母親の実家は農家だった。
田植えや稲刈りの頃には、親戚中が集まって一日中手伝いをした。
父親の実家は半農半漁。ちょっとした鶏舎もあって、騒がしい鳴き声や羽音の中、産みたての卵を集めては白いご飯の上でパカッと割っては食べた朝を思い出す。
そして、妻の実家は現役バリバリの農家である。
だから、普通の人よりも少しは、農業の素晴らしさ、農家の苦労も知っているつもり。自然の恩恵を受けながら、自然の厳しさに翻弄されることも。
だが、食の安全が叫ばれ、食の自給率低下が懸念され、地産地消が提唱される今、農業の価値は確実に高まっている。
そう、これからは農業だぁ!などと日頃から言っているせいか、先日娘が「農業高校へ行きたい」と言い出した。よくよく聞けば、座学よりも体を動かす実習の方が性にあっているという単純な理由だったけどね(笑)。
今日発売の『ブルータス』は農業の特集。あのアートディレクター佐藤可士和氏が、農業を楽しむことを推奨している。みんなに興味を持ってもらうために、「ファッションとかライフスタイルまわりを充実させること」「“アグリライフ”とか“ファーマー”とか、そういう言葉を積極的に使うのもひとつの方法かも」などの提案も。
どんな方法であれ、農業そのものにスポットが当たることはいいことだ。
「生命力ってすごいと思った」のには、同感。小さな種や苗がどんどん成長するスピードは、見るたびに驚かされる。だって、人間のようにカタチあるものをモリモリ食べているわけではないんですよ。地中に伸ばした根っこが、太陽と雨と大地の恵みをグングン吸い上げてデッカくなっちゃうんだからね。特に、キャベツとか白菜なんて、あのサイズにですよ。ほんとスゴイ!
もちろん、どんなに景気が悪くてもグングン成長していくのだ。
それだけでも、元気になれる。