昨日看護科の講義が終わって、医局に戻って休んでいた。麦茶を飲みながら(インスタントの水出し)、連休中に読みたい医学書をどれにしようかなと考えていると、内科の若い先生が、Still病らしい患者さんがいますと報告に来た。医局にあるコンピュータの画面で検査結果を見ながら、経過をきいてみた。2週間くらい前から発熱が続いているそうだ。当院に入院して8日が経過していた。
まず糖尿病で通院している内科クリニックを受診した。風邪でしょうと言われて、処方を受けた。上気道症状はなかった。これを風邪といってはいけないが、数日は発熱で重症感もなけれれば、いきなり精査はしないだろう。発熱が続いて、他の内科医院を受診した。そこから当院へ尿路感染症として紹介された。この先生は発熱が続いて肺炎がないと、尿路感染症として紹介する。当院受診時の尿検査は、尿糖(4+)、尿蛋白(1+)以外に異常はなかった。すでに抗菌薬と投与されていた。頭痛・胸痛・腹痛はない。白血球数増加(13000~16000で推移)とCRP30と上昇していた。血清蛋白が軽度に低下していた。胸腹部CTで両側肺に今日吸い貯留が軽度になった。浸潤影らしくはない。血液培養は陰性だった。心エコー(経胸壁)で異常はなかった。抗菌薬と投与して、途中で変更していたが、発熱が続いて炎症反応は横ばいだった。そのうち関節炎の症状が出てきた。両側の膝関節(左が強い)の腫脹・熱感(軽度)があるが、発赤はない。藤関節・肩関節も少し痛い。
リウマチ・膠原病のマーカーをひと通り出したが、いずれも陰性だった。NSAID内服は無効だった。昨日血清フェリチンを測定したら3万を越えていた。血清鉄は低下して、二次性と思われる正球性貧血(Hb10くらい)があって、白血球分画では好中球増加で芽球などはない。ただサーモンピンク疹はない。これまでの経過でもなかったらしい。病室に患者さんを診に行った。膝関節が痛いので、ベット上でじっと仰向けに寝ていた。確かに発疹はなかった。食欲はないが、半分くらいは食べている。咽頭痛はなかった(問診上)。肝機能障害が少しずつ悪化しているが、薬剤性も否定できない。リンパ節腫脹と脾腫はない。
成人発症Still病疑いとして、(他院の)リウマチ膠原病科に紹介するところだが、連休直前の夕方だ。実はその日からプレドニンを開始していた。内服で30mg入れて、その後点滴で20mg追加したという、迷った気持ちが出ている。他に考えようもないし、連休中はプレドニン50mgで経過をみて、連休明けに改善していない時は、リウマチ膠原病科へ紹介する方針とした。