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加憲での憲法九条改正

2017-09-02 23:52:07 | 政治
今年の憲法記念日の5月3日、安倍晋三首相から日本国民に、日本国憲法第九条の改正について一つの案が示されました。
現行の憲法九条の一項、二項はそのまま残しつつ、新たに九条の中に自衛隊の存在を明文化するというものです。
これは現行の憲法の文章はそのままに新たな文章を追加する「加憲」という手法で、加憲の立場を取る公明党への配慮として、どこかでこの改正案が出るのは予想していた人も多かったのではと思います。
「具体的にどんなことを書き加えるか」の案が示されたことから、今回は加憲での憲法九条改正について考えてみます。
まず今の憲法九条は次のようになっています。

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1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
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自衛隊の存在を憲法に明文化する場合、九条三項を新設するのではと思います。
まず一番簡単な例として、単純に自衛隊の存在を書いた場合を考えてみます。

3.我が国は、諸外国の武力による威嚇又は武力の行使から我が国を自衛するため、自衛隊を有する。

単純に自衛隊の存在を明記するだけでも利点はあると思います。
憲法に明記することによって、国内で自衛隊を「違憲のもの」として敵視し、潰そうとする反日左翼活動をしている政党や団体を完封できるようになります。
例えば日本共産党の場合、党の綱領に「自衛隊の解散(廃止させて潰すということです)」を書いています。
党の綱領に書かれていることはその政党が目指す政治の姿であり、日本共産党は自衛隊を日本から無くすことを目指しているということです。
さらに「日米安保条約の破棄」も党の綱領に書いていて、これらが実現した場合自衛隊も在日アメリカ軍も無くなり、日本を守るものが何も無くなってしまいます。
これは中国に「尖閣諸島のみならず、沖縄本島、その先も、全て侵略してください」と言っているのと同じです。
中国による侵略を実現するために活動しているようにしか見えず、反日左翼政党の恐ろしさが現れていると思います。

しかし憲法に自衛隊の存在が明記されていれば、日本共産党のような自衛隊を「違憲のもの」として日本から無くし日本を弱体化させる活動ができなくなります。
少なくとも国内からの日本を弱体化させる活動を防ぎ、防衛における国内の地盤を今より強化することができます。
ただしこの加憲では単純に自衛隊の存在を明記するだけなため、「抑止力」の向上は不充分だと思います。
抑止力とは相手が「この国に攻撃を仕掛ければこちらもただでは済まない」と考え、侵略を思い止まることです。
中国のように、日本の領土を侵略しようとしている国から戦争を仕掛けられずに済むためには、この抑止力が重要になります。
抑止力が大きく向上するのは自民党が元々一つの案として提示している憲法九条の改正案で、次のようになります。

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1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない。
2.前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。
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二項が大きく改正されているのが注目で、「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」が「前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。」になっています。
この改正案は自衛権と自衛のための交戦権を持っていると読み取ることができます。
自衛権を持っていると明記したこと、さらに交戦権を認めないという文章を撤廃したことにより、今までの憲法にはなかった抑止力が備わっています。
防衛白書によると交戦権とは「相手国兵力の殺傷と破壊、相手国の領土の占領などの権能を含むもの」とのことです。
自衛権が外敵が武力で領土を侵略してきた場合に初めて追い払える「守り」の権利なのに対し、交戦権は守りだけでなく相手国領土の軍事設備等に攻撃できるという意味を持っています。
ただし憲法九条の1項で「日本から戦争を仕掛けること(侵略戦争)」については明確に否定しているので、この場合の交戦権とは相手国からの侵略を自衛する中で、日本を守るために必要な場合には相手国の領土の軍事設備等に反撃したり、日本の領土内に侵略してくる前の時点で迎え撃つこともあり得るという意味と解釈されます。
この抑止力向上により、中国のように日本の領土侵略を狙う国は今までよりも領土侵略がしずらくなり、日本としては侵略されずに済む可能性を上げることができます。

次の例は、加憲の手法で自民党の憲法改正案のような抑止力の向上を意識した文章にしてみます。

3.我が国は、諸外国の武力による威嚇又は武力の行使から我が国を自衛するため、自衛隊を有する。また2項の交戦権の規程は、我が国に武力による威嚇又は武力の行使を行う国に対し自衛する場合はこの限りではない。

この場合の論理構成は次のようになります。
まず今の憲法九条の平和の理想は良いものです。
ただし理想だけでは中国や北朝鮮のような現実にある驚異から日本を守ることはできないため、守るために自衛隊を保有します。
そして日本国憲法では自衛権はあるが交戦権はないとしています。
ただし日本に対して武力による威嚇や武力の行使を行い驚異を与えてくる国に対してはこの限りではないです。

これなら中国や北朝鮮のような現実に日本に驚異を与えている国に対して抑止力を向上させることができます。
今の憲法九条の一項と二項をそのまま残すという憲法九条護憲派の意見と、戦争を仕掛けられないために抑止力を向上させるという憲法九条改正派の意見を両方取り入れた形になります。
私は憲法九条の文章を改正するのが良いと思うのですが、憲法改正の発議に衆議院と参議院の両方で3分の2以上の賛成が必要な以上、加憲の立場を取る公明党の協力が必要です。
場合によっては加憲での憲法九条改正になっても仕方ないと思います。
そして政治は意見の異なる政党同士による妥協の産物でもあるので、憲法九条の改正について加憲案でまとまるような気もしています。

今回加憲で憲法九条を改正する場合を考えてみて、どんな文章を書き加えるかが凄く重要で、抑止力を左右すると思いました。
私は中国の尖閣諸島侵略が目の前に迫っている現実を見据え、なるべく抑止力を向上させてほしいと思います。
「目の前に迫っている驚異を見据え、憲法九条を今よりまともにすること」が大事だと思うので、ぜひ意見を取りまとめて憲法改正の発議をし、国民に直接九条改正について意見を聞く「国民投票」を実施してほしいです。


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