湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

野菜痛め定食

2011-03-17 22:48:26 | B食の道


自分史上最小の「野菜炒め」である。
それぞれの具材が小さく切られ、おまけにたっぷりの油で炒められているためにボリュームがなくなってしまったようだ。
ただ、味は悪くないし、しっかりした豚肉だって結構入っていた。
南口の『もとよし飲食店』である。昨日たまたま通りかかって見つけた小料理屋風。駅からスグだが、ちょいとわかりづらい場所にある。表にある見本が並んだショーケースが懐かしい。今日改めて訪問してみた。

勇気を出して暖簾をくぐろうとすると、グウィーンと勢いよく引戸が開いた。今どき珍しい踏み板式の自動ドアだったのだ。
カウンターとテーブルが一つ、小上がりにも二つテーブルがある。カウンター越しに頭しかのぞかない小さなおばあちゃんが一人で切り盛りしているようだ。
料理は、トントントンと野菜を刻むところから始まった。そして、たっぷり時間をかけて出てきたのがかわいい「野菜炒め」だったというわけだ。
ただし、これには丼めしと味噌汁の他に「シメサバ」「高野豆腐とこんにゃくの煮物」「お新香」が付いてきたのである。「野菜炒め」のマイナス分を完全に取り返しているぞ。
カウンター越しに頭しか見えないおばあちゃんと停電の話をしていると、さらに小鉢が出てきた。夏みかんだか八朔を剥いてくれたのだ。鮮やかな黄色に、真っ白な砂糖がかかっている。子供のころ、こうやって食べたのを思い出して嬉しくなった。
あと数分で停電するはずだと告げると、「でも、ここはまだ止まったことないから」と笑う。いつも肩透かしをくらうので、やるんだったら計画通りちゃんとやってよねとおばあちゃんが言ったとたんに、プツッと電気が消えた。テレビの声も止んで静かになった。
じゃあそろそろ帰りますと席を立ち、出ようとするとドアが開かない。
「あっ、そうだ!」
おばあさんと顔を見合わせて大笑いしてしまった。

オフィスに戻ったら予想以上に暗くて驚いたが、僕は一人ホワッと明るかったのである。