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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺癌

2024年08月21日 | 呼吸器疾患

 8月17日(土)は外部の先生が日当直だった(要するにバイト)。東京の病院の内科専攻医で、月1回来てもらっている。斡旋業者からの紹介だったはずだ。

 土曜日の早朝に東京を出ると、午前9時過ぎくらいには着く。少し前日の当直医に残ってもらえばそれでも可能だが、金曜日の夜に当地に着くようにしていた(いわゆる前乗り)。

 台風の影響で金曜日の新幹線が運休となっていた。病院では来られない時に備えて、常勤医2名を日直と当直に割り当てていた。どうなるかと思われたが、日曜朝の新幹線で来てくれた。

 

 当方はその日の内科当番で、夜になって入院が必要な患者さんがいて、連絡がきた。81歳女性が食欲不振で受診していた。血清カリウムが6.0と上昇していた。もともと心房細動があるが、高カリウム血症による波形変化はなかった。

 グループホームに入所して(認知症ではなくて精神遅滞)、当院の内科外来と消化器外来に通院している。高カリウムを来すACE阻害薬とMRA(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)が処方されているので、それを中止して、点滴で経過をみたいということだった。入院の指示をお願いした。

 1週間くらい前から食欲不振ということだったが、入院後は少しずつ食べ出していた。19日は血清カリウム4.7と改善してきていた。点滴を減量して、処方薬の調整で経過をみることにした。

 

 この患者さんは7月に消化器科医が胸部異常影に気づいていた。左上葉に腫瘤影があった。放射線科の読影レポートは肺腺癌か器質化肺炎となっていた。

 呼吸器外来(非常勤)に紹介された。腫瘍マーカーは全部正常域だった。デキサメサゾンを試していたが、胸部X線・CTで陰影が増大していて、中止していた。

 8月の腫瘤影を見ると、確かに短期間で増大している。肺癌にしか見えない。進行が早いのが気になる。

 19日に遠方から兄弟が来たので、経過を説明した。当方としてはその日初めて診た患者さんで、画像も確認したばかりだった。食欲不振と高カリウム血症は軽快して退院にできそうなこと、肺癌で間違いなければ限られた予後になることをお話した。

 

 この陰影で器質化肺炎ということはあるのだろうか。「抗菌薬投与で軽快しない時は、肺癌を考えるように」と読影レポートにあるのも気になった。

 

 

 

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脳梗塞

2024年08月20日 | 脳神経疾患

 8月19日(月)に内科外来から、肺癌の患者さん(70歳代半ばの男性)が受診して、血圧が80mmHg台で脈拍が140/分くらいと連絡がきた。

 また、もともとの左半身麻痺が進行して完全麻痺になっているという。名前を聞いてもわからなかった。8月5日に地域の基幹病院呼吸器内科から紹介されて受診した方だった。(外来で1回診ただけでは、若い先生のように記憶してはいない)

 

 今年の4月に胸部腫瘤影で、近くのクリニックから基幹病院に紹介されたそうだ。気管支鏡検査で右肺小細胞癌と診断された。放射線化学療法目的で、大学病院紹介となった。

 大学病院では照射困難(腫瘍が大きいため)で、抗癌剤治療が行われた。6月下旬に右中大脳動脈領域の脳梗塞が発症した。その後は肺癌についてはBSC(緩和ケアのみ)となった。

 7月初めに大学病院から基幹病院に転院してきた。脳梗塞のリハビリをしていたが、介助での杖(4点杖)歩行が可能になったところで退院になった。

 退院後の治療と癌進行による終末期の対応も含めて当院の外来に紹介された、という経緯だった。

 

 心電図上は頻脈性心房細動だった。診療情報提供書に心房細動の記載はなかったが、処方に抗凝固薬(リクシアナ30mg)が入っていた。心房細動だったことがあったのかもしれない。呼吸器内科の紹介なので、脳梗塞についての記載は簡単なものだった。

 バイタルが良くないので、その日は頭部CTだけ行った。右中大脳動脈領域に新規の梗塞が追加されているようだ。前回の脳梗塞発症時の画像は送られて来ていなかったので比較が難しい。

 入院後は点滴をして血圧が90~100mmHgになってきたので、ビソノテープ2mgを貼付した。心拍数が100~110/分くらいにはなった(体動時は140/分まで上昇)。

 20日朝に診ると、心拍数50~70/分の心房細動だった(病室の心電計)。血圧は100~120と安定してきた。ナースステーションに戻って心電図モニターを見ると、P波があった。洞調律になっているので、12誘導心電図でも確認した。

 

 バイタルが安静しているので、頭部MRIを行った。右中大脳動脈が閉塞して、その領域に梗塞巣を認めた。

 

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誤嚥性肺炎

2024年08月19日 | 呼吸器疾患

 8月15日(木)の午後5時ごろに、救急室から病棟に上がる患者さんを見かけた。救急当番だった内科の若い先生もいて、入院で診るようだ。

 患者さんは施設入所中の85歳男性だった。その日の午後から発熱・痰のからみ・酸素飽和度低下があり、救急要請となっていた。

 昨年7月に地域の基幹病院に尿路感染症で入院していて、経口摂取困難のため内視鏡的胃瘻造設術が行われていた。施設からの処方ではなく、精神科病院からアルツハイマー型認知症の処方(抑制系の向精神薬)が処方されていた。

 予想通り、胸部X線・CTで両側下肺野背側に浸潤影を認め、誤嚥性肺炎だった。

 昨年の入院時にも病状悪化時はDNRの方針なっていたので、今回も同様の方針となった。妻が「早く楽にしてあげて下さい」といい、「日本ではそれはできません」と担当医が答えていた。(会話をそのまま記載する先生なのでわかりやすい)

 酸素吸入・抗菌薬投与・点滴が開始された。経管栄養なので栄養状態は良く、このくらいの肺炎であれば、おそらく治癒すると思われる。

 

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夫婦の関係

2024年08月18日 | 無題

 COVID-19で救急搬入されて入院した70歳代前半の男性は、レムデシビル3日間投与で解熱軽快した。この方は夫婦二人で飲食店を経営している。

 病室に行くと、妻と電話で話していた。妻も発熱があり、どうしたらいいですか、と訊かれた。すぐに発熱外来を受診するように伝えた。発熱外来の受付をしておくため、妻の名前を訊くと姓が違った。「まだ籍を入れていなくて」ということだった。

 妻は自分で車を運転して発熱外来に来た。コロナの検査は陽性だった。60歳代後半で保険は3割負担になる。値段の点で迷っていたが、抗ウイルス薬を希望されたので処方した。(併用禁忌の睡眠薬の関係でラゲブリオ)

 

 脳出血後遺症で地域の基幹病院脳外科から、40歳代後半の男性が回復期リハビリ病棟に転院してきた。自営業に戻るための作業療法を行っていた。

 回復が良く、予定よりも短い期間での退院予定となった。妻が病状説明と保険証書依頼のため来院した。妻だと思って説明したが、病棟看護師さんから「離婚してますよ」といわれた。離婚して元妻と子供は別居していて、患者さん自身は一人暮らしをしている。ただ、自営の仕事はいっしょにしているそうだ。

 

 それぞれ事情があるのだろうが、詳しい話には関わらないことにした。

 

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急性副鼻腔炎

2024年08月17日 | 感染症

 7月31日(水)に30歳代後半の女性が発熱外来を受診した。前日からの発熱(37℃台)・鼻汁・咽頭痛・咳・頭痛があった。

 発熱外来なので、新型コロナとインフルエンザの迅速検査から始まる。両者陰性だった。対症的な処方を行った。

 8月2日(金)にも発熱が続きとして受診した。発熱は38℃台で、右頬部に痛みがある。横に寝ると頭痛がするそうだ。鼻汁は黄色だった。(後鼻漏ははっきりしなかった)

 副鼻腔炎疑いだが、耳鼻咽喉科医が不在の日なので紹介できなかった。副鼻腔のX線撮影を行うと、右上顎洞に液体貯留がある。

 白血球・8100(以前の受診時は5000)・CRP3.7で軽度だが、ウイルス性よりは細菌性が疑われた。オーグメンチン・サワシリン(AMPC/CVA+AMPC)の内服を5日分処方しして、5日の再検とした。

 8月5日に解熱したということだった。右頬部に痛みは軽快していたが、鼻汁はまだ黄色調が残っている。5日分追加処方して基本的には副鼻腔炎の治療は終了とした。

 ただ血液検査時に肝機能障害があり、1週間後に再検と腹部エコーを入れた。炎症反応はすっかり正常化していて、肝機能障害も軽快していた。腹部エコーでは脂肪肝だった。(身長166cm・体重80kg)

 今回の発熱で体重が4kg減少したという。食欲は戻っていたが、体重は戻らない方がいいかもしれない。

 ただ前日に発疹(細かな発赤が多発して痒みあり)が出て、皮膚科を受診していた。中毒疹(薬疹)として抗菌薬中止と抗アレルギー薬処方がなされていた。発疹は退色してきていた。

 

 オグサワはやりすぎで、サワシリン(AMPC)単剤でよかったのだろう。AMPC自体の薬疹かもしれないが。

 

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大腸菌ESBL

2024年08月16日 | 感染症

 8月5日(月)に前週の木曜日から発熱が続く93歳女性が受診した。それまでも膀胱炎を時々起こしている。尿路感染症(急性腎盂腎炎)が疑われた。

 尿は混濁している。無症候性膿尿・細菌尿の可能性もあるが、肺炎や胆道感染症など他の感染症らしさはなかった。食欲低下もあり腎前性腎不全になっている。

 ふだん高血圧症で治療しているが、血圧90~100と低下していた。ふだんは良くしゃべる方だが、ショックバイアルで元気がなかった。

 CRPが40と著明に上昇していた。血液培養2セットと尿培養を提出して、抗菌薬(セフトリアキソン)を開始した。入院後は解熱はして炎症反応も軽減はしたが、血圧が100前後で尿所見はあまり変わらなかった。

 一見抗菌薬が効いているような経過だが、いまひとつの印象がある。尿培養の結果をみていたが、外注検査なのでなかなか結果が出ない。

 週末3連休になるので、8月9日(金)も午前と午後に見たが、結果は出ていない。気になって午後5時過ぎに見ると、尿培養から大腸菌ESBLが検出されていた。(血液培養は陰影)

 慌てて病室に行って、抗菌薬をメロペネムに変更した。3連休明けの8月13日は食欲も出て来て、CRPが2と一気に軽快していた。

 耐性菌が出ると検査室で報告を入れて来るが、この方は忘れていたようだ。

 セフトリアキソンはESBLには無効だが、「実際は高濃度の抗菌薬が尿中に排泄されるため、尿路感染では効いてしまうことも多い」(プラチナマニュアル)。といってそのまま継続することはないので、判明すればカルバペネムにする。

 

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肺炎±尿路感染症

2024年08月15日 | 感染症

 8月11日(日)の日直で2名入院した。入院担当数が19名になって、ちょっと多い。(少し退院を出さないとまずい状況ではある)

 

 その日の当直は小児科医だった。午後8時半過ぎに、80歳代前半の男性が転倒・頭部打撲で救急搬入されていた。前日から発熱があり、その日も39℃の発熱があった。

 意識はほぼ清明で会話も可能だったが、血液検査で白血球13200・CRP18.2と炎症反応が高かった。また血圧91/53・心拍数117/分なので、正確にはショックバイタルになっている。

 血液培養(1セットだけ)と尿培養を提出していた。放射線技師は院内にいたが、画像検査はしていなかった。(時間外は検査技師不在なので、検査は簡易検査で培養は保存しておくだけになる)

 入院させて、翌日日直の内科医に相談としていた。内科当番は日ごとに決めているので、その日は当方が当番になるが、この先生は翌日の内科医に依頼する。

 以前も日直で来た時に、前日夜間に入院させた低カリウム血症(1.4)の高齢者をよろしくと頼まれたことがある。確かにこのやり方の方が、実際に病院にいる内科医が診ることになるので効率がいいともいえる。

 

 CTでは左肺炎があり、両側腎臓~膀胱にステントが留置されている。尿混濁があるが、今回の尿路感染症か無症候性膿尿か判別し難い。肺炎±尿路感染症になる。入院後は抗菌薬投与(セフトリアキソン)で解熱軽快していた。

 

 この患者さんは2020年にS状結腸癌で手術歴があるが、その際に後腹膜線維症が疑われていた。そこの術中生検もあり、大学病院外科に紹介された。術後は当院に来ていないので正確な結果はわからない。

 生検では確定できなかったようだが、IgG4疾患疑いで経過観察とされた。今回見るときれいになくなっていた。(CTは当時の術前の画像)

 

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肺炎だけではない

2024年08月14日 | 呼吸器疾患

 8月11日(日)の日直の時に、1週間前から飲み込めない食べられないという60歳代後半の女性が救急搬入された。

 肺癌手術の既往があるが、2016年なので年数的には治癒しているか。その後当院の呼吸器外来(大学病院から)に通院していたが、2020年で通院を辞めてしまった。

 2023年1月にCOVID-19に罹患して、地域の基幹病院に入院していた。その時に、当院宛に診療情報提供書と画像(CD)が送られてきていた。その日受診しただけで、また来なくなった。

 るい痩が目立つので、神経筋疾患が疑われて脳神経内科で診察したそうだが、否定された。栄養を摂るようにといわれただけだった。

 

 発熱があったので、コロナとインフルエンザの迅速検査を行ってから(陰性)、画像検査・血液検査を行った。右肺は下葉肺癌の術後で、2023年の画像でも右上葉には気管支拡張像と浸潤影様の陰影がある。

 今回下葉相当の位置に新たな浸潤影があり、肺炎を来たしている。問題はそれだけなのかわからないが、まずは入院で肺炎の治療をすることにした。

 そもそも右上葉の陰影は何だろうか。頸部から撮影したCTで気道狭窄はないが、食道癌の有無まではわからない。嚥下機能の評価も必要になる。

 

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溢水

2024年08月13日 | 腎疾患

 8月11日(日)は日直だった。病棟に血液透析で通院している60歳代半ばの男性が入院していた。

 その日の午前5時過ぎに、呼吸が苦しいという訴えで、自分で車を運転して受診した。10日(土)の当直だった内科医が対応した。

 酸素飽和度が88%(室内気)と低下していて、血圧は224/122と高値だった。胸部X線・CTで両側胸水貯留があった。炎症反応は陰性。

 ふだんでも軽度に胸水が貯留していて、8月9日(金)の透析後の胸部X線でも同様だった。それが悪化した溢水状態だった。

 9日にCOVID-19の患者さんが入院していたので、病棟に診に行くと、連絡を受けた腎臓内科の若い先生が来ていた。緊急透析ができるかMEさんと交渉していた。

 11日日直の仕事が終わるころに、その日の当直看護師の透析部門の看護師長さんが来た。どうなったか訊くと、その日透析はできず、12日(月)にすることになったという。酸素吸入と血圧はペルジピン持続点滴でコントロールして経過をみていた。

 

 11日の日直の夕方にも、血液透析を受けている90歳代前半の女性が酸素飽和度低下で救急搬入された。施設にショートステイ入所していたそうだ。血液透析とショートステイの関係がわからなかったが、ショートステイ入所の状態で透析に通院しているのだった。

 酸素飽和度が室内気で70%台だということで、救急隊は酸素4L/分を投与していた。来院時は酸素飽和度が98~100%だったので、2L/分まで減量できた。血圧は150で多少高めくらいだった。

 こちらも胸部X線・CTで胸水と肺うっ血を認めた。腎臓内科の先生(午前中病棟に来て帰った)に電話連絡すると、酸素吸入だけで経過をみていいということだった。翌月曜日の透析で調整をするようだ。

 

 当院の血液透析は溢水で入院になることはあまりなく、1日に2名入院したのは珍しい。当院の血液透析は、月・水・金コースと火・木・土コースで、前者は午前・午後・夜間とやっている。

 

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グラム陽性球菌

2024年08月12日 | 感染症

 先々週、糖尿病・高血圧症で通院している80歳代後半の男性が、高熱で受診した。悪寒戦慄もあったが、それ以外の症状は訴えなかった。

 菌血症の症状なので、コロナとインフルエンザの迅速検査を行って(陰性)、すぐに感染源の検索を行った。肺炎・尿路感染症・胆道感染症は否定的だった。

 血清PSA値が40ちょっとあり、前立腺炎が疑われた。血液培養・尿培養を提出して、セフトリアキソンを開始した。高熱と悪寒戦慄は治まったが、微熱が続いて炎症反応は不変だった。

 血液培養からグラム陽性球菌が検出されたと検査室から報告が来た。尿路系のグラム陰性桿菌を想定していたので意外だった。尿路系なら腸球菌しかない。

 いったんバンコマイシンに切り替えて経過をみて、解熱して炎症反応は軽減した。感染性心内膜炎や化膿性脊椎炎も確定できなかった。

 菌名が出て、Staphylococus captisStreptococcus anginosusだった。前者はコアグラーゼ陰性ぶどう球菌としては少ないメチシリン感受性だった。どちらもABPCに感受性がある。嫌気性培養は陰性だった。

 膿瘍らしさはないので(anginosusは膿瘍を伴う)、ビクシリン(ABPC)で経過をみることにした。入院してしばらくは血圧が90~100だったが、ショックバイタルなのだった。(回復したが、まだ降圧薬は休止している。

 セフトリアキソンがあまり効いていないように見えたのは投与日数の問題だったようだ。

 

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