コペンハーゲン生まれのジャズ・バイオリニストによる66年の作品。モダン・ジャズにおいてバイオリン奏者とは比較的珍しい存在だと思いますが、少し調べてみたところ、同じくヨーロッパのバイオリニストとして有名なステファン・グラッペリなどとも親交のあった一流プレーヤーだそうです。もしかしたら当地ではベテランのバイオリニストとして、わりと有名な方なのかもしれませんね。そんな彼による本作。他メンバーのクレジットがないため詳細は分からないものの、クラリネット・オルガン・ギターなど通常のジャズコンボとは少し趣きの違うセクステット編成によるアルバムで、同時代の北欧ジャズと比べてもやや異色な作品となっています。ただ、スヴェンドのバイオリン演奏を引き立てるという意味ではこの楽器編成で正解。その編成ゆえ、一聴するとややトラッドな印象を覚える演奏も、実は要所でモダンのエッセンスが散りばめられていて、あまり古臭さを感じません。それどころか、西欧伝統音楽(=クラシック)とモダン・ジャズを足して2で割ったような独特の雰囲気が、むしろ非常にヨーロッパ的で好感が持てます。この感じはさすがにアメリカでは出せないでしょうからね。収録曲はどれも部屋聴き仕様のオシャレな逸品揃いですが、個人的なオススメはA-1のGrandfather's Clock。ラテン・パーカスを交え、軽快なボサノバ風にアレンジされた「大きなのっぽの古時計」です。心地良く跳ねるリズムに乗った、バイオリンとクラリネットによる優雅なテーマ部には、おそらく誰しも耳を奪われるはず。おまけに使い方によってはDJプレイも可能。ジャズ好きはもちろんのこと、イタリア辺りの映画音楽やライブラリーが好きな人にも気に入っていただけるのではと思います。それほど高い盤ではないので、見つけたら是非聴いてみてください。
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