今日も日直で病院に出ている。午前中は小児科の受診ばかりで、小児科医が外来診療をしていた。昼前から内科の救急搬入が3件続いた。
71歳男性が義父の葬儀で火葬場にいて、突然意識消失した。救急車が到着した時までわからなかったという。搬入時は意識清明だった。この方は先月に2回同様の意識消失があり、1回は救急搬入されて、もう1回は回復していから自宅の車で受診していた。循環器科でホルター心電図と心エコー検査が行われて、異常なしとされていた。ただホルター心電図の結果を出してみると、心拍数が40台/分になることがあり、これは異常だと思う。さらに神経内科で頭部MRIと脳波検査が行われて、来週神経内科外来で結果説明ということになっていた。搬入されてからも心拍数は40台/分で洞性除脈だった。話が急に途切れ意識消失した。心電図では6秒間flatになっていた。心拍が出ると意識も次第に戻った。洞停止だった。循環器科の当番に連絡して入院した。モニターで監視して経過をみるようだ。
その後、地元の温泉に家族と日帰りで来ていた19歳女性が入浴中に意識消失した。倒れて、いったん意識が戻ったらしいが、それを抱えて座らせた時にまた意識消失して、ごく短時間痙攣もしたそうだ。救急搬入された時は意識清明で、前額部に打撲して5mmほどの切創があったが、それ以外は特に症状はなかった。血圧は100ちょっとで、ふだんの血圧が100未満の時もあるというが、これまで倒れたことはないそうだ。倒れる直前の眼前暗黒感までは覚えていた。10分くらい温泉に浸かっていた。心電図は異常なしで、血液検査でも貧血その他異常なしだった。家族の希望で頭部CTを施行したが、異常なし。入浴で血管が開いたことによる症状と判断された(てんかん発作も完全に否定しない方がいのか)。途中で抱き起こさずに、横にしたまま休ませれば、そのまま回復して救急要請には至らなかったのだろう。
さらに、痙攣が止まらない71歳男性の搬入要請がきた。2年前に当地域の基幹病院に脳出血で入院した既往があり、今は別の病院に通院していた。そこは夜間休日には救急対応できない。その後、入院していた基幹病院に連絡すると、ちょうど急性心筋梗塞の患者さんが搬入されたところで、受け入れできませんと断られた。当院に来てもらうことにしたが、脳出血後の症候性てんかんで、搬入時には痙攣も治まっているだろうという見込みだった。見込みだっが、搬入時にも間代性痙攣は続いていた。生食500mlで血管確保して、セルシンを静脈して、ちょっと治まったかに見えた。続いてホストインを15ml(1125mg)の点滴静脈注を開始したが、まだ痙攣は治まっていなかった。ゆっくりホストインが入っていって、痙攣が止まって意識が戻ったりしたが、また痙攣して応答がなくなった。これを数回繰り返してるうちにホストインが入りきった。やっと効いたかと思ったら、また痙攣が始まった。ちょっと痙攣が治まった時に頭部CTを撮影していて、新規の脳出血(2回の既往あり)がないことは確認できた。これは出ごわい。さらに薬剤を投与すべきか迷ったが、専門医にまかせるのが賢明だと判断した。基幹病院に電話してみると、心筋梗塞の患者さんは救急室から専門医の治療に回ったらしい。既往と搬入の経緯をお話しすると、引き受けてくれた。ここは休みでも日中なら脳神経の専門医が院内にいるはずだ。確か常勤は脳神経外科2名と脳神経内科4名+後期研修医。ありがたく、搬送させていただいた。
内科の入院は80歳女性の肺炎と、92歳男性の肺炎だった。後者はHbA1cが9.2%で血糖が302mg/dlと出た。近くの病院で糖尿病の治療をしていたが、やめたいと希望したところ、担当医も高齢なのでそれでもいいと認めたという(本当かどうかあくまで患者さんの話)。