日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

没後100年 宮川香山展は感嘆の連続 サントリー美術館 

2016-04-12 | アート・文化

今年の2月に日本橋三越で、初代宮川香山から4代まで続いた「真葛焼」の系譜として作品展があったが
今回はその初代である「宮川香山」(1842~1916)の作品がサントリー美術館に展示されていた。


植物や動物など自然界の様子を並外れたアイディアと技術で
高浮彫(たかうきぼり)や高度な釉薬の表現で創り出された作品群。
そこにはドラマが宿っているように見事としかいいようのない作品展だった。

会場には写真撮影可という親切なコーナーが設けられ、高浮彫の壺などが展示されていた。

高浮彫桜ニ群鳩大花瓶 明治前期
春の盛り、鳩が桜の枝に止まり金の霞が全体に広がる華やかな花瓶。
複雑な浮き彫りを割らずに仕上げる技術は高いものだという。



高浮彫蛙武者合戦花瓶 明治前期
花瓶のまわりを武者姿の蛙が戦っている様子を浮彫に施した花瓶。
旗や纏、扇子を持った蛙の表情もユーモラス。



高浮彫四窓遊蛙獅子紐蓋付壺 明治前期
漢字がいっぱいの作品名がむづかしくて読めない。。
「たかうきぼりしそうゆうけいししつまみふたつきつぼ」と読むそうな。
壺の胴体に四つの窓をくぼませ、太鼓などを手にした蛙が一匹ずつ。
蓮や河骨(こおほね)の花が描かれ、点描で埋めた優雅な壺。



ここから下の画像はカタログより高浮彫と釉薬による作品。

上絵金彩帆立貝ニ魚蟹図花瓶 明治後期
上下に帆立貝を並べて輪でつないだ斬新なデザイン。
上部と下部底辺を別につくり、中にある筒状の瓶が見えるように
帆立貝と輪状の粘土板でつないで作ったという高度な技術の器。



高浮彫枯蓮ニ蟹花瓶 明治前期
秋の水辺にすすきが描かれ、折れた枯蓮が大胆に配された花瓶。
香山は高浮彫に枯蓮を好んで用いている。
左の枯れた葉の陰にはひっそりと蟹が隠れていた。



釉裏紅赤雲龍文花瓶 明治中期
暗雲たちこめる中、赤い龍が空を飛ぶ幻想的な花瓶。
酸化銅により赤と黒に発色した釉薬でこのような表情が出来たという。



今回の作品展は、「田邊哲人コレクション」から展示されている。
田邊氏は20代の頃から宮川香山の作品を海外から集めたのだという。
日本の美を自在に表現した宮川香山の
驚くべき作品の数々を間近で見られたことにより
陶器のすばらしさ、超人的な技術を誇る明治の作品に触れることが出来た。