湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

OLD DAYS

2011-03-30 23:44:19 | ぶらかま


かつてJRのプラットホームには、キオスクという小さな売店があったものだ。
数え切れないほどの品目と、入れ替わり立ち代わりやってくるお客を、おばちゃんが一人でさばいていたのだ。もちろん、バーコードリーダーも、スイカも、いやレジスターだってなかった。すべての商品の価格を覚えているおばちゃんが、レジの代わりだったのだ。
「おはよう」「いってらっしゃい」なんて挨拶を交わすことも多かった。

それが、今じゃほとんどが『NEW DAYS』というミニコンビニに変わってしまった。
ところが、鎌倉駅のホームには懐かしいキオスク風の売店があるのをご存知だろうか。
『加藤売店』である。どう見てもJR系の店ではなく、当然スイカも使えない(笑)。
聞けば「横須賀線ができる前からあったんです」と、お兄ちゃんが面白いことを言う。
いや、コレは冗談ではなかった。
「ウチが始めてから120年ですよ」
えっ? バイトの兄ちゃんかと思ってたら、なんと『加藤売店』の6代目の若旦那だったのだ。鎌倉駅の土地を提供したかわりに“国鉄”が営業権を与えたらしい。

かつてのキオスクに比べると品目は少ないものの、テキパキお客をさばき、その上おススメ商品などを見事な話術で紹介する。タダモノではない。
「このガイドブックのいいところは、ほら持ってみてくださいよ、軽いんです。鎌倉を歩くのには、こういう軽いやつがイチバン。こういうのを作らなきゃ」
などとアドバイスまでいただいた(笑)。
鎌倉で“打ち上げ”をやった後の夜のプラットホーム。電車が来るまでのわずかな時間に、彼を囲んでとても楽しい時間を過ごさせていただいた。『NEW DAYS』では、こうはいかないのだ。