アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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「経済安保法案」に賛成した立憲民主の右傾化

2024年04月11日 | 日本の政治と政党
   

 「経済安保法案」(「重要経済安保情報保護・活用法案」)が9日の衆院本会議で可決され、参院に送られました。今国会で成立する見通しです。重大なのは、立憲民主党が自民、公明、日本維新、国民民主とともにこれに賛成したことです。

 同法案は、「国が民間人を身辺調査し、資格を与えた人のみが情報を扱う「セキュリティー・クリアランス(適正評価)」制度の導入が柱」(10日付共同)。しかし、「法案では対象となる具体的な情報は明示されていない」ため、「有識者はプライバシーが侵害されかねないと指摘」し「恣意的な情報指定により、国民の知る権利が制限されかねないとの懸念も根強い」(同)、きわめて危険な治安立法です。

 そもそも同法案の強行は、「敵基地攻撃」を明記した「軍拡(安保)3文書」(2022年12月16日閣議決定)に基づくものです。
 「3文書」の柱である「国家安全保障戦略」の第6章「優先する戦略的なアプローチ」の「(5)経済安全保障の促進」に、「セキュリティークリアランスを含む情報安全保障を強化」と明記されています。

 これに立憲民主が賛成したことは、日米安保条約=軍事同盟賛成が同党の基本政策であるとしても、見過ごすことはできません。

 同法案は「13年末に国会で審議された特定秘密保護法と仕組みは同じ」(10日付朝日新聞デジタル)です。違うのは、「当時の民主党は法案に反対したが、今回の立憲民主は賛成に回った」(同)ことです。

 しかも、「立憲が法案への賛否方針を固めたのは、4日の党内会議だった。政調関係者は「強硬な反対論が出るかもと身構えていたが、拍子抜けするくらいなかった」と振り返る」(同)と報じられるように、党内にさしたる反対論はありませんでした。

 立憲民主のこうした姿勢は、「経済安保法案」に対してだけではありません。攻撃兵器の輸出の突破口となる日英伊共同開発の次期戦闘機輸出についても、立憲は「十分な国会審議が必要」とするだけで反対しませんでした。

「立憲民主党が…経済安全保障や防衛といった政策テーマでは現実路線へのシフトを模索している。…泉健太代表は、党の立ち位置を「現実政党」と説明する。外国特派員協会では「ステレオタイプな与党と野党の二項対立は捨ててほしい。反対ばかりではなく、現実は現実として受け止める」と訴えた」(9日付共同)

 野党が与党(自民党)にすり寄って政策を変える時の常とう句が「現実主義」「現実政党」「二項対立を排す」です。今の立憲民主はまさにそれです。
 その実態は自民党政権の軍拡路線に手を貸すいっそうの右傾化にほかなりません。

 岸田自民党政権が今まさに日米首脳会談で安保条約=軍事同盟をいっそう危険な段階に押し上げようとしている時、それに呼応するかのような立憲民主のさらなる右傾化は、戦時体制の特徴である国会の翼賛化をいっそう強めるものと言わざるをえません。




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