湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

雨上がりに咲く紫陽花

2012-06-09 20:59:05 | 湘南ベルマーレ


いつもの南からの海風ではなく、北からの風に細かい雨が吹き付けていた。
そんな中、19位の富山に苦戦。攻め続けているものの、どうにもしまりがない展開だ。危ない場面がないのは、相手の拙攻に助けられているからにしか見えない。ところが、えてしてこういう試合は最後の最後にやられてしまう。
それだけはダメヨ、ヤメテと祈っていると雨が上がり、やがて鮮やかなピッチを照らす日差しが選手の影をクッキリと浮かび上がらせた。そして、バックスタンドの端から端に、薄い虹が大きなアーチをかけたのだ。
そんな風景をぼんやり眺めていると、いつのまにかアディショナルタイムに入っていた。
+1分。
ゴール前の密集の中、頭で決めたのは、長いリハビリを経て復帰した中村選手だった。
あまりにもできすぎた演出。シナリオを書いたのはいったい誰だ!

長い笛が吹かれた。わき上がるスタンド、飛び上がるベンチ。
そのベンチの前で、膝を着き顔を覆っている選手がいる。


馬場選手だった。
勝ったのは、首位を独走していた4月22日の東京V戦以来。あれから5分3敗と完全に失速していた。その長い長いトンネルの中も、とにかくがむしゃらに走って走って走り続けた「平塚の男」である。
周囲に声をかけられ、抱き起こされ、バックスタンドに向かう他の選手たちに追いつくころには笑顔が見えた。
そうだ、そうだよ、まだまだこれからなんだ。大切なのは、次だ。
今日のこのドラマチックな結末をきっかけに、新たなスタートを切ろう!

青と緑に染まるスタンドは、まるで雨上がりに輝く紫陽花のようだ。
帰り道は、久々に笑顔の花が咲いていたのである。