アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

日曜日記99・ブルーインパルス・命の重み・「アベノマスク」強要

2020年05月31日 | 日記・エッセイ・コラム

☆ブルーインパルス

 5月29日、東京の医療機関の上空を航空自衛隊・ブルーインパルスが飛んだ。医療関係者を「励ます」ためだという。多くの医師・看護師が屋上で見上げ、手を振り、感謝の言葉を口にした。すべてのメディアがそれを美談として報じた。

 心が重くなる光景だった。ブルーインパルスは自衛隊という軍隊の飛行隊だ。軍隊の存在をアピールするのが任務だ。複数の病院の屋上が映し出されたということは、報道させるために事前にメディアに告知されていたということだ。医療関係者の苦悩・苦闘を自衛隊・軍隊の誇示に利用する。安倍政権はどこまで無神経・悪辣なのか。

 軍隊は人を傷つけ命を奪うのが本分。命を守る医療とは真逆だ。その軍隊のデモンストレーション飛行を、感激して見上げていた人たちとは別に、快く思わなかった医師・看護師もいたのではないか。いや、きっといたはずだ、と信じたい。

☆「日本モデル」と命の重み

 5月25日、安倍首相は記者会見で「(コロナ感染を)ほぼ収束させることができた。日本モデルの力を示した」と自賛した。批判点は山ほどあるが、本質的な問題だけ書く。

 この時点で、コロナ感染による死亡者は、政府発表だけでも865人いた。この中には「自宅待機」という政府の誤った方針がなければ落とさずにすんだ命も少なくない。実際は感染が原因でも発表されない死亡者も多いだろう。たとえ、死亡者が1人だったとしても、ほんとうに救うことが出来なかったのか、胸に手をあてて対策を反省するのが為政者のすべきことではないか。

 人の命はだれもかけがえがない。その命をマスの数でとらえ、諸外国(いわゆる「先進諸国」)とくらべ、感染者・死亡者の数が少ないと自慢する。「日本モデル」と誇示する。そんな人物が国家権力を握っていることの恐ろしさを改めて思う。

☆「アベノマスク」強制

 5月30日、アパートのポストに「アベノマスク」が入っていた。安倍首相のアリバイづくりのための壮大な無駄遣い。見るのも不愉快だ。

 その「アベノマスク」を「必ず着用するように」と埼玉県・深谷市立の中学校が強要したというニュース(26日付各紙)に、暗澹たる思いだ。

 社会に得体のしれない不安が渦巻くと、人への攻撃と差別が広がる。それと表裏一体で、寄らば大樹の陰、権力へのおもねりが強まる。中学校の「アベノマスク」強要は、その氷山の一角だ。

 ことし3月、くしくも同じ埼玉県のさいたま市で、「マスク」配布の対象から朝鮮学校を排除する差別が発覚した。

 今や必需品となった「マスク」が、日本社会の現実を写し出している。


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