なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

微生物学の本はどれがいい?

2015年05月09日 | Weblog

 今日は休みなので、掃除をした後に、丸善に行って微生物学の本を探してみた。「戸田細菌学」のような大冊はいらない。教科書でいいので「標準微生物学」にしようと思ったが、無味乾燥でたぶん通読はしない。南山堂の本で簡単で良さそうなものがあったが、決めかねて購入にいたらず。購入予定だった「あなたも名医!不明熱、攻略」日本医事新報社を買ってきた。出ている疾患は定番の疾患が並んでいて、「急性副腎不全」と「CRP低値でも重症」が参考になる。カラーできれいな(学習参考書風な)本で読みやすい。

 誤嚥性肺炎で入院した92歳女性は、入院時の検査で白血球増加があるがCRPが陰性だった。その後、白血球増加は改善してCRPは遅れて上がってくるかと予想したが、陰性だった。先月にも同じ病態で入院しているが、CRPは軽度ながら上昇していた。なぜ今回は陰性のままなのわからない。解熱して食事も開始できているが、違和感がある。特別な疾患が隠れているようにも見えない。CRPを治している訳ではないので、気にしなくてもいいのかもしれないが。

 内科の若い先生が、ALP高値(骨由来)で内科医院から紹介された80歳代女性を診察して、血清カルシウムは正常域だったが、副甲状腺ホルモンを検査したところ、明らかな高値だった。自覚症状はない。一般的な血液検査として施行されて、たまたまALPが高かったという経緯だ。いったいどんな病態なのか。

 朝日新聞に「悩みのるつぼ」のコーナーがあり、回答者のひとりが上野千鶴子さんだ。イメージでは、あまり好きになれない女性と思い込んでいたが、なやみに対する回答が適切でおもしろい。これまでの回答をまとめて、すでに一冊「身の下相談にお答えします」朝日文庫が出ている。今日のお悩みは、仕事を定年退職した後に、電話による自殺予防の相談をしている男性のものだった。相談相手から感謝されて、自分も世の中の役に立っていると実感していた。最近、自分の心に(相手に対する)「優越感」が湧いていることがあり、そんなことでいいのかというものだった。上野さんの回答は、「死にたいほどの悩みを持った人と比べると自分のつつがない生活が幸福に思える、それはあたりまえの感情で、「よこしまな心」と呼ぶ必要はない。それよりも、この仕事に少し飽きがきているのでは。もうひとつ私利私欲系のお楽しみメニューも増やして両方やってみると、自殺予防のボランテイアの価値が再びよくわかるようになるでしょう。」 

コメント
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