死の立ち合い方 横浜市立大学総合診療医学教室 日下部明彦先生
(2つのステップがある)
1.形式的にできる~死亡診断書が書ける
2.遺族の心情を意識してうまくできる(これは第3回で)
これは必読!(毎年改定される)
・外見上の異常があれば異状死体
・外見上の異常がなくても、医師が異常な状況での死と認めるならば、異状死体
・外見上の異常がなく、医師が自然死、病死と認めるならば、異状死体ではない
⇒フォローしていた患者なら死亡診断書作成
フォローしていなかった患者ならば死体検案書作成
例)訪問診療をしていた末期がんの患者が診察の数日後に死亡⇒死亡診断書を交付
①警察に届けなくていいの?
・現病で亡くなあったことが明らかであれば、異状死ではなく、警察への届け出は不要
・異状死なら24時間以内に所轄警察署に届ける
②死亡診断書でいいの?
・24時間経過しても、診察し、現病で死亡したと判断すれば死亡診断書でOK
医師法第20条(無診察治療等の禁止)
「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自らシュッさあんに立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し診察中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りではない」
これを24時間以上経過した場合は死亡診断書が書けないと誤解した
本当の意味は、
・診察しないで診断書を書いてはダメ
・「いつも診ていた患者が最後の診察後24時間以内に死亡した場合は、改めて診察をしなくても診断書を書くのはOK」という意味の文章
医師法第20条ただし書の適切な運用について
・最後の診察から数時間後に死亡した場合でもいつも診ている医師なら死亡診断書でOK
・いつも診ていない医師なら死体検案書
例1.70歳代男性膵臓がん
朝9時、看護師が訪室しいた際に。呼吸停止をしており、CPRを行ったが蘇生せず
気管内から食物が吸引された
食物誤嚥による窒息死
⇒死亡診断書ではダメ
・窒息は外因死であり異状死
・医師法第21条に基づき所轄の警察へ連絡
・この方は誤嚥性肺炎ではないですよね・・・
例2.70歳代男性膵臓がん
A病院に通院
BSCの方針
癌性悪液質著明、腹水多量
今後は訪問診療に移行
主治医はもう1~2週間かもしれないと考えた
2日後、心肺停止で救急搬送され、死亡が確認された
⇒死亡診断書で良い(管理下にあった)
⇒死亡診断書または死体検案書を発行する
・主治医が死亡診断⇒死亡診断書
・何度か診察している主治医グループの医師が死亡診断⇒死亡診断書
・その患者を初めて診たA病院の医師⇒死体検案書
(異状死体ではなく、自らの管理下にはない患者の死)
死亡時刻は死亡を確認した時刻?
とあるが、現場では家族と一緒に医師が死亡確認した時刻を記入することが多い
*心電図モニターでは死亡確認はできない
・死亡診断書を選択した時は、死体検案書を二重線で消す 印鑑不要
・疾患名:略語を避け正式名称を記載
・終末期状態の心不全、呼吸不全は死亡の原因としない
・手術、解剖の有無に〇
・死因の種類に〇
・外因子の追加事項:病死の場合は斜線不要 これまで引いていた
・医師名 自署なら印鑑不要