ブルブルブル…
「今どこですか？」
電話の向こうでＩ君が尋ねてきた。
「えっ？もう江戸川橋の駅に着いてるよ、なんで？」
「あのー…」
「だって10時半のアポだよねぇ」
「は・はい。だからあの～」
「あ・あれっ？」
と腕時計を見ると、10時41分。10時半をとっくに回っている！
えーっ！ん～？なんだ、なんだ、どういうこと？
わけがわからないのだが、遅刻してしまったことだけは事実。
朝から「10時半」「10時半」と、何度口に出してつぶやいていたことか。
ところが、記憶をたどると会社を出たのが10時15分だったから、間に合うはずもない。
自分の頭の中のどこかで、何かが狂っしまっていたのだ。
これではまるで、いま話題の『明日の記憶』ではないか。ヤバイぞ…。
なんとか先方にはI君に取り繕ってもらって事なきを得たが（ごめんね、そしてありがとう）。
さて、そんなこんなで帰社後、みんなで共有している端末の前に座って少々作業。
ペットボトルを口に当てると、ほんのさっきまで冷たかったはずのアクエリアスが生温い。しかも、何の味もしない。
「あ・あれっ？」
オレのじゃない！Ｏ嬢のミネラルウオーターの飲みかけじゃん！
『明日の記憶』第二章である。
もう、次は何をやらかすか、まったく予測不能だ…
と書いていて、実はまた大変なことになった。
今晩は早く寝たいと思い、ライナーの中、頑張ってこれをケータイで打っていたのだ。
ところが、このあたりから完全に記憶を失ってしまった。
本当にヤバイ。マズイ…。
ブルブルブル…
突然の振動と共に、僕の掌の中で『FIFA ANTHEM』が高らかに鳴り出した！
えーっ！ん～？なんだ、なんだ、どういうこと？
あ・あれっ、打ちながらいつのまにか眠ってしまっていたのだった。
写真は僕がパニックに陥った江戸川橋駅。この日を忘れないように撮っておいた。
