読書日和

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「重力ピエロ」伊坂幸太郎

2008-02-27 20:56:14 | 小説
今回読んだのは「重力ピエロ」(著:伊坂幸太郎)です。

-----内容-----
兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。
家族には、過去に辛い出来事があった。
その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。
連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。
そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。
謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは―。

-----感想-----
この本は通勤の時間を利用して、毎日少しずつ読みました。
少しずつしか読めないのがもどかしいくらい面白い小説でした
序盤から物語の面白さに引き込まれて、読むスピードが普段より速くなったくらいです。

物語の語り手は兄の泉水です。
でもこの物語の中心には弟の春がいます。
春のちょっと奇抜な行動に振り回されながらも、泉は一歩引いて春のことを見守っている、そんな感じがします。

仙台を舞台に、連続放火事件が発生します。
伊坂先生の小説にはよく仙台が登場するようです。
以前読んだ「チルドレン」も仙台が舞台でした。
この連続放火事件には、「火事が起きた建物の近くの壁に”グラフィティアート”が描かれている」という法則があります。
グラフィティアートとは、カラースプレーで描く落書きのようなものです。
このグラフィティアートが大きな意味を持っているんですよね
人間の遺伝子のルールとこのグラフィティアートが密接に関係してきます。
この辺りの話はとても深い内容だと思うのですが、伊坂先生が書くとすごくすっきりとした文章になっていて、意外とすんなり読めます。
そういった話の構成の上手さを見ると、伊坂先生ってすごい人なんだなと実感します
また遺伝子のこと以外にも、ネアンデルタール人とクロマニョン人のことなども書かれていました。
実はネアンデルタール人とクロマニョン人は全く別の種族で、あるときを境にネアンデルタール人は滅びたというのには驚きました
中学校の歴史だと、ネアンデルタール人がさらに進化してクロマニョン人になった、と習ったような気がします。
最近は歴史を勉強する機会がないので、ネアンデルタール人のことなんて意識することもなかったです(笑)
でもどうやら、ネアンデルタール人は何らかの理由で滅びたという説は、現実の世界でも有力視されているようです。
伊坂先生の本にはそういうトリビアのようなものがよく出てきますね

放火事件の犯人は、たぶんこの人が犯人なのでは?と思っていた人が犯人だったのですが、その後に衝撃の展開がありました。
そこに、この物語のキーワードともいうべき「遺伝子」が関係してきます。
これも予想はついていたのですが、まさかあんな展開になるとは予想していなくて、ビックリでした。

すごく読み応えのあるミステリーでした。
ちょっとずつしか読めなかったので、読み終えるのに二週間近くかかりましたが、全く飽きなかったです。
読者を引き付ける面白さがありますね
次に伊坂先生の本を読むとしたら、「ラッシュライフ」にしようかなと思います。
楽しみです

※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。
コメント (13)
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