アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

済州島レポート<上>ジェノサイドとディアスポラ

2024年04月03日 | 朝鮮半島の歴史・政治と日本.
   

 私はいま、韓国・済州島(チェジュド)にいます。一昨日(1日)来島し、今日(3日)帰ります。

 チェジュは今日、76年目の「4・3」を迎えました(住民の約3万人が虐殺・犠牲になった1948年4月3日の「4・3事件」)。

 当地は2回目です。前回(2017年11月)は南部の米軍基地を中心に取材したので、「4・3事件平和記念館」(写真左)を訪れたのはきのうが初めてでした。

 島(火山島)中央部の国立公園山腹にたたずむ記念館は、すでに満開に近い桜の並木と黄色いスイセンに囲まれ静かな空気に包まれていました。

 続いてタクシーで約30分の「北村ノブンスンイ記念館」(写真中)へ。北村里はとりわけ苛烈なジェノサイドが行われた地です。

 「4・3事件」についてはこれまで何度も書いてきましたが、初めて訪れた2つ記念館・慰霊地はまた新たな気づきを与えてくれました。それについては明日書きます。

 今日は「前夜祭」のもようをお伝えします。

 来島前に「4・3事件」についての資料を見直す中で「前夜祭」があることを知りました。韓国在住の友人の尽力で予約をとってもらい、参加することができました。

 76年記念のことしのテーマは「DIASPORA」(ディアスポラ=写真右)。

 十数人のコーラス、3人グループの歌唱、追悼朗読、そして創作ミュージカルというプログラムです。

 素晴らしい歌唱力と演技に魅了されました。もちろん(?)言葉は分からないのですが、それでも感動は伝わり、聴いていると涙がこぼれてきました。会場(アートセンター)いっぱいの人たち(おそらく大部分はチェジュの人々)と一緒になって手が痛くなるほど拍手を送りました。音楽・ミュージカルには言語を超えて伝わるものがあるとあらためて思いました。

 プログラムの中で突然日本語の歌が聞こえてきて驚きました。シンガーソングラーターのパク・ボさん(日本名はキタさん)の3人グループです。日本から移住されたようです。

 「1日も早く戦争がない世界がくることを願って」パク・ボさんがつくった「4・3チェジュド」はこううたっています。

「大地を吸い込む強い悲しみ しめった土の中から 骨たちが生き返ろうとしている なぜその声は届かずに消えたのか どこに行ってしまったのか 今は幸せって本当かい? 大切な命と引き換えに 人は立ち上げる 自由を求めて 風の中で チェジュドは泣いている 心配しないで なんくるないさ 心を開いて話せば きっと分かり合えるさ 時代が変われば 笑って泣いて 1つになれるさ だって人間は 愛し合うために生まれてきたのだから」(聴きながら暗闇でメモしたので正確ではありません)

 ジェノサイド(民族大虐殺)とディアスポラ(民族離散)。チェジュドの2つの歴史・顔は、沖縄(琉球)とガザにつながります。
 パク・ボさんの悲しくも力強い歌が、胸に沁みました。

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