アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

「辺野古代執行」の常態化図る地方自治法改悪

2024年03月21日 | 日米安保・軍事同盟と政治・社会
  

 メディアが自民党の裏金問題と大リーグに集中している間に、国会で大変な悪法が強行されようとしています。地方自治法の改悪(3月1日閣議決定)です。
 
 岸田政権が辺野古新基地建設で「代執行」を強行したとき(昨年12月28日)、「国が地方の言い分を否定できる先例となり、(国と地方の)上下関係が復活する」(岡田正則・早稲田大教授)と指摘されました(12月28日のブログ参照)。地方自治法改悪は、いわばその「代執行」がいつでもできる体制をつくろうとするものです。

 幸田雅治・神奈川大教授はその危険性をこう指摘しています。

<政府は…危機の際…法律に規定がなくても、国が地方自治体に必要な指示ができるようにするとした地方自治法改正案を国会に提出した。幾つかの問題がある。
 第1に、国と自治体の関係を「上下・主従」から「対等・協力」に変えた地方分権改革の流れに逆行し…自治体は国に従うべきという「上下・主従」の関係に回帰する考えと言える。
 第2に、導入される「国の補充的な指示」の必要性への疑問である。
 第3に、「補充的指示権」の乱用の危険性である。改正案の「指示」の要件には「おそれ」「重大な影響」「勘案して」などあいまいな表現が含まれており、指示権が乱用される懸念がある。>(3日付琉球新報=共同)

 法律にはあいまいな表現を並べ、政府の解釈でどのようにも使えるようにするのは、近くは土地規制法など、遠くは治安維持法などに顕著な国家権力の常套手段です。地方自治法改悪にもその手法が使われています。

 政府は「非常時」として「大災害」や「コロナなど感染症」を挙げています。誰も反対できないようなものを例示して悪法を強行するのも国家権力の常套手段です。

 しかし、政府の本当の狙いは、軍事(日米安保)体制の強化にあります。

 日米安保条約の「全土基地方式」によって全国どこにでも米軍や自衛隊の基地を造ろうとすれば、当然地元住民から反発を受けます。自治体も反対姿勢をとります。やがて裁判となり、司法の反動化も手伝って結局政府は軍事体制を強化します。「辺野古」はまさにその典型です。

 新基地建設だけでなく、民間の空港や港の軍事使用(軍民共有化)も沖縄各地はじめ全国に広がっています。これに対しても住民の反対が起こっています。

 そうした住民の反対を抑え、政府にとって面倒な訴訟などの手続きもすっ飛ばして、国が地方に指示=命令を下すことができるようにする。それが地方自治法改悪のほんとうの狙いです。

 いろいろな面で自民党の悪を体現している森喜朗元首相は、今月9日、都内のイベントで同席した岸田首相に、「超法規的なことで能登の再生、復興を」と述べました(9日付朝日新聞デジタル、写真右)。「能登の再生、復興」に名を借りた「超法規」体制の狙いをはからずも吐露したものです。

 地方自治法改悪は、戦争国家づくりのための有事立法にほかなりません。絶対に阻止しなければなりません。
この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 山本太郎氏も「野党共闘」見... | トップ | 「3・11」直後の流言飛語は何... »