東京里山農業日誌

東京郊外で仕事のかたわら稲作畑作などをしていましたが、2012年4月に故郷の山口県に拠点を移して同活動をしています。

古い東芝製トランジスタラジオ(カーラジオ) AR-109の修理(2/6)

2013年11月19日 | 古ラジオ修理工房

 この東芝製カーラジオAR-109の修理履歴です。それぞれをクリックしてください。

  修理(1/6) 修理(2/6)  修理(3/6) 修理(4/6)
  修理(5/6) 修理(6/6)

 今回はジャンク品のラジオ回路部分の確認をしてみました。あちこちが電線が切れていますが、五つのパーツから成っていましす。それぞれの傷み具合を確認しました。
 下の図で、Aは選局部で前回チェックしたとおり、メカニカルな部分は正常のようです。Bはラジオの中心電子回路です。ざっと見たところヒビが入ったり焦げたりするヶ所はありません。次回、電圧をかけて電子的な働きが正常か確認する予定です。基盤にアンテナの切れ端が付いています。Cは電力増幅部で電力増幅トランジスタをプッシュプルで動作させています。Dは電源スイッチ,音量(ボリューム),そしてトーンコントロール(おそらく)を制御しています。そして、Eはバッテリーからの電源供給部です。真空管時代を思わせる古い部品を使っており、電解コンデンサが一つ破裂していました。

    五つのパーツに分離又は切断されたカーラジオ(ジャンク品)の回路部分


 まず傷みが一番ひどいバッテリーからの電源供給部をチェックしました。このパーツは普通の家庭用ラジオには無いものです。おそらく、自動車のバッテリーの電圧変動(14~9V)を緩く吸収したり、エンジンの点火プラグを放電させるための高電圧パルス雑音を吸収する又は入らせないためのパーツではないかと思います。
 下の左図で、Aは三つのうち一つが破裂した電解コンデンサ。Bはチョークコイル。Cはペーパーコンデンサ。Dはコンデンサの一種です。なお、下の左図の〇は破裂したり、断線した個所です。なお、下の右図は電解コンデンサで、〇は破裂したものです。破裂時に発熱したらしく文字が溶けかかっています。
 電解コンデンサは、古くなったり,耐圧を越えた電圧を加えたり,逆の電圧を加えるとよく破裂します。なお、今の電解コンデンサは防爆機能付きがほとんどです。破裂しないで膨らみます。このバッテリーからの電源供給部のコンデンサ類はすべて交換した方が良さそうです。

      バッテリーからの電源供給部      破裂時に発熱して溶けかかった文字
 

 次にラジオの電子回路の本体をざっとチェックしました。私が見て気が付いたのは、下図の四つの〇の部品です。左二つの〇の部品は、中間周波数トランスで、当時としては高級な複同調回路になっています。複同調は帯域幅が広いため、音質を重視するラジオによく使われている部品です。さらに周波数が隣りあう放送の混信対策性能も良くなります。東京で運転する車ならばあまり問題にならないでしょうが、九州のように中国や朝鮮半島からたくさんのラジオ放送が入り乱れている場所では混信対策は必須です。右の巻いたコイル二つは何のためでしょうか、今のところ不明です。普通のラジオには見られないコイルです。

           複同調中間周波トランスが使われているラジオ本体回路部


 次に電源スイッチ,音量(ボリューム),そしてトーンコントロール(おそらく)を調べてみました。とても精巧に作られています。FMではステレオ放送の左右の音量を同時に上げ下げするため、このような2蓮ボリュームが使われています。しかし、このカーラジオはシングルですので、音量と音質(トーンコントロール)だと思います。スイッチの位置も変わっています。家庭用ラジオのほとんどはひねるかスライドするとスイッチが入りますが、これは押すとスイッチが入るようになっています。
 当時の自動車用らしい精巧な装置だと思います。汎用部品を使う家庭用ラジオに比べて、車用に特化した部品を使っているため、当時のカーラジオはとても高価ではなかったかと思います。

     音量(左〇)に加え,音質(中〇),電源スイッチ(右〇)を兼用した精巧な装置

コメント
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