの一曲です。こちらもやはりハンコックのピアノが印象的。なお、A-1のタイトル曲はジャズ・ロックで、これは個人的にちょっと苦手だったりします。まぁそれを差し引いても素晴らしいアルバムなので、気になった人は是非聴いてみてください。ちなみに、この辺からリバティーがオリジナルです。念のため。
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