日本の産業を強化するには、アメリカ的なやり方を極力避けて、日本独自の強みを発揮できる分野を選び、価値の追求を求める路線を採る。
そのひとつの分野に農業の高付加価値化の路線がある。
アメリカは広大な国土を活かした、大規模農場による経営で、小麦やトウモロコシの生産で、圧倒的に世界の市場をリードしている。
この様な量的な追及する農業では、アメリカ式は付加価値の追求よりも経営規模を大きくして、機械化による数量の拡大で利益を追求する方式だ。
しかし、日本ではこのような農業では、狭い国土の制約ですぐに限界になるので、産業としては進む方向ではない。
日本の農業を追求する路線は、単位面積当たりで、売上の高い農産物、例えば、トマト、イチゴなど、[200~500万円/10アール]を売り上げる品種をつくる。
お米の様に、[10~20万円/10アール]の価値の品種をいくら追求しても、産業としての価値は伸びる余地がない。
オランダの様に施設園芸の栽培を近代化して、薔薇などは[500~700万円/10アール]のレベルを、実現することも可能性がある。
この様に日本の農業は、農水省の悪宣伝により、世界でも遅れている農業国であるとのイメージ低下にも拘わらず、各地の篤農家が支えている状況だ。
例えば、「ネギの生産量では世界一」であり、ホウレンソウは世界3位、ミカン類は世界4位、キャベツは5位、イチゴ、キュウリは6位である。
これらの実績は、豊かな食生活を楽しむ人口が支えて農業を発展させてきた。
どんな産業でも付加価値を求める需要層がなければ、技術も事業も進化しない。
これらの農産物が拡大して普及進んだために、低カロリーの農産物の自給率はどんどん拡大したのだ。
お米やイモ類の高カロリーの農産物を重視しなければならなかった「戦前、戦中、戦後」の時代とは、国民の要求が大きく変化しているのは当然である。
それなのに、農水省は、米農家の既得権と農地を守ることばかり優先するために、「偽りの国策・食料自給率(カロリーベース)の向上」を錦の御旗にして、農業予算を大量に投入し続けてきた。
そして、自らの農政の失敗《米生産の大赤字》だけを引き合いに【日本農業の衰弱と消滅論】の危機を煽る悪宣伝に余念がない。
地域の活性化は、この悪宣伝を断ち切ることから始める必要がある。