石油に代替可能な「再生可能エネルギー」で、日本の国土、気候の適した資源は、バイオマスエネルギーの分野である。
この未開拓の可能性が研究不足のために、日本の石油輸入依存が続いているために、石油燃料の需給ひっ迫と円レートの変動の影響を受けてしまうのだ。
国民の生活を守り、安心できる将来の社会環境を築く上でも、バイオ燃料の開発と安定供給は国の優先的な課題である。
中期的な取り組み方針を、長期展望の中で決めて、採りかかる次期が来ている。
長期的にはすべて国内資源に依存することを目標にしても、現在は9割以上を海外に依存している。
このブログでは、日本の沿岸において、大型海藻(例えば昆布類)を養殖して、大量に燃料の国産化が可能だが、実現にはどうしても時間がかかるであろう。
そこで、実用化が目の前に見えている「バイオマス由来の燃料」には、石油代替がもう少しで可能になる方策もある。
これらのなかで、可能性が十分にあるバイオ燃料の状況を紹介しよう。
トウモロコシや大豆から「バイオ液体燃料」(エタノールやバイオディーゼル油)を製造する技術はすでに確立しているが、食料生産を奪うと批判された。
その時期に「ジャトロファ」という油脂成分が多い作物が日本に紹介された。
この作物は、亜熱帯気候の地域の適した作物で、養分が不足気味の土地でも育つ性質があり、食料と競合しないで耕作地を利用できる。
石油燃料の代替策として有力視され、日本でも作付が試験的に実行された。
結果はやはり日本での気候では生育に不向きで、計画は放棄されたかに見えた。
しかし粘り強く取組を続けて、海外での生産適地を探しあてたグループがいた。
日本ジャトロファ(株)は、将来の石油代替燃料と生産する目的で設立され、2010年から、ジャトロファの栽培適地を世界中で調査してきた。
アフリカのタンザニアでの栽培が、コスト的にも国情からも最適地と選定して、
JICA(国際協力機構)の事業に採択されて現地との調整を実施している。
しかし、民主党政権の時代に、事業仕分けの対象になって、すぐに成果が見込めない事業と判定されて、政府の支援は打ち切られてしまった。
その他の石油代替燃料の案件は、ひとつとして成功の見込みがたっていない。
この様な状況では、海外生産によるバイオ燃料の実用化も、まったく「国のエネルギー戦略なき迷走状態」におかれてしまった。(続)