アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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「コロナ」の陰で小池都知事がすすめる暴挙

2020年05月25日 | 差別・人権

     
 「コロナ」でテレビに登場しない日がない小池百合子都知事ですが、世の中の関心が「コロナ」に集中している陰でとんでもないことを目論んでいます。

 「毎年9月1日に東京墨田区の横網町公園で開かれる関東大震災朝鮮人虐殺犠牲者追悼式の開催に、東京都が一種の「順法誓約書」の提出を要求して、物議を醸している。行事を主催する日本の市民団体は、追悼式の開催を萎縮させかねない内容だとして撤回を求める声明を出した」(19日付ハンギョレ新聞日本語電子版)

 「声明」(18日)を出したのは「9・1関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典実行委員会」。それによると、経過はこうです。

 昨年9月以降、都(小池知事)は、朝鮮人犠牲者追悼式典の公園使用許可申請の受理を3回にわたって拒否
 12月24日、都は「集会を開催する場合の占有許可条件」(以下「条件」)を文書で実行委に提示。
 今年2月、実行委は都に対し、これまでの追悼集会が「条件」に反していないことの確認を文書で要求。都は「今回設けた条件に概ね合致している」と文書で回答。
 にもかかわらず、いまだに使用許可申請は受理されていない。

 都が提示した「条件」の主な内容は次の通りです。

 「公園管理上支障となる行為は行わない」「(都主催の大法要と重なる時間は)拡声音量装置は使用しない」「(集会で使用する拡声器は)必要最小限の音量にする」。そして、こうした「条件」を「遵守する」旨の「誓約書」を小池知事に提出すること。「誓約書」には「(都が)必要な指示をした場合は、その指示に従います。…指示に従わなかったことにより、次年度以降、公園地の占用が許可されない場合があることに異存はありません」と明記。

 広島市が「8・6」平和公園での集会に音量規制をかけようとしていることを想起させますが、東京都の場合はもっと悪質です。小池知事の今回の所業には背景があります。

 実行委が追悼集会(写真右)を始めたのは1973年。朝鮮人犠牲者追悼碑が横網公園に建立され年からです。碑の建立実行委員会には都議会全会派の代表も参加していました。以後、追悼式典には毎年、歴代都知事から追悼文が寄せられました。
 ところが、小池氏は知事就任翌年の2017年から、式典に追悼文を寄せることを拒否。

 同じく2017年から、追悼式典と同時刻同じ場所で、右翼団体「日本女性の会 そよ風」が集会。「彼らは集会で、『日本人も(朝鮮人に)やられた』と主張し、朝鮮人虐殺犠牲者追悼式典を妨害」(19日付ハンギョレ新聞)。

 「そよ風」は今年2月、都が「条件」を通知したことについて、「ブログに『誓約書を書けば…晴れてもう一つの慰霊祭の存在が認められる…40年間反日左翼だけの言論空間だった公園が、両論併記になったのです』と書いて」(同ハンギョレ新聞)、小池知事の措置を歓迎。
 小池氏は、「2010年に『そよ風』主催の集会で講演」(都への抗議・要請署名サイト)しています。

 小池氏はもともと、右翼団体「日本会議」と深い関係にあります。知事選に出馬するまでの自民党国会議員時代は「日本会議議連」の副会長を務めていました。
 知事就任直後には、「朝鮮学校が朝鮮総連の強い影響下にあると結論づけた都調査報告書」を都のHPにアップ(2016年9月20日付産経新聞)するなど、朝鮮学校敵視をあらわにしてきました。

 小池氏は、公園使用の「条件」を示し「誓約書」を取ることによって、朝鮮人虐殺犠牲者追悼集会に干渉・規制し、同時に、追悼集会を妨害する右翼団体の違法なヘイト集会(2016年6月3日施行の「ヘイトスピーチ解消法」違反)を取り締まるどころか、逆にそれに市民権を与えようとしているのです。
 「コロナ」の陰ですすめられている小池氏の暴挙を絶対に許すことはできません。

 


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