アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

交番襲撃事件と自衛隊、そして沖縄

2019年06月20日 | 自衛隊・軍隊・メディア

     

 16日大阪・吹田で発生した交番襲撃事件の容疑者(33歳、男性)は、かつて海上自衛隊に勤務していました。「防衛省関係者によると、09年4~9月に海上自衛隊に所属。階級は2等海士で、護衛艦勤務も経験した。小銃の操作は学んだが拳銃を扱ったことはないという」(18日付地方各紙=共同電) 

 想起されるのは昨年6月26日に富山市で起きた交番襲撃事件です。この事件の容疑者(21歳、男性)も元自衛官でした。「15年3月に陸上自衛隊に入隊。金沢駐屯地の第14普通科連隊に配置され、小銃や銃剣などの訓練を受けた」(2018年6月30日付朝日新聞)。容疑者は事件当時も予備自衛官でした(写真中)。

  もちろん、事件と自衛隊を単純に結びつけるつもりはありません。しかし、約1年の間に起こった2つの交番襲撃事件の容疑者がいずれも元自衛官であったことが、たんなる偶然と言えるでしょうか。

  2つの交番襲撃事件の共通した特徴は、いずれも警官の拳銃が奪われたことです。これは容疑者が拳銃という人を殺傷する武器に尋常でない関心を持っていたことの証明ではないでしょうか。そしてそれは、武器の使用を日常的に訓練する自衛隊での生活と無関係だと言えるでしょうか。現に2人とも自衛隊で小銃の操作を学び、1人は訓練も受けていました。

  自衛隊は言うまでもなく軍隊です。そこでの日常生活は、戦闘すなわち人を殺傷する訓練にほかなりません。それが隊員の精神に及ぼす影響は計り知れないでしょう。
 そして軍隊は、人命、まして「民間人の命」よりも命令(軍令)を優先する組織であることは、沖縄戦における日本軍(皇軍)のおびただしい住民虐殺・「集団強制死」の事実が証明しています。
 それはけっして過去の話ではありません。

 元海上自衛官で防衛大指導官も務めた伊藤祐靖氏は手記でこう語っています。

 「自分がこれから向かう場所(自衛隊―引用者)は、公務の場ではなく軍務の場なのだ。公務と軍務の決定的な違いは、危険度がどうこうではなく、死を伴う命令に対して拒否権があるのか、ないのかという話である。警察官、消防官には拒否権はあるが、自衛官にはない」(『国のために死ねるか』文春新書2016年)

 この自衛隊という軍隊が日常生活の中にある危険に目を向ける必要があります。その危険に直面し、命と生活を守るためにたたかい続けているのが、沖縄の離島(宮古、石垣、与那国、伊江島など)の人々です。

  安倍政権による自衛隊ミサイル基地建設に一貫して反対したたかっている「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」の清水早子さんは、自衛隊基地建設が強行される地域の実態、住民の不安をこう告発しています。

 「市内の歓楽街には、『夜の観光案内所』なるものができている。独身隊員による性被害や暴力事件が懸念される。これからやって来る陸自隊員は、日本版海兵隊として再編された部隊である。戦争訓練、殺しの訓練をする戦闘部隊、暴力を本質とする組織である」(「バウラック通信」2019年6月号)

 軍隊はけっして住民を守らない。それどころか、住民を犠牲にする組織です。沖縄の離島をミサイル基地化して攻撃を受け、戦闘になれば住民は逃げるところがありません。
 隊員の精神を侵し、住民を犠牲にする憲法違反の軍隊=自衛隊は解散しなければなりません。
 当面、沖縄・離島へ自衛隊配備強化・ミサイル基地化は絶対に阻止しなければなりません。


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