バイオ燃料の候補である【ジャトロファ】とは、どの様な作物であるのか、日本の読者には判らないであろうから、少し説明を書いてみよう。
自然界に自生する植物で、その種子には油成分が30%程度含まれるので、古くからランプやせっけんの原料に使われてきた。
日本名を「南洋油桐」と呼び、亜熱帯気候でやせた土地でも生育できる。
成長が早くて3年~5年で成木になって実をつけ、樹木の寿命は30年~50年と言われている。
タイやマレーシアでも生育出来るが、土地利用が進んでいない「アフリカのタンザニア」の農地が開拓されていない荒地を、利用する事業が採択された。
収入源の作物が見つけられずに貧困に晒されている農民たちに、このジャトロファの栽培方法を教えて、その生産物のジャトロファの実を買い取る。
この収穫した実を近隣の搾油工場に運搬して、バイオヂィーゼルの原料油を生産する事業である。
収穫物の種子は、「年間で1~5トン/ヘクタール」栽培出来るとされているので、初めの「挿木や播種」してから、成木になる3年~5年の間の生活を保障出来れば、農民たちの安定した収入が30年以上も保障されるのである。
ところが、この最初の3~5年間の農民の生活を支えて、現地に搾油工場を建設する資金が、日本政府と金融機関では、お金が出せないと言い出している。
それならば、小規模の実験的な事業の計画にして、着実な実績を積み上げることで、将来は大規模なバイオディーゼル燃料の調達ルートに育成する。
しかし、日本の石油企業関係者は、自分からの資金を投入してでも、次世代の石油代替燃料を開発しようという熱意がない。
欧米の動きを調査しているだけで、成功した実例が出来てから、【モノマネ、後追い作戦】によって、失敗のリスクをなくそうという姿勢である。
日本の停滞を打破して将来の豊かさへの道を開くには、この様なエネルギーの将来戦略を描いて、リスクのある事業でも挑戦をしなければならない。
政府は成長戦略と称して、過去の実績のあった事業にばかり助成金をだす。
成熟した大企業は、未知の分野でリスクがある新事業には手を出さない経営だ。
これを打破しようとして、挑戦を挑む「ベンチャー起業」には、資金が乏しくて実績を上げる事業が進まない。
まずは小規模で良いから、資金を提供する支援者を開拓することが始まりだ。