東京里山農業日誌

東京郊外で仕事のかたわら稲作畑作などをしていましたが、2012年4月に故郷の山口県に拠点を移して同活動をしています。

古い東芝製トランジスタラジオ(カーラジオ) AR-109の修理(3/6)

2013年11月23日 | 古ラジオ修理工房

 この東芝製カーラジオAR-109の修理履歴です。それぞれをクリックしてください。

  修理(1/6) 修理(2/6)  修理(3/6) 修理(4/6)
  修理(5/6) 修理(6/6)

 続いてこのカーラジオのジャンク品を調査しています。ある程度調査し終わると、ジャンク品ではなくカーラジオ本体の修理に入ろうと思います。
 まずは、電気を通す前に電球を調べました。一般的に電球は暖光色ですが、この電球は昼光色にするために青色のガラスを使っています。そして、電球本体に書かれていた規格は、当然のことながら12Vでした。テスターで抵抗を測ると抵抗は∞でした。つまり、電球のフィラメントが切れてました。これでは電気を入れても点灯しません。
 12月、義母の四十九日法要時に東京に行きます。その時に、秋葉原に行ってこの電球を購入しようと思います。

       青色ガラスを使った電球           フィラメントが切れて点灯せず
 

 次に、ラジオを受信する電子回路本体の調査をしました。まずは、いつものように使用されいているトランジスタを確認しました。高周波増幅用,混合発信用に、東芝製の2SA72が使われていました。このトランジスタはfTが40MHzで、短波帯にも使うことができる比較的性能の良いトランジスタです。中間周波増幅用も合わせて、それが3本も使われています。
 なお、昭和42年頃、このトランジスタの値段は120円(初歩のラジオ別冊 初歩のトランジスタ 昭和42年発行より)でした。現在、ゲルマニウムトランジスタよりはるかに性能の良いシリコントランジスタは10円/個以下で購入することができます。しかし、性能の悪いゲルマニウムトランジスタは今や製造中止のため、希少価値があるためか200円/個以上します。そもそも手に入れることがとても困難です。そのため、私はもっぱら基板から引き抜いた中古のストック品をラジオの修理に使っています。また、時々ストック用として購入することがあります。
 下図の二つの丸がトランジスタ2SA72です。その右上にOSCコイルがあります。このOSCは普通のラジオと同じものを使っているようです。

            高周波増幅と周波数変換をする電子回路基板部


 ちなみに、下の図はトランジスタ2SA72の規格です。これを見ると、最大電圧が18V,最大電流が5mAであることが分かります。とても小さな電流で駆動するトランジスタです。ゲルマニウムトランジスタは熱に弱いので、シリコントランジスタと比べて、弱い電流で駆動する必要があります。

            高周波増幅用ゲルマニウムトランジスタ2SA72の規格
                初歩のラジオ別冊 初歩のトランジスタ 昭和42年発行から抜粋


 次に中間周波増幅と低周波増幅用トランジスタを調査しました。中間周波増幅にはトランジスタ2SA72が、低周波初段増幅には比較的増幅率が高い2SB54(hfe:140)が使われていました。この2SB54は、低周波初段増幅用のヒット商品です。私も学生時代お世話になりました。このトランジスタ2SB54は、ラジオに限らずいろいろな回路に採用されています。
 下図で左上は中間周波増幅用トランジスタ2SA72,下左の丸はトランジスタ2SB54,その右隣はトランジスタ2SB56です。温度補償は、バリスタではなくサーミスターが使われていました。

               中間周波数増幅と低周波増幅をする電子回路基板部


 そして、スピーカーをOTLで駆動するのは2SB63です。最大電力2Wの電力増幅用トランジスタです。自動車内の狭い空間で音声や音楽を聞くので、最大2Wで充分だと思います。放熱のため、アルミ板に取り付けてあります。

 電力増幅用トランジスタ2SB63(裏側)      放熱のためアルミ板に取り付け(表側)
 

 低周波増幅用の各トランジスタの規格は下図のとおりです。2SB54は増幅電力は小さい(80mW)のですが、増幅率が高いため初段の電圧増幅用によく使われています。次段の2SB56は小電力増幅(150mW)を、そして2SB63はスピーカーを駆動するための電力増幅(2,000mW)をしています。

          低周波増幅用ゲルマニウムトランジスタ2SB54,2SB56,2SB63の規格
              初歩のラジオ別冊 初歩のトランジスタ 昭和42年発行から抜粋

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