安倍政権は発足直後から、多くの政策判断の誤りを重ねてきた。
民主党政権のあまりのだらしなさに愛想を尽かした国民は、他の野党を選ぶ選択の自由もなく、自民党という安全パイを選ぶしかなかったのだ。
ところが、安倍政権は3割しかない支持層でも、議席だけは大幅な過半数を採っているので、何をやっても良いとカン違いをしてしまった。
第一の矢の「超金融緩和政策」は、円安誘導の方向に動き出したが、謳い文句の輸出増加効果は全くのカラぶりに終わっている。
1年半以上も経っているのに、いまだに貿易赤字の増加ばかりがのしかかる。
「デフレ経済からの脱却」に向けてと称して、物価上昇目標によって離脱方向になったとカン違いをしている。
デフレの原因は、長期の賃金下落による【賃金デフレ】であることが判明した。
それに気がついた政権は、慌てて大企業に向けて「ベースアップ要請」を重ねて、やっと一部の大企業が形だけは応じているが、中小企業は全く出来ない。
結局、輸入原材料や輸入品の価格上昇による物価上昇には、賃金、収入の方は追い付かずに、実質賃金は低下し続けた。
それに追い打ちをかけた【消費税8%】は、経済停滞の原因となっている。
賃金上昇の流れを作ってから、消費税増税を実行すべきであったのが、順序が逆になっている、まさに「アベコベミクス」の状態だ。
さらに、景気の落ち込みを防ぐと称して、大幅な公共事業のバラマキを実施したが、建設業、土木事業に偏っているために、入札不調や受注しても人手不足の状態で、かえって東北災害の復興を遅らせる悪影響しか出ていない。
全く中央官庁の官僚たちは、知恵のない限りで、昔の景気対策の発想しかない。
次世代型の新産業を起こす為の、公益的事業の発想は乏しい限りである。
第3の矢と称する成長戦略は、中身が乏しいこと、お粗末の一言に尽きる。
確かに、新技術や新事業を起こして新産業に育て上げるには、10年、20年と長期的な育成が必須である。
だからと言って、長期的な国創りのビジョンがふらふらしていては、民間企業の地道な取り組みを引き出す支援にはならない。
原子力発電への未練を引きずったママのエネルギー計画を打ち出して、「再生可能エネルギー」への転換方針を曖昧にしていては、新産業は生まれない。
確固たる戦略を打ち出してこそ、民間企業の投資が活発化するのである。