庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

経済界の責任ある重鎮は少子化の加速に懺悔をすべき。

2014-09-28 | 経済問題

日本の長期的な危機は、【少子化の流れ】と【地方社会の衰退】である。

大きな責任が、中央政府の政治家と官僚機構にあることは言うまでもないが、半分以上は、大手企業経営者の集団である「経団連加盟社の経営陣」にある。

それは1990年以降のバブル崩壊で、不良資産の処理を遅らせて責任回避を図るばかりでなく、経営上の理由にして働く人の給料を下げたことである。

今は長期の経済停滞の原因が【賃金デフレ】であることは、事実とされている。

賃金水準を下げることで、経営陣の失策や能力不足を隠してきたのだ。

 

1995年5月の当時の日経連が公表した「新時代の日本的経営」の報告書で、「雇用・就業形態の多様化と今後の雇用システムの方向」で、非正社員の比率を増やす方向が、正しい経営だと提示している。

この報告書の中身の批判で、【人間的側面が欠けている日本的経営の基本理念】と指摘し、【非正規雇用を大幅に拡大】と問題点が大きく指摘されていた。

2004年5月の経団連の基本政策としても、この非正規雇用の形態を一層肯定して、【多様化する雇用・就労形態における人材活性化】として継続していた。

この経済界の基本方針が、各社の非正規雇用の増加を加速させたのである。

 

現段階での大きな社会問題として、「非正規雇用の増加」が雇用不安を煽り、正規社員の収入減少にもつながっている。

ひとつの民間企業にとって、人件費の抑制は【経営判断の重要事項】だとして、政府や社会の干渉は受けない、との認識だ。

しかし、大半の大企業がこの判断になれば、【合成の誤謬】を引き起こし、日本全体の働く人の【可処分所得の減少】で経済停滞に陥る。

日経連、その後の経団連の幹部経営者は、日本社会のことなど重要だと思わずに、自社の経営、業界の連携ばかりを重視する判断をしてきたのである。

 

かっての名経営者、経団連会長の土光敏夫氏は、「『賃金と人件費の違い』に留意すべきだ」と言明している。

賃金は人の値打ちが上がるコトで、物価以上に『人価のあがる時代』とした。

人件費を下げる努力は生産性を上げて少数精鋭化にある、と断言する。

しかし、土光敏夫氏の後の経営陣は、人価を軽視して賃金の抑制にばかり経営の力を注いでしまった。

【経済成長低迷】、【デフレ経済の長期化】を招いたのは、まさに、自分たちの経営判断の誤りだから、総懺悔をすべきは当時の経営陣たちである。(続)