日々遊行

天と地の間のどこかで美と感じたもの、記憶に残したいものを書いています

風-に関するEpisode 龍膽寺 雄

2010-09-18 | book

Kazeryutanji
表紙の絵はデ・キリコの「街の神秘と憂鬱」
郷愁を感じさせるが、音のない静かな不気味さを秘めている絵である。
この絵のような情景の中、物語は淡々と、そしてロマンチシズムが序々に昇華して進んでゆく。
1976年 奢�廟都館


廃港の町に立つ木馬館。その前にある三角広場では子供たちが影踏みをして遊んでいる。
ここには地形の関係で旋風がたびたび吹くが
その風はここだけの世界をつくる気流となって街に流れていた。

キラキラ回る風見鶏。ゆったりと飛ぶ軽気球。古びた六角塔と空。
廃れた広場に風が吹けば夢が生まれる。しかし風のない夜は妖しく危険な予兆をはらんでいた。