庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

政府のやるべきことは制度改革と税制度面での支援だ。

2014-09-15 | 経済問題

新規事業に挑戦する企業の支援をするには、金融機関が積極的にリスクを引き受けて、投資に必要な資金を融資しなければならない。

しかし、日本の金融機関はバブル崩壊以後は、リスクを採らない体質に染まってしまい、新事業への融資は極めて消極的になっている。

そこで、カントリーリスク、異常気象による損失など、企業や金融機関の責任とするには酷な状況変化に対しては、国が債務保証してリスクを軽減する。

さらに、製品の市場供給時の価格安定性を保証することで、金融機関の懸念を最小に抑えることが、新事業への融資を活発にさせるのである。

 

安倍政権は、成長戦略と称して「新事業への挑戦」を後押しすると公約しているのだから、これらのリスク軽減措置を速やかに講じる責任がある。

そしてエネルギー戦略の中身を、『脱石油依存』を明確にして、ガソリンの代替燃料や、軽油の「バイオディーゼル燃料化」の方向を、確実に打ち出すのだ。

そうすれば、国内資源を活用した「バイオ燃料事業」はもとより、海外生産の原料による「バイオディーゼル燃料」の新事業が各方面で活発に展開される。

そうすれば、あとは挑戦者の各企業経営者の腕の見せどころである。

 

ここから先は、中央政府が口出しをして、各個別の事業に補助金を出したりすべきではない。

それは、技術開発の自由闊達な創意と努力の競争を、捻じ曲げるおそれがあるからで、経済産業省などはいつも余計なおせっかいをして失敗する。

国内資源を使った「バイオエタノールの新事業」は、すべて、経済産業省が支配して管理したために、多くの税金投入を無駄にしてしまった。

やるべき責務は、『新事業に挑戦し易い投資環境を整える』ことに終始して、個別の技術への偏向をしないことに配慮するのが、肝要な姿勢だ。

 

消費税を均一に高くしていく政策は、新事業の台頭を抑制する影響がでる。

むしろ、税制度による支援の面では、法人税の減税などは止めて、儲かっている企業への課税は積極的に増税をすべきなのである。

その税収を使って、新規事業分野の製品には、消費税を減免する方が、新規事業の成功率が高くなる、と認識すべきである。

それは、新事業の最初の段階では、必ず赤字の状態でスタートするが、その時点では法人税の支払いはゼロで良い筈である。

しかし消費税が高いと、利益のない段階でも税金の負担する羽目になる。(続)


経済の発展は新事業を開拓するのが入り口である。

2014-09-14 | バイオ燃料・バイオマス

日本のエネルギー戦略で、「石油の代替燃料を開発」して、可能な限り石油の輸入依存を減らして行く事が、『国創りの基本的な方策』である。

しかし、実際の事業化を成功させるには、実績のない段階でもリスクを採って、挑戦しなければ実を結ぶことはない。

『ジャトロファ栽培』と「バイオディーゼル原料油の生産」は、日本にとって有益な事業であるが、誰もリスクを引き受けるところがない。

日本の経済停滞は、この新事業に対するリスクを逃げてばかりいるからである。

 

そこで、新事業を開拓する上で「未知のリスク」に対して、どうするべきかを、この「ジャトロファ事業化」を事例として深めてみよう。

まず、大きな検討課題で見ると、海外での生産に対しては、「カントリーリスク」がつきものである。

この場合は、アフリカタンザニアでの事業化であるために、政情不安の懸念があるが、タンザニアは政情が安定して人口4500万人に国民は穏やかである。

農業中心であるが生産性が低いために、貧困層が多く新規の仕事は歓迎される。

面積が日本の2.5倍の国土は、亜熱帯性気候で比較的【ジャトロファ栽培】に適している。

 

それでも海外での生産には、これらのリスクは想定を超える変化が起きるので、金融機関は資金を投じることをためらう。

この対策としては、政情不安や異常気候の遭遇時の損失に対して、政府がバックアップする「債務保証などの支援策」を講じるのが良い。

こうすれば、資金力のない「ベンチャー企業」のレベルでも、果敢に海外での新事業展開を、積極的に実行する資金を集めることが可能になる。

政府のエネルギー戦略の中に、海外での安定した『石油代替燃料の供給先の開拓』を掲げていれば、政府が後ろ盾になる大義名分が明確になる。

 

それでも、金融機関は事業の安定性に懸念を持って、リスクを背負うことを避ける傾向が強い。

生産された「バイオディーゼル燃料の原料油」が、安定した価格で買い取られるかに、疑念を持っているので、貸付資金には担保を要求する。

これに対しては、政府が確実に『バイオディーゼル燃料の普及促進』を図る法制度を成立させる姿勢が必要である。

再生可能電力の促進策に「固定価格買取制度」が大きな効果を発揮した様に。(続)


陸上の作物でエネルギー利用の可能性が高いジャトロファ。

2014-09-13 | バイオ燃料・バイオマス

バイオ燃料の候補である【ジャトロファ】とは、どの様な作物であるのか、日本の読者には判らないであろうから、少し説明を書いてみよう。

自然界に自生する植物で、その種子には油成分が30%程度含まれるので、古くからランプやせっけんの原料に使われてきた。

日本名を「南洋油桐」と呼び、亜熱帯気候でやせた土地でも生育できる。

成長が早くて3年~5年で成木になって実をつけ、樹木の寿命は30年~50年と言われている。

 

タイやマレーシアでも生育出来るが、土地利用が進んでいない「アフリカのタンザニア」の農地が開拓されていない荒地を、利用する事業が採択された。

収入源の作物が見つけられずに貧困に晒されている農民たちに、このジャトロファの栽培方法を教えて、その生産物のジャトロファの実を買い取る。

この収穫した実を近隣の搾油工場に運搬して、バイオヂィーゼルの原料油を生産する事業である。

収穫物の種子は、「年間で1~5トン/ヘクタール」栽培出来るとされているので、初めの「挿木や播種」してから、成木になる3年~5年の間の生活を保障出来れば、農民たちの安定した収入が30年以上も保障されるのである。

 

ところが、この最初の3~5年間の農民の生活を支えて、現地に搾油工場を建設する資金が、日本政府と金融機関では、お金が出せないと言い出している。

それならば、小規模の実験的な事業の計画にして、着実な実績を積み上げることで、将来は大規模なバイオディーゼル燃料の調達ルートに育成する。

しかし、日本の石油企業関係者は、自分からの資金を投入してでも、次世代の石油代替燃料を開発しようという熱意がない。

欧米の動きを調査しているだけで、成功した実例が出来てから、【モノマネ、後追い作戦】によって、失敗のリスクをなくそうという姿勢である。

 

日本の停滞を打破して将来の豊かさへの道を開くには、この様なエネルギーの将来戦略を描いて、リスクのある事業でも挑戦をしなければならない。

政府は成長戦略と称して、過去の実績のあった事業にばかり助成金をだす。

成熟した大企業は、未知の分野でリスクがある新事業には手を出さない経営だ。

これを打破しようとして、挑戦を挑む「ベンチャー起業」には、資金が乏しくて実績を上げる事業が進まない。

まずは小規模で良いから、資金を提供する支援者を開拓することが始まりだ。


将来は国産資源を目指すとしても海外生産の方策も挑戦。

2014-09-12 | バイオ燃料・バイオマス

石油に代替可能な「再生可能エネルギー」で、日本の国土、気候の適した資源は、バイオマスエネルギーの分野である。

この未開拓の可能性が研究不足のために、日本の石油輸入依存が続いているために、石油燃料の需給ひっ迫と円レートの変動の影響を受けてしまうのだ。

国民の生活を守り、安心できる将来の社会環境を築く上でも、バイオ燃料の開発と安定供給は国の優先的な課題である。

中期的な取り組み方針を、長期展望の中で決めて、採りかかる次期が来ている。

 

長期的にはすべて国内資源に依存することを目標にしても、現在は9割以上を海外に依存している。

このブログでは、日本の沿岸において、大型海藻(例えば昆布類)を養殖して、大量に燃料の国産化が可能だが、実現にはどうしても時間がかかるであろう。

そこで、実用化が目の前に見えている「バイオマス由来の燃料」には、石油代替がもう少しで可能になる方策もある。

これらのなかで、可能性が十分にあるバイオ燃料の状況を紹介しよう。

 

トウモロコシや大豆から「バイオ液体燃料」(エタノールやバイオディーゼル油)を製造する技術はすでに確立しているが、食料生産を奪うと批判された。

その時期に「ジャトロファ」という油脂成分が多い作物が日本に紹介された。

この作物は、亜熱帯気候の地域の適した作物で、養分が不足気味の土地でも育つ性質があり、食料と競合しないで耕作地を利用できる。

石油燃料の代替策として有力視され、日本でも作付が試験的に実行された。

結果はやはり日本での気候では生育に不向きで、計画は放棄されたかに見えた。

しかし粘り強く取組を続けて、海外での生産適地を探しあてたグループがいた。

 

日本ジャトロファ(株)は、将来の石油代替燃料と生産する目的で設立され、2010年から、ジャトロファの栽培適地を世界中で調査してきた。

アフリカのタンザニアでの栽培が、コスト的にも国情からも最適地と選定して、

JICA(国際協力機構)の事業に採択されて現地との調整を実施している。

しかし、民主党政権の時代に、事業仕分けの対象になって、すぐに成果が見込めない事業と判定されて、政府の支援は打ち切られてしまった。

その他の石油代替燃料の案件は、ひとつとして成功の見込みがたっていない。

この様な状況では、海外生産によるバイオ燃料の実用化も、まったく「国のエネルギー戦略なき迷走状態」におかれてしまった。(続)


石油の代替燃料としてバイオ燃料の可能性を広く探索する。

2014-09-11 | バイオ燃料・バイオマス

石油燃料に依存する産業は、将来とも日本の暮らしを支える重要な役割にある。

しかし、その石油は資源枯渇の懸念がある段階でも、新興国の経済発展によって、需要が高まるばかりである。

しかも、安倍政権の円安誘導政策の影響で、輸入原油の価格は上昇するばかりで、さらにアメリカの経済活性化によって、ドル高の影響を受ける。

1ドル90円時代には、安定した暮らしが出来ていても、1ドル108円時代のエネルギー輸入依存では1.2倍の経費となる。

輸送エネルギー経費が高騰し、生産、交通、輸送、食料生産と、すべての生活関連経費は上昇する。

 

だが、円安を引き起こして得意気になっている安倍政権には、輸入エネルギーの価格高騰は、政権の責任が及ばない、国際的な流れの影響と逃げるだけだ。

この危機状態が慢性化しない政策、戦略的取組が急務であることは明白だ。

それには電力利用の石油は、すべて天然ガス利用に転換する戦略が必須である。

さらに、輸送用機器の消費量を減らす「省エネルギー化」も加速しなければならない。

その上で、石油の代替燃料を国産資源で実用化する国策が喫急の課題である。

 

この国産資源の石油代替燃料化は、各方面で提案がされているが、国の方策は迷走状態で、小出しに研究開発費を、申し訳程度にバラマイテいるだけだ。

このブログでは、『海藻の養殖を大拡張』する戦略取組を提案しているが、どの方面の識者も、海面利用を言い出す人はほとんど見当たらない。

相変わらずの「アメリカの動向」ばかり見る【亜米利加出羽の守】が多数いるだけで、その論法は、日本には全く応用が出来ない「陸上資源」ばかりである。

トウモロコシのエタノール化は、日本の気候、陸上作物には適さない。

雑草に近いスイッチグラスは、日本には土地が広くあるわけではないから無理。

 

最近は、藻類を陸上の水槽で栽培する技術が進化して、藻類から石油代替燃料を製造する技術が進んでいる。

しかし、広大な未利用地があるアメリカで成立する事業が、日本に持ってきた場合には成り立つ筈はない。

この様な単純なことすら判らない「似非専門家」や、「無謀な冒険事業者」が、政府の補助金を使って研究しても、無駄使いに終わるだけである。

本当に日本に適した「バイオ燃料事業」を、広く募集する段階にきている。


輸送機器の燃料問題を空白のまま欧米の後追い。

2014-09-10 | バイオ燃料・バイオマス

自動車の燃料を将来はどのような手段に代替して行くかは、日本での大きな課題であるが、政府の将来像は全くの空白状態である。

輸送用機器の消費するエネルギーは、自動車が最も多いが、船舶や航空機、鉄道など、多岐にわたるので、代替手段は有力な方策は候補が多数になる。

日本政府の中央官庁だけでは、コントロールは不可能であるから、民間企業、各地方自治体など、地域の特性も考慮した代替手段を用意する必要がある。

政府が中心となって、大きな目標を掲げた上で、この様なオール日本の総力を活かす政策を実行に移すべき段階にある。

 

それにも拘わらず、安倍政権のエネルギー政策は、アイマイなままの迷走状態で、電力方面の喫急課題に振り回される無能ぶりである。

郷を煮やした各業界は、政府はアテにならないとして、それぞれの戦術を優先して取り組みを開始するしかない。

自動車業界では、乗用車は「ハイブリッド車」、「充電式ハイブリッド車」の普及によって、まずは『省エネルギー化』につき進んでいる。

一方の電気自動車を重点にする企業は、『電力の自由化』の方向に身を任せるだけで、既存のガソリン車、ディーゼル車の燃料は、手がつけられない。

 

燃料業界の動きは、それ以上にナマヌルイ状態で、ガソリンの代替候補としての「エタノールの普及作戦」は、消費者の賛同を得られずに全く進まない。

形だけの【環境対応を謳う石油業界】には、消費者も不信感しか抱かないので、『省エネルギー化』の潮流だけが進み、石油業界は売り上げ減に晒される。

業界としての危機感を増大させてはいるが、代替燃料への研究開発の進み具合は、目ぼしい成果は皆無である。

アメリカと欧州の「バイオ燃料関連」の研究進展をみているだけで、独自の代替燃料の実用化挑戦は、消極的と言える。

 

石油業界以外の挑戦者は、各地で試みられているが、支援者も少なく、研究開発への投資も【ベンチャー企業レベルでは資金不足】に悩まされている。

日本の経済産業省は、形だけは『バイオ燃料の研究開発促進』を打ち出しているが、石油業界は二の足を踏んで、表面的な協力姿勢を取り繕うだけである。

航空業界は、欧州の「バイオ燃料の使用義務付け」の法制化に危機感を抱くが、日本政府の方針が無策状態では何も動けず、欧州便は先行きが見えない。

輸送機器の燃料の将来性は、石油の高騰に晒されるママで、危機状態に近づく。


暮らしと産業を守るエネルギーの供給の将来を棚上げ。 

2014-09-09 | バイオ燃料・バイオマス

日本のエネルギー供給の将来依存をどう描くかは、大きな戦略目標として重要であるが、安倍政権は未だに、宙ぶらりんの目標しか掲げていない。

それも、電力の構成をどうするかは、原子力への依存度を減らして行くと曖昧な目標にして、当面の責任をゴマかしているので、産業界は戸惑っている。

電力以外のエネルギーをどの様に脱化石燃料政策を進めるかは、もっと曖昧で内容もお粗末の一言に尽きる。

石油に代わり得る液体燃料は、欧州やアメリカのやることを今のところ見ているだけに終始している。

 

アメリカの戦略は、30年以上も前から、国内の地下に埋蔵されていた天然ガスを採掘できる様に、膨大な国費を投じて開発し、2000年代初頭に実現した。

今や、天然ガスラッシュによって、石油への依存度は減り続けている。

経済成長への貢献度は、莫大な規模になり、雇用改善にも効果が表れた。

リーマンショック後の金融危機を超金融緩和で下支えをしてきたが、それも離脱できる状況になっている。

エネルギー戦略は、産業界にも国民生活や雇用にも、大きな影響を及ぼす、「最重要な国家課題」である。

 

だが日本でのエネルギー戦略は、1990年代から「原子力エネルギーへの依存度」を高めるだけで、石油や天然ガスの長期的課題は、先送りされた。

石油危機の教訓から、輸入先を分散化して、リスクを減らす戦術的な政策は実施したが、再生可能エネルギーへの転換可能性検討は先送りばかりだ。

欧州やアメリカのバイオ燃料の普及策の状況をみて、後追い的に普及目標を立案したが、数値目標を机上論で掲げただけで終わっている。

現在も、欧米の様子見を決め込んで、技術開発はモノマネの方針に留まる。

 

バイオマスエネルギーの実用化には、膨大な時間と費用が必要だから、[モノマネの戦術も]一理あるが、日本の国土は海洋に囲まれた島国である。

アメリカの様な大陸国家で、膨大な国土には使いきれない未開拓地が残っている条件とは大差がある。

後追いするならば、イギリスの様な島国国家の事例を参考にするべきだ。

このブログで紹介した様に、イギリスでは電力の大半を『洋上風力発電』に依存する戦略を立てている。

だが、石油燃料に対する代替は模索中で、日本はモノマネすら棚上げ状態だ。


日本だけが、いまだに石油依存からの離脱戦略が皆無。

2014-09-08 | バイオ燃料・バイオマス

化石燃料の価格の上昇は、20年も前から避けられない潮流であると想定された。

新興国の経済発展が目覚ましくなり、生活水準が向上すればエネルギーの消費量は爆発的に増加する。

中国、インドなどの人口大国が経済発展する条件は、エネルギーの調達が間に合うコトに依存するのだ。

欧州各国では、それに備えて「再生可能エネルギー」であるバイオマス燃料や、バイオディーゼル燃料など、可能性のある技術の開発に余念がない。

 

アメリカは、豊富な木質資源を活用して、バイオマス発電は普及している上に、バイオマス燃料の研究促進に国費を大量に投入している。

石油の代替になる「天然ガスの利用」は、技術進歩によって大量に安価に利用できる様になってきた。

将来は天然ガスを各国に輸出できる体制も整えつつあり、石油の輸入依存からは離脱できる体制に進んでいる。

脱石油燃料戦略は、先進国での必須の長期的な国策である。

 

日本の安倍政権は、現状の認識が偏っていて、いまだに「加工貿易立国」時代の成功体験に浸っている。

原材料を輸入して、大量の石油消費によって電力とエネルギー需要を満たし、製造業の活発な拡大を図る国策が、高度経済成長を支えてきた。

しかし、エネルギー価格の高騰とグローバル化の進展で、日本の製造業の主力は海外の生産に移転している。

国内に残っている製造業は、日本独自の製品か、付加価値の高い特殊品である。

多少の石油価格上昇や電力費の増加でも、耐えられる製造業が頑張っている。

 

この民間企業の努力にアグラをかいて、「石油の消費」の代替になる、エネルギー源の技術開発と普及促進を、何もしないで済ませてしまった。

経済停滞による失われた20年間は、知られているが、石油代替のエネルギー開発は、30年間も失われて無為の時間を過ごしてきた。

世間もマスメディアも、「電力の構成戦略」は、脱原発の可否で議論が沸騰したが、電力以外のエネルギー源、脱石油の戦略には、ほとんど関心をよせない。

ことあるごとに過度に中東依存した石油輸入や、安全保障問題で「シーレーンの確保」など、問題だと騒ぐだけで、長期の[脱石油戦略」には逃げ回るだけだ。

改造「安倍内閣」には、この問題への関心は全く低い様である。


農業の成長戦略は掛け声だけで政府のやることは素人同然。

2014-09-07 | バイオ燃料・バイオマス

農業を成長産業にして地域社会の経済活動の牽引力に育てるには、「高付加価値農産物」の生産に転換することである。

同時に、新規の農業経営者の参入促進を図るために、農地の取得を集約化が効率的に進められる制度の改革が必須である。

その様な有効な対策をしないままに、円安誘導などの農業経営を圧迫する「愚かな政策」を実行することは止めて、為替への介入はしないことだ。

その代わりに、輸入依存100%に近い化石燃料への依存度を減らすことに、政府や自治体は率先して、支援する必要がある。

 

現代の農業は機械化が進み、さらに温室などのハウス栽培が「高付加価値農産物」の生産には不可欠になっている。

必然的に、化石燃料に依存したり電力の頼る度合いは増え続ける。

ところが、政府のエネルギー政策の誤りもあって、化石燃料は世界的な高騰のあおりをモロに受ける構造になってしまった。

この様な熱エネルギーの燃料や輸送用燃料の革新が必要な時代になっているのに、農水省を始め、各地の自治体では、世界の革新技術に大きく遅れている。

 

まず「ハウス栽培」などに使う燃料は、この50年間は何も変わらずに、輸入石油の重油、または灯油に依存したままである。

世界的に石油需給のひっ迫と、円安誘導の被害で、農家の燃料経費は大幅に増え続けているが、政府も自治体もなすすべなく見ているだけである。

農業先進国のヨーロッパ諸国では、「バイオマスエネルギー」の利用技術が進化して、石油の消費削減に効果を発揮している。

日本では、政府や農協が重油しか頭にないために、バイオマス燃料の熱利用設備が、全く普及しない上に、技術水準も大きく遅れてしまった。

 

今頃になって、ハウスの熱源に使用出来る「木質燃料」の利用実績を作ろうとして着手しているが、手探りの状態でどこも効果的な実例は出来ない。

政府の主導する【農業の六次産業化】の政策でも、熱エネルギー分野の改革は、掛け声だけて、中身は全くないに等しい。

この分野での縦割り行政の弊害も甚だしいブレーキとなっている。

経済産業省は、農業分野へのエネルギー改革には、権限の垣根によって口をはさむ意思はない。

担当官庁の農水省の官僚群には、エネルギー分野の基礎知識すら全く乏しい。


安倍政権の経済戦略は農産物の輸出促進政策の逆行だ。

2014-09-06 | 経済問題

日本の農業を『高付加価値の産物』に転換して、新進気鋭の農業経営者を大幅に拡大することが、農業の活性化になる。

農業技術の進化によって、その実現性は高いが、問題は日本の消費者の高齢化であり、消費意欲が旺盛な若年層の購買力が落ち続けていることだ。

安倍政権は、この【若年層の実質的収入を落とす】ことばかりに専念している。

株価の上昇を画策しても、含み資産が増えるのは高齢の富裕層ばかりだ。

大企業が潤っても、老年の経営者層の一部しか所得は増えず、一般世帯の所得は、物価上昇率に追い付かない位の微々たる昇給にとどまっている。

 

だから、農業で高付加価値の農産物を栽培しても、国内での消費だけをアテにしては、確実に行き詰る運命である。

そこで、農産物の輸出を積極的に行わなければ、先行きは行き止まりになると、政府もやっと気がついて、遅まきながら輸出促進に転換した。

今までは、輸出促進といえば、家電や自動車などの工業製品を支援したが、これらは円安に誘導すれば、輸出は有利になって伸びる効果がでていた。

しかし、大半の製造工場は海外に移転しているために、国内の工場生産品は、国内向けの特別仕様がほとんどで、効果はでない。

 

なんと無知な政府であると呆れるが、とにかく農産物の輸出促進は将来のためには必須の課題である。

日本の農産物輸出は、世界の輸出マーケットの規模が100兆円を超えている中で0.2%程度の2000億円しかない。

日本の農業生産額は約8兆円もあるのに、2.5%しか輸出農産物はないのだ。

農水省の政策が全くお粗末に尽きる上に、農産物の輸出を志す農業経営者も、ホンのわずかに留まるからである。

農業の高付加価値化と生産性向上を図ることで、輸出促進は可能になる。

 

ところが、安倍政権の政策は、この動きにもブレーキをかけている。

農業の必要経費になる【燃料費の高騰】や、飼料や肥料の原料も【円安誘導の悪影響】で、軒並みに赤字要因となってしまった。

輸出促進どころか、農業経営の圧迫によって、経営余力を奪い続ける悪業ぶりで、何のために「超金融緩和政策」をとったのか、頭の中身を疑うばかりだ。

すぐにでも円安誘導政策をやめて、公共事業へのバラマキ的補助金を、『農業の高生産性の実現』への支援に向ける政策に転換することが急務である。(続)


豊かな暮らしを望むならば事業性の高い農業を目指す。 

2014-09-05 | 暮らし・健康問題

農業は自然を相手にする天候任せの「付加価値の少ない製品」を作る仕事で、収入も多くは得られないと、思いこんでいる人が多いでしょう。

全体的な水準はどうなのか、と関心を持つならば次のデータを参考にすると、農業に対するイメージは変わる。

OECD(経済協力開発機構)の調べでは、全部の職業の世帯平均を100とすると、日本の農家所得は120で、アメリカは110で日本よりも低い。

ヨーロッパの農業先進国のオランダは250、デンマークは170、フランスは160で、生産性の高い農業を経営している国は、世界の平均を大きく上回る。

 

この事実は、これから日本の農業を高付加価値農産物にシフトして行けば、働く人たちの世帯収入は大きく向上することが期待出来る。

その反面では、大量生産の工業製品を作る業種では、これから技術力をつけた新興国と製造拠点の奪い合いの競争を強いられてしまう。

懸命に努力をしても、人件費の引き下げ圧力は高まるばかりで、世帯収入が向上出来る見込みは大変に厳しい状況でしょう。

日本の製造業は、日本独自の商品にすることや、高付加価値の少量生産品に力を入れて、需要層を開拓しなければ、収入は増加する見込みが立たない。

 

では農業の分野の成長可能性がどうかというと、次のデータを参考にできる。

約200万戸の農家のうち、売上額が1000万円以上の農家は14万戸の7%で、この層で全農業生産額8兆円の6割を占めている。

残りの農家は、兼業農家や、余生を楽しむ準農家で、高齢化していくので10年以内に勇退する可能性が高い。

必然的に農地の余剰が生まれて、集約化が進む上に、誰も耕作しない遊休農地が大量に生まれる。

まさに、参入するには絶好の機会がきている状況だ。

 

農業技術の進歩も著しい上に、お手本になる農業経営の事例は、次々にうまれているので、成功する可能性は高くなっている。

もちろん、基本的な経営知識と農業に対する勤勉性が不可欠であるが、年間売上1000万円以上の規模から始める資金さえあれば、いきなりトップ集団だ。

成熟した製造業の分野で、『高付加価値製品』の開発に成功するチャンスよりも、農業の高生産性、高付加価値化に挑戦する方が、成功率は高いでしょう。

食料自給率の呪縛から離れれば、日本の農業は前途が開けている分野です。


高齢者が率先して高付加価値の農産物を消費する流れを。

2014-09-04 | 暮らし・健康問題

日本の農業の活性化の必要性は、十分に理解されたと思います。

それ対する大きな懸案が【高齢化の進行】が、農業の活性化のブレーキになるとの論調が社会に流布しています。

しかし、「農家の経営者の高齢化」が問題であるとの論調は、大きなカン違いであると説明しました。

問題は消費者の日本国民の高齢化が大きな障害になる、と認識をすべきです。

つまり、食料を大量に消費してきた若年層が減り続け、食べる量が少ない高齢者が増えることは、食材に対する需要が減り続けるのは必然だからです。

 

目指すべきは、「高付加価値の食材を大量に普及」できる『需要層の開拓』です。

高齢者は、カロリーの多い食材は減らし、低カロリーで健康に良い食材を求めていきます。

それも、比較的に蓄えのある高齢者層は、高品質、高付加価値の食材を求める傾向が増えていく。

それに対して、日本の歴代の政権が「若年層の収入を減らし続ける政策」、いわゆる【賃金デフレ】を推し進めた影響で、若年層の購買力は低下する一方です。

つまり、生産者側の懸命な経営努力で、「高付加価値農産物」の生産を拡大しても、需要側の高齢者は食べる量が減り、若年層は、買いたくても手が出ない。

 

政府のやるべき重要な課題は、『少子化の流れを止める』ことが最重要で、その中で『若年層の購買力を高める』ことである。

高齢者は、蓄えに余裕のある人は、できる限り『高付加価値の農産物』を買って、経営努力をしている日本の農業事業者に報いることでしょう。

東北大震災後に、東北諸県や福島の農産物を復興支援の善意で支えた様に、日本の消費者全体で、農産物の高付加価値化の流れを支援すると良いでしょう。

「贅沢は敵だ」との考えを捨てて、農家の努力の賜物を無駄なく消費する。

 

デフレ経済を克服するうえでも、消費を上向きにする必要があります。

その筆頭に出来る限り、高品質、高価格の農産物を積極的に買って、日本の農業経営者への資金の還流を図るのが良いでしょう

マスメディアは日本の将来を悲観的に報道するのを控えて、豊かな老後を「高品質の食材を利用」する流れを創りだすのが役割でしょう。

グルメ番組を作るにも、国内の農産物の多用するメニューを心掛ける。

高齢化問題は、高齢者の意識を改革することで、乗り越えることができる。


農業の最大問題は高齢化にあるとしても勘違いだ。

2014-09-03 | 国創り政治問題

日本の農業政策を【自給率の向上】から転換して、『高付加価値農業の育成』に力を注ぐべきだ。

安倍政権はやっと気がついて農業の6次産業化とともに、輸出出来る農産物の奨励を始めて、やる気のある農業者を支援することに政策転換した。

しかし、モノゴトを表面的にしか見ない似非評論家の意見に染まったマスメディアの論調は、農業従事者の高齢化によって悲観的な論調である。

この衰退する農業、高齢化した農業の悪宣伝を払しょくすることが必要である。

 

【農業従事者の60%が65歳以上】というデータを受けて、後継者がいなくなり耕作放棄地が増加して農業は衰退の道につながっている、と流布される。

これは明らかなマスメディアの勘違いである。

農業以外の産業では、多くは60~65歳の定年を迎えて引退するのが通常で、これらの産業で高齢化を問題にすることは一切ない。

農業の実態をみれば、農地を保有している高齢者は、農業をしていても、事業としての採算性を追求することはなく、農業を楽しんでいる人たちである。

産業としての事業性を追求している農業者は、他の産業とは大差がない。

 

農業経営者2000人にアンケート調査したデータ」を紹介しよう。

「食料自給率ありきの政策ではなく、個々の農場が努力し国内農産物の需要増加を目指すべきだ」との設問には、9割が賛同している。

また、「日本で油脂や飼料用作物を国際価格で作りコトは現実的でない」と回答し、9割が「個々の経営が成り立つ作物を作ることが大前提」との意見だ。

つまり、今までの農政は、食料自給率にこだわり、余生の楽しみ農業を保護することで、農業経営者の高齢化と現状維持を助長していたのである。

やる気のある農業経営者層を活性化させれば、高齢化は全く問題ない。

 

また、耕作放棄地の増加が問題視されているが、経営の成り立つ見込みのない農地は遊休化しておくか、他の用途に転用するのが合理的である。

問題は新規に参入する事業者や、若手の農業経営者に、この様な遊休地が合理的に利用出来る制度の改革が遅れていることにある。

この様な制度の改革にこそ農政の役割があるのに、農作物の転換などに口をはさんで、経営合理性をゆがめている。

本当の高齢化問題は、「少子化傾向」に歯止めがかからず、日本の需要者が高齢化する方が大問題で、需要の減るところに再生は望めない点にある。(続)


日本の国情に合った農業の高付加価値追求が地域活性化に。

2014-09-02 | 国創り政治問題

日本の産業を強化するには、アメリカ的なやり方を極力避けて、日本独自の強みを発揮できる分野を選び、価値の追求を求める路線を採る。

そのひとつの分野に農業の高付加価値化の路線がある。

アメリカは広大な国土を活かした、大規模農場による経営で、小麦やトウモロコシの生産で、圧倒的に世界の市場をリードしている。

この様な量的な追及する農業では、アメリカ式は付加価値の追求よりも経営規模を大きくして、機械化による数量の拡大で利益を追求する方式だ。

 

しかし、日本ではこのような農業では、狭い国土の制約ですぐに限界になるので、産業としては進む方向ではない。

日本の農業を追求する路線は、単位面積当たりで、売上の高い農産物、例えば、トマト、イチゴなど、[200~500万円/10アール]を売り上げる品種をつくる。

お米の様に、[10~20万円/10アール]の価値の品種をいくら追求しても、産業としての価値は伸びる余地がない。

オランダの様に施設園芸の栽培を近代化して、薔薇などは[500~700万円/10アール]のレベルを、実現することも可能性がある。

 

この様に日本の農業は、農水省の悪宣伝により、世界でも遅れている農業国であるとのイメージ低下にも拘わらず、各地の篤農家が支えている状況だ。

例えば、「ネギの生産量では世界一」であり、ホウレンソウは世界3位、ミカン類は世界4位、キャベツは5位、イチゴ、キュウリは6位である。

これらの実績は、豊かな食生活を楽しむ人口が支えて農業を発展させてきた。

どんな産業でも付加価値を求める需要層がなければ、技術も事業も進化しない。

これらの農産物が拡大して普及進んだために、低カロリーの農産物の自給率はどんどん拡大したのだ。

 

お米やイモ類の高カロリーの農産物を重視しなければならなかった「戦前、戦中、戦後」の時代とは、国民の要求が大きく変化しているのは当然である。

それなのに、農水省は、米農家の既得権と農地を守ることばかり優先するために、「偽りの国策・食料自給率(カロリーベース)の向上」を錦の御旗にして、農業予算を大量に投入し続けてきた。

そして、自らの農政の失敗《米生産の大赤字》だけを引き合いに【日本農業の衰弱と消滅論】の危機を煽る悪宣伝に余念がない。

地域の活性化は、この悪宣伝を断ち切ることから始める必要がある。


アメリカの後追いをする路線をから価値の追求に転換。

2014-09-01 | 国創り政治問題

アメリカは膨大な国土に埋蔵されている石油を基盤にして、自動車産業と航空機産業で世界を席巻して、経済大国の地位を築いてきた。

また、小麦やトウモロコシの生産に適した広大な国土で、世界の穀物市場を支配できる力を利用して、外交や経済進出のテコにしてきた。

日本は国土も小さくて、平野部も少ない地形で、アメリカの様な産業による国創りは進め様もない。

日本は多様な気候と勤勉な国民性に適した、「高品質な商品と食材を開発」するコトが、これからの付加価値製品の土台を築く始まりになる。

 

高品質な商品の代表は、日本の自動車では『ハイブリッド車、充電式ハイブリッド車』であり、日本独自の規格に沿ったミニカー「軽自動車の技術」である。

これらの商品に具体化された電池やモーター部品、コンパクトに設計された各種部品の技術は、アメリカでは真似が出来ない付加価値製品だ。

また、食材の分野でも「日本人の食味感覚が世界一」の特色を活かして行く。

まず和食の分野では世界中に広がって行く食文化であり、高付加価値の典型だ。

それに付随して、各地の風土料理を庶民感覚で質を高める【B級グルメ】の様に、手軽な価格でも食文化の価値を高めることに貢献する。

 

農業の分野でも、お米は「高品質種の改良」によって、価格競争に巻き込まれない、「独自の米食文化」を発展させる方向だ。

安さが競争力の源泉としてきた【価格破壊市場競争】からは、離脱する商品開発に、今後は重点を置く戦略にするのが賢い方向である。

おコメ農家を高付加価値米の方向に経営方針を転換する様に誘導し、耕作地の余剰が出来た分は、培ってきた「高付加価値の果実や園芸作物」に活用する。

この様に農業は輸出産業となる様に、今後の農政の目標を明確に掲げるのだ。

 

国の立国の基本方向を、アメリカの後追い的な事業や産業から決別すると、意思を固めれば、20年、30年と経つうちに確実に世界のトップになる。

「鶏口となるも牛後となるなかれ」の教えのとうりに、大陸国家の真似をしないで、オンリーワンを目指すことだ。

世界でもまだ未発達の分野で、日本こそが先頭にたてる改良技術を追求する。

その分野は小さい経済規模かもしれないが、確実にトップに立てる実力を身につければ、世界の富裕層にとっての魅力的な商品となる。

それを、国内消費者層をベースにして産業として広げれば、国の力となるのだ。